334 / 462
第六章 秘伝と知己の集い
334 対応出来る人は集めました
しおりを挟む
焔泉は面白そうに微笑みながら扉を通ってくる。扉は部屋の中の、襖の一つを使っている。
部屋の中を見まわした焔泉は、次に扉を潜ってきた蓮次郎へ声をかける。
「一人でゆっくりできそうな部屋やない?」
「中々良さそうですね。高耶くん。ここ何人部屋?」
「二人部屋じゃないかと」
「へえ。うん。良いね。他の部屋も見せて欲しいな~」
「せやねえ。ささっと契約も済ませたいわ~」
「……」
遊びに来たようなノリの二人を、高耶はついつい胡乱げな目で見てしまう。
それを受けて、焔泉と蓮次郎は目を逸らしながら続ける
「そないな目えせんでも……仕事はやるよって……」
「そうそうっ。先に仕事だよねっ。もうねっ、神具を盗むとか、どんだけ罰当たりな奴らなんだろうねっ」
「……離れの方にお願いします……この後来る清掃部隊に、向かいの部屋の修理の依頼もあるので」
「任せとき!」
「任せて!」
そうして、離れへと清晶が案内して行った。
それを見送ると、そこで電話がかかってきた。刑事である元だ。
『あ、高坊? 後十分くらいで着くんだが』
「随分早かったですね」
『そりゃあな。この辺りって当たり付けてたんでな』
「そうでしたか……では、旅館の入り口で待ってます」
『おう。すまんな。なら、また着いたら連絡するわ』
「はい」
元々、元はこの辺りに神具や仏具を盗む者達が潜伏しているのではないかと、範囲を絞り込んで捜査していたようだ。
すぐに来てもらえるのは有り難い。
そうして電話を切ってしばらくすると、清掃部隊の上役の一人が、扉から飛び出してきた。
「御当主!! 申し訳ありません! 大変遅くなりました!」
「いえ……こちらこそ、急に呼び立てて申し訳ない」
「いえいえっ! 御当主の用命とあらば、何を置いても先にと駆け付けます! 今後もどうぞ、こちらの予定などお気になさらず、ご連絡ください!!」
「そ、そうですか……ありがとうございます……」
「はっ! 何なりとお申し付けください!」
「……はい……」
若干、暑苦しいなと思わなくもないが、まあ関係が良好なのは良いことかと思っておくことにする。
「では、さっそく。こちらの旅館は、連盟で買い上げることが決まっております。おそらく、今回の件が解決すれば、すぐにでも契約に入ると思います。ですので、向かいの部屋の修繕をお願いします」
「はい!」
「それと、奥の離れに、強盗が盗んで来た神具などを隠している場所があったようです。そちらの隠し場所の処理をお願いします」
「なんとっ! それはすぐに確認させていただきます!」
「ええ。清晶が案内します」
《あ、来たんだ。早く行くよ》
「はい! すぐにメンバーを選出いたします!」
そうして、一度扉の向こうに引っ込み、次に何人もの人が飛び出してくる。
《うわ……暑苦しいのがいっぱい……》
「清晶……」
《は~い。離れに行く奴はこっちね》
「「「「「お願いします!!」」」」」
五名が、清晶に連れられて行った。
「御当主! この扉も我々で見ておきますので、この場はお預けください!」
「頼みます」
そろそろ、元が到着する頃。丁度良いということで、高耶は部屋から出て旅館の入り口へと向かう。
またしばらくすると、元からもう到着するという電話が入った。
入り口で待っていれば、車が横付けされた。
降りてきたのは、元の他に三人の屈強な見た目の男達。全員、高耶の知り合いだ。
「お待たせしました師範!」
「こんちは~!」
「いや~あ、今日は迅さん居なくてラッキー!」
かなり強面で、黙っていれば、近寄りがたい三人だが、中身はめちゃくちゃフレンドリーだ。
これならば、変に気負う必要もない。
立場がいくら上でも、やはり高耶は若いのだ。やりにくい時はある。だが、彼らなら問題ないだろう。
少しホッとしながら、離れへの案内に立った。
「では、お願いします」
「「「「おうっ」」」」
そんな様子を不思議そうに見ている同級生達へは、あえて目を向けず、高耶は離れへと向かった。
どんな状態になっていたとしても、対応できる人材は集まった。
ざわりとした風の音が聞こえることに、先ほどから気づいてはいる。眠っているはずの土地神や隠れ里を乗っ取ったらしい鬼達を刺激しないことを祈る。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
部屋の中を見まわした焔泉は、次に扉を潜ってきた蓮次郎へ声をかける。
「一人でゆっくりできそうな部屋やない?」
「中々良さそうですね。高耶くん。ここ何人部屋?」
「二人部屋じゃないかと」
「へえ。うん。良いね。他の部屋も見せて欲しいな~」
「せやねえ。ささっと契約も済ませたいわ~」
「……」
遊びに来たようなノリの二人を、高耶はついつい胡乱げな目で見てしまう。
それを受けて、焔泉と蓮次郎は目を逸らしながら続ける
「そないな目えせんでも……仕事はやるよって……」
「そうそうっ。先に仕事だよねっ。もうねっ、神具を盗むとか、どんだけ罰当たりな奴らなんだろうねっ」
