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第七章 秘伝と任されたもの
455 女神の目醒めと祝福
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律音達が楽しそうに生徒達を煽り、最高のパフォーマンスをしていく。
二曲目が終われば、観客の歓声は更なる熱を帯びていた。
『音響の調子も最高だね!』
『リツ……普通はそこ気にしないよ?』
『え? そう? 大事でしょう? 俊哉兄さんありがとう!! 照明もバッチリ!』
『あ~、あちらが、音響や照明など担当してくれている俊哉兄さんです。身内じゃないんですけど、親愛を込めて、兄さんと呼ばせてもらってます』
多くの人達が見上げ、照明操作する俊哉に、律音達と一緒に手を振っていた。
『俊哉兄さんさあ、このまま事務所に就職どうです?』
『ダメだよアキ、俊哉兄さんは師匠のマネージャーなんだから』
『わかってるけどさあ、話しやすい上に頼りになるし、うちの一族のことも知ってるし。あんな良い人いないよ?』
『わかるけど、師匠のマネージャーは必要だから』
『まあね』
『大事ですよ』
師匠って誰だとか観客がざわめきだす。そこで、律音がようやく高耶を紹介する。
『今回の曲の制作にも協力してもらいました、僕たちの師匠を紹介します。すっごい武闘家で、僕らに歩き方とか、身の守り方とか教えてくれる武術の師匠で、高耶さんです』
拍手をもらい、高耶は立ち上がりながら存在感を調整する。
「え? え? モデルやってた人!」
「そうじゃんっ。間違いない!」
「え? 秘伝の兄っていう……ヤバっ、ピアノ弾いてたの!? あのビジュアルでピアノとかっ……ヤバっ鼻血出るっ」
本当に鼻血を出した者もいたようだ。
『うわ~、僕らよりやばいね。さすが師匠!』
『存在感の消し方とか、師匠はさすがです!』
『普段も師匠は存在感決して生活してんですよね? これは町中歩けないって……』
三人がしきりに感心する。これには高耶はどんな顔をすればいいのか分からなかった。
『困った顔もいいですね。師匠。あ、因みに、師匠はピアニストの霧矢修さんのお父様からピアノを教わったそうです。近々行われる霧矢さんのコンサートでは、友情出演されるとか。チケットの争奪戦が今からすごいって聞きましたよ』
『お祖父様達が命かけてましたね。当主達数人は、早々に霧矢さんからの招待券をもらっていたようですけど、他は普通に抽選販売になってるみたいで。スマホ握りしめて部屋に集まってるの見て怖かった……』
『一族会議でもあそこまで真剣な雰囲気にはならないよね。当たった人、ひっくり返るんじゃないかってくらい喜んでた。ちょっと怖いんだよ。あの年齢で飛び跳ねて喜ぶことあるんだって……』
「……」
高耶はそんなことになっているとは知らない。三人にすごかったんですよと言われても、目を丸くするだけだ。
『まあ、そんな方です。すごいピアニストです! そんな師匠と、最後の曲! この曲を作りました! 【羽ばたき】』
土地神が無事に生まれてきますようにと、三人はギリギリになってこの曲の名を付けた。
この土地からその羽ばたきによって起きた風が行き渡りますようにと願う。そして何より、ここは学校。ここから羽ばたいていく者達が、新たな土地で更なる躍進をするように願われる場所。それが学校だ。
大きく羽を広げられますように。そう願って作られた曲だった。
高耶は先ほどまでの演奏よりも音を響かせる。神楽器ではないから、高耶の純粋な技量だけで音を広げなくてはならない。
音をまとめ、律音達の声を包むようにして外へと響かせていく。
すると、土地神から力が溢れ出るような感覚があった。律音達も気付いている。だが、これは奉納だ。何があっても最後まで続ける。
高耶や律音達、そして、俊哉や統二、その影響を受けていた二葉は、外から七色どころか、多くの輝く色が差し込んでくるのを見た。
照明を操作しながらも、俊哉は暗幕の隙間からそれを見た。
「……きれいな……女神……」
多くの色を持つ蝶のような羽を背に生やした大きな女神が、微笑みながら体育館を見ていた。
その微笑みは、泣きたくなるほど美しく、優しく見える。一般の人には見えないように三本の神木が生えてきて、枝が繋がる。大きな大樹となり、存在感を放った。本来の神木の位置ではないが、それは土地神を囲むように果泉が出現させた神木の位置。
妖精達よって別の次元に収納していたが、それを呼び出したようだ。
そして、その大樹となったものの上に、ゆっくりと女神は腰を下ろした。穏やかな風を感じるように目を閉じて、羽を羽ばたかせる。すると、美しい色の光が、土地の上空へと広がっていく。
視える力のある者達には、七色に光る光の雨が降り注いでくるのが視えた。
曲が終わる頃。外の光景に見惚れていた俊哉は、マネージャー妖精達に正気に戻され、演奏終わりの照明を切った。
