133 / 468
第三章 秘伝の弟子
133 ディナーです
しおりを挟む
とりあえず、雪を降らせているらしい人物のことは放っておく。
これから楽しい夕食なのだ。
「すごい美味しいっ。家で作れないかしら」
「本当に美味しい……何を使ってるの?」
《全く同じものとはいかんが、スーパーで揃うものでレシピを教えよう》
「ハクさん本当!? 是非っ」
「一緒にお買い物しようよ~」
美奈深と由香理は珀豪と料理の相談中らしい。式神とはいえ、さすがはデキる主夫だ。楽しそうなので良しとする。
《ほら、優希ちゃん。こうしてフォークを持って。あ、可奈ちゃん、上手よ。そう。そうするの。美由ちゃん、肘を少し下げて》
「これくらい?」
「そっか。こうするんだ」
「ふふ。ほめられた」
優希達三人娘は、天柳によるマナー講座を受けながら食べている。固くなりすぎないので、三人も嫌がりもせずに気楽に楽しんでいた。
『目指せ一流レディ』らしい。
「キショウさんのご趣味は」
《……園芸?》
「はっ、お花育てるんですねっ。どんな花が好きですか」
《……小さいの……かすみ草……とか……》
「可愛いですねっ。可憐なキショウさんに似合いますっ」
《……ありがと……》
こちらはお見合いのような感じだ。俊哉はのぼせ上がっているが、綺翔はいつも通りなので、温度差がすごい。
「ねえ。あれいいの?」
「和泉のやつ、舞い上がりすぎだな……」
那津と時島の先生コンビはかなり引いていた。
「今晩だけなので。それに、綺翔も珍しくまともに話しているので、たまにはいいかなと」
「綺翔ちゃんって、普段は『諾』とか『否』しか言わないものね」
「そうそう。高耶君とは意外と喋るけど、僕らとかだとまだ頷くとかが多いかな。あんなに喋ってるの珍しいよ」
美咲と樹は感心している。まともに話せている俊哉がすごいらしい。
「なにこれ……すごい美味いし……本当に金取らないのか?」
「うん。野菜とかも全部、自家製だし。お肉とかは献上品かな。全部がそうじゃないだろうけど、物々交換とかで手に入れてるはずだから」
「……これが普通ってことか……」
「だね。それに、レストランとかって人件費が掛かるから高くなるんだよ。けど、ここの従業員はお金かからないからね。料理とかする家族にお金を払わないようなものだよ」
「……なるほど……やっぱ、これが普通だと……」
贅沢過ぎるなと拓真は料理を噛み締めた。一流のシェフ並みの料理の数々は、統二にとっては家事をする母親と同列らしいと分かり、微妙な気持ちになったようだ。
「本当に素晴らしいディナーですね」
「ふふ。満足していただけて嬉しいわ。ここの子達は、こうして喜んでくださるのを見てまた成長しますわ」
「ここまでレベルの高い式はそうそういませんよ」
「修行に行かせた甲斐がありましたわ」
瑶迦は自慢の式達の仕事振りを褒められて嬉しそうだ。源龍はひたすら感心している。
「そうだわ。高耶さん。一曲弾いていただけないかしら」
「いいですよ」
部屋の隅には、小さめのグランドピアノが置かれていた。いつでも弾けるように準備も万端の状態だ。
高耶はバイト先で弾いているような曲から選曲する。あまりガチャガチャしない大人しめの曲だ。
「た、高耶くん……本当にピアノ上手いのね……」
「ステキね……これは本気でピアノの先生を頼もうかしら……」
美奈深と由香理はうっとりとしながらも食べることも忘れなかった。
そうして、いい雰囲気になってきたのだが、外が大変なことになっていることに気付いたのだ。
***********
読んでくださりありがとうございます◎
これから楽しい夕食なのだ。
「すごい美味しいっ。家で作れないかしら」
「本当に美味しい……何を使ってるの?」
《全く同じものとはいかんが、スーパーで揃うものでレシピを教えよう》
「ハクさん本当!? 是非っ」
「一緒にお買い物しようよ~」
美奈深と由香理は珀豪と料理の相談中らしい。式神とはいえ、さすがはデキる主夫だ。楽しそうなので良しとする。
《ほら、優希ちゃん。こうしてフォークを持って。あ、可奈ちゃん、上手よ。そう。そうするの。美由ちゃん、肘を少し下げて》
「これくらい?」
「そっか。こうするんだ」
「ふふ。ほめられた」
優希達三人娘は、天柳によるマナー講座を受けながら食べている。固くなりすぎないので、三人も嫌がりもせずに気楽に楽しんでいた。
『目指せ一流レディ』らしい。
「キショウさんのご趣味は」
《……園芸?》
「はっ、お花育てるんですねっ。どんな花が好きですか」
《……小さいの……かすみ草……とか……》
「可愛いですねっ。可憐なキショウさんに似合いますっ」
《……ありがと……》
こちらはお見合いのような感じだ。俊哉はのぼせ上がっているが、綺翔はいつも通りなので、温度差がすごい。
「ねえ。あれいいの?」
「和泉のやつ、舞い上がりすぎだな……」
那津と時島の先生コンビはかなり引いていた。
「今晩だけなので。それに、綺翔も珍しくまともに話しているので、たまにはいいかなと」
「綺翔ちゃんって、普段は『諾』とか『否』しか言わないものね」
「そうそう。高耶君とは意外と喋るけど、僕らとかだとまだ頷くとかが多いかな。あんなに喋ってるの珍しいよ」