「……離れの方にお願いします……この後来る清掃部隊に、向かいの部屋の修理の依頼もあるので」
「任せとき!」
「任せて!」
そうして、離れへと清晶が案内して行った。
それを見送ると、そこで電話がかかってきた。刑事である元だ。
『あ、高坊? 後十分くらいで着くんだが』
「随分早かったですね」
『そりゃあな。この辺りって当たり付けてたんでな』
「そうでしたか……では、旅館の入り口で待ってます」
『おう。すまんな。なら、また着いたら連絡するわ』
「はい」
元々、元はこの辺りに神具や仏具を盗む者達が潜伏しているのではないかと、範囲を絞り込んで捜査していたようだ。
すぐに来てもらえるのは有り難い。
そうして電話を切ってしばらくすると、清掃部隊の上役の一人が、扉から飛び出してきた。
「御当主!! 申し訳ありません! 大変遅くなりました!」
「いえ……こちらこそ、急に呼び立てて申し訳ない」
「いえいえっ! 御当主の用命とあらば、何を置いても先にと駆け付けます! 今後もどうぞ、こちらの予定などお気になさらず、ご連絡ください!!」
「そ、そうですか……ありがとうございます……」
「はっ! 何なりとお申し付けください!」
「……はい……」
若干、暑苦しいなと思わなくもないが、まあ関係が良好なのは良いことかと思っておくことにする。
「では、さっそく。こちらの旅館は、連盟で買い上げることが決まっております。おそらく、今回の件が解決すれば、すぐにでも契約に入ると思います。ですので、向かいの部屋の修繕をお願いします」
「はい!」
「それと、奥の離れに、強盗が盗んで来た神具などを隠している場所があったようです。そちらの隠し場所の処理をお願いします」
「なんとっ! それはすぐに確認させていただきます!」
「ええ。清晶が案内します」
《あ、来たんだ。早く行くよ》
「はい! すぐにメンバーを選出いたします!」
そうして、一度扉の向こうに引っ込み、次に何人もの人が飛び出してくる。
《うわ……暑苦しいのがいっぱい……》
「清晶……」
《は~い。離れに行く奴はこっちね》
「「「「「お願いします!!」」」」」
五名が、清晶に連れられて行った。
「御当主! この扉も我々で見ておきますので、この場はお預けください!」
「頼みます」
そろそろ、元が到着する頃。丁度良いということで、高耶は部屋から出て旅館の入り口へと向かう。
またしばらくすると、元からもう到着するという電話が入った。
入り口で待っていれば、車が横付けされた。
降りてきたのは、元の他に三人の屈強な見た目の男達。全員、高耶の知り合いだ。
「お待たせしました師範!」
「こんちは~!」
「いや~あ、今日は迅さん居なくてラッキー!」
かなり強面で、黙っていれば、近寄りがたい三人だが、中身はめちゃくちゃフレンドリーだ。
これならば、変に気負う必要もない。
立場がいくら上でも、やはり高耶は若いのだ。やりにくい時はある。だが、彼らなら問題ないだろう。
少しホッとしながら、離れへの案内に立った。
「では、お願いします」
「「「「おうっ」」」」
そんな様子を不思議そうに見ている同級生達へは、あえて目を向けず、高耶は離れへと向かった。
どんな状態になっていたとしても、対応できる人材は集まった。
ざわりとした風の音が聞こえることに、先ほどから気づいてはいる。眠っているはずの土地神や隠れ里を乗っ取ったらしい鬼達を刺激しないことを祈る。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
263
あなたにおすすめの小説
結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?
ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十年目。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について
いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。
実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。
ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。
誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。
「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」
彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。
現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。
それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる