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第四章 秘伝と導く音色
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中はどうってことない普通の家だ。キッチンやトイレも最新式、お風呂もバスタブは大きく広さが意外にもあり、売るのに問題のない物件であることが分かる。
だが、術者である高耶や迅にはどうしても暗く見えてしまう。迅は連盟の担当であることもあり、それらを見る力は持っている。昔から不思議な体験をすることが多々あったらしい。それが本格的に関わるようになって強くなったのだ。
「うわぁ……これは凄いね。いかにもって感じ。レベル三なら、いつもはまだ辛うじて感じるくらいなのに、肌に感じるよ」
「俺が居るからな……」
「え? だって、別に術者と一緒で強まるとか聞かないけど?」
「……」
あまり言いたくない。それが常盤に伝わったらしい。
《主と相性が良いのでしょう。好意的感情も強いようですし》
「わっ、そ、そうなの? 相性かあ!」
「……」
だから言いたくなかったのだと高耶は眉を寄せた。それに気付いて、常盤が声を落とす。
《余計なことでしたでしょうか》
「いや、他の奴に説明されるよりは良い……ありがとな」
《っ、いえ……》
珍しく常盤が照れたように表情を変えていた。そういえば、こうして常盤だけを頼って喚ぶのは久し振りだと、こんな状況でも呑気に思う。
《主、あそこのようです》
常盤はきちんと気持ちを切り替えてそこを指した。
「あ……れ? さっき、電気……付けたよな?」
「そういえば……消えてる……わけじゃない? 付いてる……けど……っ」
智紀と浩司は、入ってくる途中で電気のボタンは押していた。廊下に電気は付いている。だが、どうしてか暗い。それは、黒い瘴気が天井付近を覆っているからだ。
「うわあ……これはマスクしたいね」
常盤が浄化しながら進んでいるので、今でも溢れ出てくる瘴気が天井付近に残っているだけだ。高耶達の顔の辺りはしっかり浄化されているので問題はない。だが、見えているというだけで、口を覆いたくなるのだ。
「あ……えっと……黒い……霧?」
「本当だ……急に見えるようになった」
「おい。あまり注意して見るな」
「「はい……」」
注意する陽の表情は強張っていた。そんな三人の様子を後ろから見て、迅は明るく意見する。
「大丈夫だよ。護符を持ってれば、影響はないから」
「そんなに凄いものなんですか……」
「高耶君のだからね。連盟の……術者の中でもあの若さでトップクラスなんだ」
「へえ……凄い」
「でしょ、でしょ?」
「……」
もう迅は放っておこうと決める高耶だ。
「さて、あれだな」
やってきたのは庭の見えるリビング。その中心に黒い固まりがあった。
「……あんなの、前はなかった……」
「見えなかっただけじゃ……」
「そうだろうな……」
智紀と浩司、陽は警戒しながらそれを見つめた。
「電気つける?」
「ああ。あまり変わらんが、気持ちは変わるだろ」
「はいは~い」
迅の調子は変わらない。そうして、リビングの電気を付けた。多少は変わったように感じるが、本当に付いているか見上げて確認するくらいには変化がない。
「常盤、可能な限り浄化を」
《承知しました》
すると、黒い固まりは形をなくしていく。そうして、残ったのは黒い楕円の固まり。まるで、暗闇で見る猫のような固まりだ。息をしているように時折少し動く感じもそれっぽい。
そして、聴こえてきた。
《……ネ……コセ……ネ……ネヨコセ……》
「ね?」
迅は童顔に似合いの可愛らしい様子で首を傾げた。
「確か、庭師だし……根っこ? とか?」
何が欲しくて留まっているのかと庭を見て考える。だが、高耶にははっきりと聴こえていた。
「金か」
「え?」
《ヨコセェェェェッ!!》
「わわっ」
「「「っ……!」」」
呑気にしていた迅も、これには驚く。そして、彼は腰を抜かした三人の前に咄嗟に躍り出していた。
************
読んでくださりありがとうございます◎
だが、術者である高耶や迅にはどうしても暗く見えてしまう。迅は連盟の担当であることもあり、それらを見る力は持っている。昔から不思議な体験をすることが多々あったらしい。それが本格的に関わるようになって強くなったのだ。
「うわぁ……これは凄いね。いかにもって感じ。レベル三なら、いつもはまだ辛うじて感じるくらいなのに、肌に感じるよ」
「俺が居るからな……」
「え? だって、別に術者と一緒で強まるとか聞かないけど?」
「……」
あまり言いたくない。それが常盤に伝わったらしい。
《主と相性が良いのでしょう。好意的感情も強いようですし》
「わっ、そ、そうなの? 相性かあ!」
「……」
だから言いたくなかったのだと高耶は眉を寄せた。それに気付いて、常盤が声を落とす。
《余計なことでしたでしょうか》
「いや、他の奴に説明されるよりは良い……ありがとな」
《っ、いえ……》
珍しく常盤が照れたように表情を変えていた。そういえば、こうして常盤だけを頼って喚ぶのは久し振りだと、こんな状況でも呑気に思う。
《主、あそこのようです》
常盤はきちんと気持ちを切り替えてそこを指した。
「あ……れ? さっき、電気……付けたよな?」
「そういえば……消えてる……わけじゃない? 付いてる……けど……っ」
智紀と浩司は、入ってくる途中で電気のボタンは押していた。廊下に電気は付いている。だが、どうしてか暗い。それは、黒い瘴気が天井付近を覆っているからだ。
「うわあ……これはマスクしたいね」
常盤が浄化しながら進んでいるので、今でも溢れ出てくる瘴気が天井付近に残っているだけだ。高耶達の顔の辺りはしっかり浄化されているので問題はない。だが、見えているというだけで、口を覆いたくなるのだ。
「あ……えっと……黒い……霧?」
「本当だ……急に見えるようになった」
「おい。あまり注意して見るな」
「「はい……」」
注意する陽の表情は強張っていた。そんな三人の様子を後ろから見て、迅は明るく意見する。
「大丈夫だよ。護符を持ってれば、影響はないから」
「そんなに凄いものなんですか……」
「高耶君のだからね。連盟の……術者の中でもあの若さでトップクラスなんだ」
「へえ……凄い」
「でしょ、でしょ?」
「……」
もう迅は放っておこうと決める高耶だ。
「さて、あれだな」
やってきたのは庭の見えるリビング。その中心に黒い固まりがあった。
「……あんなの、前はなかった……」
「見えなかっただけじゃ……」
「そうだろうな……」
智紀と浩司、陽は警戒しながらそれを見つめた。
「電気つける?」
「ああ。あまり変わらんが、気持ちは変わるだろ」
「はいは~い」
迅の調子は変わらない。そうして、リビングの電気を付けた。多少は変わったように感じるが、本当に付いているか見上げて確認するくらいには変化がない。
「常盤、可能な限り浄化を」
《承知しました》
すると、黒い固まりは形をなくしていく。そうして、残ったのは黒い楕円の固まり。まるで、暗闇で見る猫のような固まりだ。息をしているように時折少し動く感じもそれっぽい。
そして、聴こえてきた。
《……ネ……コセ……ネ……ネヨコセ……》
「ね?」
迅は童顔に似合いの可愛らしい様子で首を傾げた。
「確か、庭師だし……根っこ? とか?」
何が欲しくて留まっているのかと庭を見て考える。だが、高耶にははっきりと聴こえていた。
「金か」
「え?」
《ヨコセェェェェッ!!》
「わわっ」
「「「っ……!」」」
呑気にしていた迅も、これには驚く。そして、彼は腰を抜かした三人の前に咄嗟に躍り出していた。
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