盛大な拍手と共に舞台には幕が下され、長い一日が終わった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
二曲目が終われば、観客の歓声は更なる熱を帯びていた。
『音響の調子も最高だね!』
『リツ……普通はそこ気にしないよ?』
『え? そう? 大事でしょう? 俊哉兄さんありがとう!! 照明もバッチリ!』
『あ~、あちらが、音響や照明など担当してくれている俊哉兄さんです。身内じゃないんですけど、親愛を込めて、兄さんと呼ばせてもらってます』
多くの人達が見上げ、照明操作する俊哉に、律音達と一緒に手を振っていた。
『俊哉兄さんさあ、このまま事務所に就職どうです?』
『ダメだよアキ、俊哉兄さんは師匠のマネージャーなんだから』
『わかってるけどさあ、話しやすい上に頼りになるし、うちの一族のことも知ってるし。あんな良い人いないよ?』
『わかるけど、師匠のマネージャーは必要だから』
『まあね』
『大事ですよ』
師匠って誰だとか観客がざわめきだす。そこで、律音がようやく高耶を紹介する。
『今回の曲の制作にも協力してもらいました、僕たちの師匠を紹介します。すっごい武闘家で、僕らに歩き方とか、身の守り方とか教えてくれる武術の師匠で、高耶さんです』
拍手をもらい、高耶は立ち上がりながら存在感を調整する。
「え? え? モデルやってた人!」
「そうじゃんっ。間違いない!」
「え? 秘伝の兄っていう……ヤバっ、ピアノ弾いてたの!? あのビジュアルでピアノとかっ……ヤバっ鼻血出るっ」
本当に鼻血を出した者もいたようだ。
『うわ~、僕らよりやばいね。さすが師匠!』
『存在感の消し方とか、師匠はさすがです!』
『普段も師匠は存在感決して生活してんですよね? これは町中歩けないって……』
三人がしきりに感心する。これには高耶はどんな顔をすればいいのか分からなかった。
『困った顔もいいですね。師匠。あ、因みに、師匠はピアニストの霧矢修さんのお父様からピアノを教わったそうです。近々行われる霧矢さんのコンサートでは、友情出演されるとか。チケットの争奪戦が今からすごいって聞きましたよ』
『お祖父様達が命かけてましたね。当主達数人は、早々に霧矢さんからの招待券をもらっていたようですけど、他は普通に抽選販売になってるみたいで。スマホ握りしめて部屋に集まってるの見て怖かった……』
『一族会議でもあそこまで真剣な雰囲気にはならないよね。当たった人、ひっくり返るんじゃないかってくらい喜んでた。ちょっと怖いんだよ。あの年齢で飛び跳ねて喜ぶことあるんだって……』
「……」
高耶はそんなことになっているとは知らない。三人にすごかったんですよと言われても、目を丸くするだけだ。
『まあ、そんな方です。すごいピアニストです! そんな師匠と、最後の曲! この曲を作りました! 【羽ばたき】』
土地神が無事に生まれてきますようにと、三人はギリギリになってこの曲の名を付けた。
この土地からその羽ばたきによって起きた風が行き渡りますようにと願う。そして何より、ここは学校。ここから羽ばたいていく者達が、新たな土地で更なる躍進をするように願われる場所。それが学校だ。
大きく羽を広げられますように。そう願って作られた曲だった。
高耶は先ほどまでの演奏よりも音を響かせる。神楽器ではないから、高耶の純粋な技量だけで音を広げなくてはならない。
音をまとめ、律音達の声を包むようにして外へと響かせていく。
すると、土地神から力が溢れ出るような感覚があった。律音達も気付いている。だが、これは奉納だ。何があっても最後まで続ける。
高耶や律音達、そして、俊哉や統二、その影響を受けていた二葉は、外から七色どころか、多くの輝く色が差し込んでくるのを見た。
照明を操作しながらも、俊哉は暗幕の隙間からそれを見た。
「……きれいな……女神……」
多くの色を持つ蝶のような羽を背に生やした大きな女神が、微笑みながら体育館を見ていた。
その微笑みは、泣きたくなるほど美しく、優しく見える。一般の人には見えないように三本の神木が生えてきて、枝が繋がる。大きな大樹となり、存在感を放った。本来の神木の位置ではないが、それは土地神を囲むように果泉が出現させた神木の位置。
妖精達よって別の次元に収納していたが、それを呼び出したようだ。
そして、その大樹となったものの上に、ゆっくりと女神は腰を下ろした。穏やかな風を感じるように目を閉じて、羽を羽ばたかせる。すると、美しい色の光が、土地の上空へと広がっていく。
視える力のある者達には、七色に光る光の雨が降り注いでくるのが視えた。
曲が終わる頃。外の光景に見惚れていた俊哉は、マネージャー妖精達に正気に戻され、演奏終わりの照明を切った。
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