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第一章 秘伝のお仕事
047 慣れない立場でもあります
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2018. 4. 11
**********
週末の金曜日の夜。連盟から、日曜の夜に会合を開くとメールが届いた。
《ようやくか。案外時間がかかったな》
「仕方ないさ。鬼渡の関係者を捕まえたのは、三百年ぶりらしいからな」
鬼渡が滅びたのは五百年ほど前だが、その後、関係のある者たち、鬼渡を名乗る者が捕らえられたことは度々あったらしい。
《たった三百年じゃないか》
「……生身の人間には長いだろ。感覚、おかしくなってるぞ」
充雪にしてみれば、三百年などたかがと言える年月でしかないのも分かる。とはいえ、その感覚を生きている人間が持てるわけではない。
《うっ、そうだったな……百年でも人が替わるか》
百年でさえ、連盟の顔が入れ替わってしまう年月だ。そうなれば、記録に頼るしかなくなる。そして、その記録が全てを物語るかといえば難しい。
「それに、源龍さんに似ているというのがな……」
《確かに似過ぎなくらい似ていたな……関係がないとは思えん》
「ああ……」
双子かと思えるほど似ていたのだ。血筋を疑われるだろう。
「源龍さんの立場が悪くなっていなければいいが……」
《先に連絡したんだろ?》
「した。それで、似ている事も話した。それでも連行してくれって言われた」
あまりにも似ていたため、源龍に一番に連絡した。女の写真も送って、身内だったりしないかと尋ねた。だが、返ってきた答えは、全く知らないということと、心底驚いているものだった。
「不思議がってた。本当に双子みたいだってな」
源龍自身も驚いていたのだ。寧ろ源龍の方が彼女の出自について確認したそうだった。
《面倒なことにならなければいいがな》
「あの顔な時点で面倒そうだけどな」
榊家との関係が全くないとは思えない。それなのに、源龍は知らないという。間違いなく面倒ごとの予感がする。
「まぁ、そのことについても調べてるだろ。俺らは引き続き、各地の調査もあるからな。あっちは任せて、報告に期待するか」
《だな》
各地に封印された鬼たち。封印されているのが、本当に鬼かどうか。鬼ならば、今回のように鬼渡の関係者に封印を解かれないようにするか、鬼を滅する。その調査を高耶と充雪はしなくてはならないのだ。
同じように調査している者達は何人かいるが、彼らが鬼を相手にできるかといえばそうではない。危険な状態の場所へは、高耶と充雪が出向くことになる。
「とりあえず、今夜はこの後、二ヶ所確認に行く」
《扉で行けるか?》
「一ヶ所はな。一つは、向こうで行脚師に繋げてもらう」
扉を離れた場所に繋げる技は、行ったことのある場所にしか繋げられないという欠点がある。だからこういう場合は、そこへ行ったことのある人に扉を繋いでもらい、移動する。
連盟には、各地へ移動するために、日本中どころではなく、世界中を旅し続ける行脚師という専門の役職を持った者たちがいるのだ。
彼らはその名の通り、歩いて回る。そうでなければ、繋げても問題のない場所を見つけることはできないのだから。
《オヌシ……今回のことで、行脚師並みに日本中を踏破できそうだな》
「それは彼らに悪いな……」
行脚師達は、戦闘に不向きな者たちばかりとはいえ、高耶は地味な役回りをさせていることを心苦しく思う。自分なら世界中を歩き回るなんて無理だ。
そんな彼らの成果だけを享受することを申し訳なく感じる。とはいえ、彼らは高耶のような者たちのために行脚を続けているのだ。納得済みなので、高耶の後ろめたいような思いは不要ではある。
《礼を言ってやればいいんだよ。それであやつらは満足なんだからな》
「慣れないな……」
そう呟きながら、目的の場所へ玄関から繋げる。しかし、このすぐ後、源龍から件の女が逃げ出したという報告を聞くことになるのだった。
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週末の金曜日の夜。連盟から、日曜の夜に会合を開くとメールが届いた。
《ようやくか。案外時間がかかったな》
「仕方ないさ。鬼渡の関係者を捕まえたのは、三百年ぶりらしいからな」
鬼渡が滅びたのは五百年ほど前だが、その後、関係のある者たち、鬼渡を名乗る者が捕らえられたことは度々あったらしい。
《たった三百年じゃないか》
「……生身の人間には長いだろ。感覚、おかしくなってるぞ」
充雪にしてみれば、三百年などたかがと言える年月でしかないのも分かる。とはいえ、その感覚を生きている人間が持てるわけではない。
《うっ、そうだったな……百年でも人が替わるか》
百年でさえ、連盟の顔が入れ替わってしまう年月だ。そうなれば、記録に頼るしかなくなる。そして、その記録が全てを物語るかといえば難しい。
「それに、源龍さんに似ているというのがな……」
《確かに似過ぎなくらい似ていたな……関係がないとは思えん》
「ああ……」
双子かと思えるほど似ていたのだ。血筋を疑われるだろう。
「源龍さんの立場が悪くなっていなければいいが……」
《先に連絡したんだろ?》
「した。それで、似ている事も話した。それでも連行してくれって言われた」
あまりにも似ていたため、源龍に一番に連絡した。女の写真も送って、身内だったりしないかと尋ねた。だが、返ってきた答えは、全く知らないということと、心底驚いているものだった。
「不思議がってた。本当に双子みたいだってな」
源龍自身も驚いていたのだ。寧ろ源龍の方が彼女の出自について確認したそうだった。
《面倒なことにならなければいいがな》
「あの顔な時点で面倒そうだけどな」
榊家との関係が全くないとは思えない。それなのに、源龍は知らないという。間違いなく面倒ごとの予感がする。
「まぁ、そのことについても調べてるだろ。俺らは引き続き、各地の調査もあるからな。あっちは任せて、報告に期待するか」
《だな》
各地に封印された鬼たち。封印されているのが、本当に鬼かどうか。鬼ならば、今回のように鬼渡の関係者に封印を解かれないようにするか、鬼を滅する。その調査を高耶と充雪はしなくてはならないのだ。
同じように調査している者達は何人かいるが、彼らが鬼を相手にできるかといえばそうではない。危険な状態の場所へは、高耶と充雪が出向くことになる。
「とりあえず、今夜はこの後、二ヶ所確認に行く」
《扉で行けるか?》
「一ヶ所はな。一つは、向こうで行脚師に繋げてもらう」
扉を離れた場所に繋げる技は、行ったことのある場所にしか繋げられないという欠点がある。だからこういう場合は、そこへ行ったことのある人に扉を繋いでもらい、移動する。
連盟には、各地へ移動するために、日本中どころではなく、世界中を旅し続ける行脚師という専門の役職を持った者たちがいるのだ。
彼らはその名の通り、歩いて回る。そうでなければ、繋げても問題のない場所を見つけることはできないのだから。
《オヌシ……今回のことで、行脚師並みに日本中を踏破できそうだな》
「それは彼らに悪いな……」
行脚師達は、戦闘に不向きな者たちばかりとはいえ、高耶は地味な役回りをさせていることを心苦しく思う。自分なら世界中を歩き回るなんて無理だ。
そんな彼らの成果だけを享受することを申し訳なく感じる。とはいえ、彼らは高耶のような者たちのために行脚を続けているのだ。納得済みなので、高耶の後ろめたいような思いは不要ではある。
《礼を言ってやればいいんだよ。それであやつらは満足なんだからな》
「慣れないな……」
そう呟きながら、目的の場所へ玄関から繋げる。しかし、このすぐ後、源龍から件の女が逃げ出したという報告を聞くことになるのだった。
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