美咲と樹は感心している。まともに話せている俊哉がすごいらしい。
「なにこれ……すごい美味いし……本当に金取らないのか?」
「うん。野菜とかも全部、自家製だし。お肉とかは献上品かな。全部がそうじゃないだろうけど、物々交換とかで手に入れてるはずだから」
「……これが普通ってことか……」
「だね。それに、レストランとかって人件費が掛かるから高くなるんだよ。けど、ここの従業員はお金かからないからね。料理とかする家族にお金を払わないようなものだよ」
「……なるほど……やっぱ、これが普通だと……」
贅沢過ぎるなと拓真は料理を噛み締めた。一流のシェフ並みの料理の数々は、統二にとっては家事をする母親と同列らしいと分かり、微妙な気持ちになったようだ。
「本当に素晴らしいディナーですね」
「ふふ。満足していただけて嬉しいわ。ここの子達は、こうして喜んでくださるのを見てまた成長しますわ」
「ここまでレベルの高い式はそうそういませんよ」
「修行に行かせた甲斐がありましたわ」
瑶迦は自慢の式達の仕事振りを褒められて嬉しそうだ。源龍はひたすら感心している。
「そうだわ。高耶さん。一曲弾いていただけないかしら」
「いいですよ」
部屋の隅には、小さめのグランドピアノが置かれていた。いつでも弾けるように準備も万端の状態だ。
高耶はバイト先で弾いているような曲から選曲する。あまりガチャガチャしない大人しめの曲だ。
「た、高耶くん……本当にピアノ上手いのね……」
「ステキね……これは本気でピアノの先生を頼もうかしら……」
美奈深と由香理はうっとりとしながらも食べることも忘れなかった。
そうして、いい雰囲気になってきたのだが、外が大変なことになっていることに気付いたのだ。
***********
読んでくださりありがとうございます◎
228
あなたにおすすめの小説
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
精霊に愛された錬金術師、チートすぎてもはや無敵!?
あーもんど
ファンタジー
精霊の愛し子で、帝国唯一の錬金術師である公爵令嬢プリシラ。
彼女は今日もマイペースに、精霊達と楽しくモノ作りに励む。
ときどき、悪人を断罪したり人々を救ったりしながら。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
◆三人称視点で本格的に書くのは初めてなので、温かい目で見守っていただけますと幸いです◆
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
モブでいたはずの私が、ただひとりに溺愛されるまで
ChaCha
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したことに気づいたアイナ・ネルケ。
だが彼女はヒロインではない――ただの“モブ令嬢”。
「私は観る側。恋はヒロインのもの」
そう決めて、治癒魔術科で必死に学び、気合いと根性で仲間を癒し続けていた。
筋肉とビンタと回復の日々。
それなのに――
「大丈夫だ。俺が必ず君を守る」
野外訓練で命を救った騎士、エルンスト・トゥルぺ。
彼の瞳と声が、治癒と共に魂に触れた瞬間から、世界が静かに変わり始める。
幼馴染ヴィルの揺れる視線。
家族の温かな歓迎。
辺境伯領と学園という“日常の戦場”。
「……好き」
「これは恋だ。もう、モブではいたくない」
守られるだけの存在ではなく、選ばれる覚悟を決めたモブ令嬢と、
現実しか知らない騎士の、静かで激しい溺愛の始まり。
これは――
モブでいたはずの私が、ただひとりに溺愛されるまでの物語。
※溺愛表現は後半からです。のんびり更新します。
※作者の好みにより筋肉と気合い…ヤンデレ落ち掛けが踊りながらやって来ます。
※これは恋愛ファンタジーです。ヒロインと違ってモブは本当に大変なんです。みんなアイナを応援してあげて下さい!!
公爵閣下、社交界の常識を学び直しては?
碧井 汐桜香
ファンタジー
若い娘好きの公爵は、気弱な令嬢メリシアルゼに声をかけた。
助けを求めるメリシアルゼに、救いの手は差し出されない。
母ですら、上手くやりなさいと言わんばかりに視線をおくってくる。
そこに現れた貴婦人が声をかける。
メリシアルゼの救いの声なのか、非難の声なのか。
【完結】巻き込まれたけど私が本物 ~転移したら体がモフモフ化してて、公爵家のペットになりました~
千堂みくま
ファンタジー
異世界に幼なじみと一緒に召喚された17歳の莉乃。なぜか体がペンギンの雛(?)になっており、変な鳥だと城から追い出されてしまう。しかし森の中でイケメン公爵様に拾われ、ペットとして大切に飼われる事になった。公爵家でイケメン兄弟と一緒に暮らしていたが、魔物が減ったり、瘴気が薄くなったりと不思議な事件が次々と起こる。どうやら謎のペンギンもどきには重大な秘密があるようで……? ※恋愛要素あるけど進行はゆっくり目。※ファンタジーなので冒険したりします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる