165 / 216
15th ステージ
165 力押し推奨やでな!
教皇ソルマルトやヘルナ達年長組が、捕まえたブランシェレルの者達をしっかりとお説教してくれるということで、リンディエールはヒストリアと他の国のブランシェレルの根城を潰し回ることにした。
「名簿の回収も完了や。ほれ、あんたらも行ってこいっ」
ヒストリアが使い魔を使って、噂を流し、この国でも攻め込まれると焦らせ、急いで対策を練るべきではないかと集会を開かせる。そうして追い詰めた彼らを一網打尽にするのだ。
そして、ソルマルト達が待つ聖皇国の、綺麗になった迷宮内の広場へと転移門を繋げて、そこに人数と名を確認しながら放り込む。
名と人数の記録は、ソルマルトから教会の人員が派遣されていた。今の神官達は、ソルマルトやヘルナ達から指導を受けていてまともで真面目だ。彼らもブランシェレルには怒っているようだった。
「きちんと名乗りなさい。家名が嫌でもです! 当主への説教ができないでしょう!」
「家の方で生活していけないようならば、必ず力になります。ですが、テロ行為を行うような組織はダメですよ」
「あなたのご家族達には、あなたがどれほど心苦しい思いをしてきたか、しっかりと分からせます。その悔しさも後で話してくださいね」
本気で子ども達やこの組織に入らずにはいられなかった者達を諭していく。
一方で、リンディエール達実働部隊にも、その国ごとで協力者がいた。
「そっちで把握しとった子どもらは全員見つかっとるな?」
「はい。先日、連れ去られた第二王子も保護できました」
「さよか。けど、王子持ってかれとってどうすんねん! それでも暗部か!」
「っ、面目次第もございません……っ」
その国の暗部を使い、調べさせ、更に使い魔でも探らせて、メンバーを特定した。漏れがないよう、裏から包囲も抜かりなくさせている。
この間の王家の警護はエリクィールや、前剣聖が買って出た。その友人の拳王とも呼ばれる武闘術の天才なんかも、子どもを使って気に入らんという理由で手伝ってくれている。
どの国に行っても、たいてい、祖父のファルビーラや祖母のヘルナ達の知り合いや友人達が手を貸してくれる。そういった人たちは、王族と関係を持っているため、話も通してくれるので有り難い。
「王子も、一度説教はさせてもらうよって、返すんは、明日以降や伝えといてくれるか?」
「はい! 剣聖様や他の上位冒険者の方々に王や王妃がお説教を受けているので、寧ろ明日以降の方が有り難いです」
親の方にも言い聞かせる必要がある。年齢も実力も知名度も王族よりも上の剣聖や上位冒険者達ならば、王や王妃達も話を聞かざるを得ない。そもそも、話を聞かないような傲慢な王族は守らない。
「ほんなら、それでよろしゅう。ここも後は任せてええか?」
「もちろんです! ご協力に感謝いたします!」
「ええんよ。掃除は思い立った時にやるんが吉や」
「これを思い立ってすぐにやれる行動力には感服いたします」
「うちは力押し推奨やでな!」
「なるほど……日頃の鍛錬がものを言うのですね……勉強になります!」
「あんさんらも気張りやっ」
「「「はい!」」」
ふむふむと頷く者が多かった。しっかりとリンディエールの冗談混じりの言葉が、訳されて通じているのが面白いと、ヒストリアは彼らとのやり取りをずっと見て笑っていた。
「冗談で済まさずに真面目に聞くとは、やるなあ」
「ヒーちゃん。何感心しとんの? 次行こうや」
「そうだな」
「今日はあと二つ国を回んで」
「強行軍だな」
「もう王城に護衛の冒険者のおっちゃんらが待機し始める頃やもん。急がなあかんわ」
「はいはい」
そうして、十日とせずにほぼ大陸中の掃除が終わった。
「さあ~て。人材は有効に使わなあかんよなっ」
「……リンの言う力押しで、大氾濫も何とかなりそうに思えてきたよ……」
ブランシェレルのメンバーを鍛え直すと決めていた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
遅れがちで申し訳ありません。
「名簿の回収も完了や。ほれ、あんたらも行ってこいっ」
ヒストリアが使い魔を使って、噂を流し、この国でも攻め込まれると焦らせ、急いで対策を練るべきではないかと集会を開かせる。そうして追い詰めた彼らを一網打尽にするのだ。
そして、ソルマルト達が待つ聖皇国の、綺麗になった迷宮内の広場へと転移門を繋げて、そこに人数と名を確認しながら放り込む。
名と人数の記録は、ソルマルトから教会の人員が派遣されていた。今の神官達は、ソルマルトやヘルナ達から指導を受けていてまともで真面目だ。彼らもブランシェレルには怒っているようだった。
「きちんと名乗りなさい。家名が嫌でもです! 当主への説教ができないでしょう!」
「家の方で生活していけないようならば、必ず力になります。ですが、テロ行為を行うような組織はダメですよ」
「あなたのご家族達には、あなたがどれほど心苦しい思いをしてきたか、しっかりと分からせます。その悔しさも後で話してくださいね」
本気で子ども達やこの組織に入らずにはいられなかった者達を諭していく。
一方で、リンディエール達実働部隊にも、その国ごとで協力者がいた。
