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第一章 秘伝のお仕事
051 つい喋ってしまいました
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2018. 4. 25
**********
昼食を屋台で済ませた高耶は、優希達を連れて清雅家に向かった。
石段の下まで来ると、優希が思い出す。
「ここ、おにいちゃんがごはんのときにいったとこ?」
「よく覚えてたなぁ」
「うんっ」
家族で旅行に来た時、近くの食事処で昼食を取った。そこからこの場所が見えたのだ。清雅家は空手の道場で、道着を着た少年や青年達を見て高耶が興味を持ったのがきっかけだった。
「おうち、おっきいね」
石段を上がらなくてはならない上に、門までついているのだ。都会に住む優希には、これが家であることが不思議なのだろう。
そこで、高耶の後に続いて、優希の手をつなぎながら階段を登っていた珀豪が不意に告げる。
《主よ。出迎えだ》
「ん? ああ、狛犬達だな」
そこにいたのは、二匹の真っ白な仔犬。その白は光を纏っているようで美しい。神聖なものという感じが表れていた。
「こまいぬ?」
「神さまのそばにいる神使……使い魔みたいなものなんだが……なんと言ったらいいかな……」
「かみさまのイヌ?」
「まぁ、そんな感じかな」
適当に誤魔化してみたが、子どもが認識するにはこれが分かりやすいだろう。
「すごぉいっ。かわいいっ」
トテトテと石段を一段ずつ下りて、高耶達の所へ来ようとしている。
まだ仔犬であることもあり、足が短いので、危なっかしい。そこへ、麻衣子がやってきた。
「葵、常盤。危ないから外に出ちゃ……」
目が合う。気まずいというような表情を見せる麻衣子に、それに気づかなかった振りで挨拶する。
「こんにちは。泉一郎さんはいらっしゃいますか」
「っ、え、ええ……どうぞ……」
ギクシャクとした空気の中、仔犬達はゆっくりと一段ずつ下りてきて高耶の足下まできていた。
《くぅ~ん》
《くぅ》
上目遣いで鳴かれては、高耶もつい表情が緩む。両手でそれぞれの頭を撫でてやる。
「階段はまだ危ないぞ」
《わぅ》
《くふぅ》
目を細める仔犬達。それを後ろから優希がじっと見つめていた。その目はキラキラと輝いている。
「かわいいっ。なでてもいい?」
「いいと思うぞ。そっとな」
「うんっ。わぁ……ふわふわ……ハクちゃんよりやわらかいっ」
「仔犬だからな」
《む……若さか……》
隣で肩を落とす珀豪。何やら傷ついているようだ。
「ほら、お前が葵か? 上に戻るぞ。優希、常盤を頼む」
「は~いっ」
名前の由来は、おそらく瞳の色だろうとわかった。葵は目が青く、常盤は緑の目をしていたのだ。よく見ないと分からない光彩だが、一度確認するとわかるようになる。
仔犬達は、優希が抱き上げるのに苦もない小ささで、モフモフだ。
階段を登ると、泉一郎が向かってきていた。仔犬達を連れ戻しに行った麻衣子が立ち止まっていたのだ。不思議に思ったのだろう。
「おや。高耶くん」
「こんにちは」
「おお、祭りに来られたのか?」
「ええ。神楽を見るつもりで。ついでに妹と祭りを楽しもうかと」
優希が常盤を下に下ろしてから挨拶をした。
「こんにちは」
「こんにちは。これは可愛らしいお嬢さんだ。お茶をどうだね」
「おちゃ……してもいい?」
少し歩いて喉も乾いていた。ここが高耶の知り合いの家であると感じてはいても、基本は人見知りな所がある優希は、いいのかと高耶を見上げる。
「いただこうか。これ、ウチの近くの店のお菓子なのですがよろしければ」
「すまんね。さぁ、こっちへ。花代、お茶を頼むよ」
いつものように花代が顔を出す。その横からあの青年、麻衣子の兄である優一郎も姿を見せた。
「あ、秘伝の……」
「こんにちは」
「こんにちはぁ」
優希も頭を下げる。すると、優一郎は頬を緩ませる。
「こんにちは。妹さんですか?」
「はい」
「おとうさんたちがデートにいっちゃったから、わたしもおにいちゃんとデートです」
「こら、優希」
「えへへ」
場に慣れたのか、高耶に頭を下げる人たちばかりだからか、優希が事情を漏らす。
「それはまた仲の良い両親だね」
泉一郎がカラカラと笑う。ここまできたらと、高耶もつい本音が出た。
「再婚なんです。こっちも気を遣いますよ」
「ほぉ、それではお兄さんと留守番で寂しいね」
優希にそう泉一郎が言えば、優希は笑顔で答える。
「ハクちゃんやショウちゃんもいるからさみしくないの。テンちゃんもいるんだよ」
「それは……」
誰のことだろうと話しを聞いていた優一郎も泉一郎も首を傾げていた。
「あはは……」
これまで言ってしまっては仕方がないと、高耶は控えていた二人を紹介することにした。
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昼食を屋台で済ませた高耶は、優希達を連れて清雅家に向かった。
石段の下まで来ると、優希が思い出す。
「ここ、おにいちゃんがごはんのときにいったとこ?」
「よく覚えてたなぁ」
「うんっ」
家族で旅行に来た時、近くの食事処で昼食を取った。そこからこの場所が見えたのだ。清雅家は空手の道場で、道着を着た少年や青年達を見て高耶が興味を持ったのがきっかけだった。
「おうち、おっきいね」
石段を上がらなくてはならない上に、門までついているのだ。都会に住む優希には、これが家であることが不思議なのだろう。
そこで、高耶の後に続いて、優希の手をつなぎながら階段を登っていた珀豪が不意に告げる。
《主よ。出迎えだ》
「ん? ああ、狛犬達だな」
そこにいたのは、二匹の真っ白な仔犬。その白は光を纏っているようで美しい。神聖なものという感じが表れていた。
「こまいぬ?」
「神さまのそばにいる神使……使い魔みたいなものなんだが……なんと言ったらいいかな……」
「かみさまのイヌ?」
「まぁ、そんな感じかな」
適当に誤魔化してみたが、子どもが認識するにはこれが分かりやすいだろう。
「すごぉいっ。かわいいっ」
トテトテと石段を一段ずつ下りて、高耶達の所へ来ようとしている。
まだ仔犬であることもあり、足が短いので、危なっかしい。そこへ、麻衣子がやってきた。
「葵、常盤。危ないから外に出ちゃ……」
目が合う。気まずいというような表情を見せる麻衣子に、それに気づかなかった振りで挨拶する。
「こんにちは。泉一郎さんはいらっしゃいますか」
「っ、え、ええ……どうぞ……」
ギクシャクとした空気の中、仔犬達はゆっくりと一段ずつ下りてきて高耶の足下まできていた。
《くぅ~ん》
《くぅ》
上目遣いで鳴かれては、高耶もつい表情が緩む。両手でそれぞれの頭を撫でてやる。
「階段はまだ危ないぞ」
《わぅ》
《くふぅ》
目を細める仔犬達。それを後ろから優希がじっと見つめていた。その目はキラキラと輝いている。
「かわいいっ。なでてもいい?」
「いいと思うぞ。そっとな」
「うんっ。わぁ……ふわふわ……ハクちゃんよりやわらかいっ」
「仔犬だからな」
《む……若さか……》
隣で肩を落とす珀豪。何やら傷ついているようだ。
「ほら、お前が葵か? 上に戻るぞ。優希、常盤を頼む」
「は~いっ」
名前の由来は、おそらく瞳の色だろうとわかった。葵は目が青く、常盤は緑の目をしていたのだ。よく見ないと分からない光彩だが、一度確認するとわかるようになる。
仔犬達は、優希が抱き上げるのに苦もない小ささで、モフモフだ。
階段を登ると、泉一郎が向かってきていた。仔犬達を連れ戻しに行った麻衣子が立ち止まっていたのだ。不思議に思ったのだろう。
「おや。高耶くん」
「こんにちは」
「おお、祭りに来られたのか?」
「ええ。神楽を見るつもりで。ついでに妹と祭りを楽しもうかと」
優希が常盤を下に下ろしてから挨拶をした。
「こんにちは」
「こんにちは。これは可愛らしいお嬢さんだ。お茶をどうだね」
「おちゃ……してもいい?」
少し歩いて喉も乾いていた。ここが高耶の知り合いの家であると感じてはいても、基本は人見知りな所がある優希は、いいのかと高耶を見上げる。
「いただこうか。これ、ウチの近くの店のお菓子なのですがよろしければ」
「すまんね。さぁ、こっちへ。花代、お茶を頼むよ」
いつものように花代が顔を出す。その横からあの青年、麻衣子の兄である優一郎も姿を見せた。
「あ、秘伝の……」
「こんにちは」
「こんにちはぁ」
優希も頭を下げる。すると、優一郎は頬を緩ませる。
「こんにちは。妹さんですか?」
「はい」
「おとうさんたちがデートにいっちゃったから、わたしもおにいちゃんとデートです」
「こら、優希」
「えへへ」
場に慣れたのか、高耶に頭を下げる人たちばかりだからか、優希が事情を漏らす。
「それはまた仲の良い両親だね」
泉一郎がカラカラと笑う。ここまできたらと、高耶もつい本音が出た。
「再婚なんです。こっちも気を遣いますよ」
「ほぉ、それではお兄さんと留守番で寂しいね」
優希にそう泉一郎が言えば、優希は笑顔で答える。
「ハクちゃんやショウちゃんもいるからさみしくないの。テンちゃんもいるんだよ」
「それは……」
誰のことだろうと話しを聞いていた優一郎も泉一郎も首を傾げていた。
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