「そっちで把握しとった子どもらは全員見つかっとるな?」
「はい。先日、連れ去られた第二王子も保護できました」
「さよか。けど、王子持ってかれとってどうすんねん! それでも暗部か!」
「っ、面目次第もございません……っ」
その国の暗部を使い、調べさせ、更に使い魔でも探らせて、メンバーを特定した。漏れがないよう、裏から包囲も抜かりなくさせている。
この間の王家の警護はエリクィールや、前剣聖が買って出た。その友人の拳王とも呼ばれる武闘術の天才なんかも、子どもを使って気に入らんという理由で手伝ってくれている。
どの国に行っても、たいてい、祖父のファルビーラや祖母のヘルナ達の知り合いや友人達が手を貸してくれる。そういった人たちは、王族と関係を持っているため、話も通してくれるので有り難い。
「王子も、一度説教はさせてもらうよって、返すんは、明日以降や伝えといてくれるか?」
「はい! 剣聖様や他の上位冒険者の方々に王や王妃がお説教を受けているので、寧ろ明日以降の方が有り難いです」
親の方にも言い聞かせる必要がある。年齢も実力も知名度も王族よりも上の剣聖や上位冒険者達ならば、王や王妃達も話を聞かざるを得ない。そもそも、話を聞かないような傲慢な王族は守らない。
「ほんなら、それでよろしゅう。ここも後は任せてええか?」
「もちろんです! ご協力に感謝いたします!」
「ええんよ。掃除は思い立った時にやるんが吉や」
「これを思い立ってすぐにやれる行動力には感服いたします」
「うちは力押し推奨やでな!」
「なるほど……日頃の鍛錬がものを言うのですね……勉強になります!」
「あんさんらも気張りやっ」
「「「はい!」」」
ふむふむと頷く者が多かった。しっかりとリンディエールの冗談混じりの言葉が、訳されて通じているのが面白いと、ヒストリアは彼らとのやり取りをずっと見て笑っていた。
「冗談で済まさずに真面目に聞くとは、やるなあ」
「ヒーちゃん。何感心しとんの? 次行こうや」
「そうだな」
「今日はあと二つ国を回んで」
「強行軍だな」
「もう王城に護衛の冒険者のおっちゃんらが待機し始める頃やもん。急がなあかんわ」
「はいはい」
そうして、十日とせずにほぼ大陸中の掃除が終わった。
「さあ~て。人材は有効に使わなあかんよなっ」
「……リンの言う力押しで、大氾濫も何とかなりそうに思えてきたよ……」
ブランシェレルのメンバーを鍛え直すと決めていた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
遅れがちで申し訳ありません。
あなたにおすすめの小説
「三番以下を取りなさい」と五年言われ続けたので、公開試験で本気を出しました
歩人
ファンタジー
王立魔法学院、入学時首席のリュシエンヌは、婚約者レイナルト公爵令息から五年間「女は三番以下を取れ」と命じられてきた。学院の序列は国家序列の縮図。レイナルトは常に一位に居続けた。婚約披露を控えた十九歳の春、レイナルトが新しい婚約者を連れて告げる。「お前では並び立てぬ。学力も身分も、足りなすぎる」——リュシエンヌは微笑んで、その翌日の年次公開試験で、五年封じてきた本気を出した。国王臨席の場で、史上最高点。魔法局長官が教授陣に命じる。「過去五年間の彼女の実測点と、もし本気で受けていたら出せた推計点を、公表したまえ」。教授陣は震える手で数字を並べた。レイナルトの「首席」は、全て彼女が譲った場所だった。
「虫に話しかけてるお前が気持ち悪い」と追放された令嬢——領地の蜂蜜が消え、薬も蝋燭も作れなくなった
歩人
ファンタジー
「虫に話しかけてる姿が気持ち悪い」——辺境伯令嬢ヒルデは、領地の養蜂を一手に管理する「蜂の女王」だった。婚約者はその姿を蔑み、公衆の面前で婚約を破棄した。ヒルデが領地を去って一週間後、蜂群が一斉に巣箱を捨てて飛び去った。蜂蜜は万能薬の基剤であり、蜜蝋は蝋燭と封蝋の原料。薬も作れず、夜は闇に包まれ、公文書の封印もできなくなった。冬が来る前に蜂蜜漬けの保存食が作れず、領民が飢え始めた。婚約者が別の養蜂家を雇ったが、蜂は全く懐かなかった——蜂は「女王を覚えている」。ヒルデ以外の人間には、針を向けた。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」と追放された令嬢——王宮の食器が一枚も焼けなくなった
歩人
ファンタジー
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」——王宮御用達の食器を焼く伯爵令嬢エルザは、婚約者の第二王子に手の荒れを嗤われて追放された。十二歳から十年間、王宮の全ての食器を手ずから焼いてきた。彼女の食器は特殊な土と焼成技術で魔力を通し、毒に触れると色が変わる。料理の温度も保つ。追放から三ヶ月後、晩餐会で新しい食器を使ったところ、毒が検知されず隣国の大使が倒れた。外交問題に発展する中、第二王子が「食器くらい誰でも焼ける」と窯に立った結果、出来上がったのは歪んだ灰色の皿だった。
婚約破棄されたので、もう頑張りません 〜静かな公爵に放っておかれたら、本当の人生が始まりました〜
あう
恋愛
王太子の婚約者として、
完璧であることを求められ続けてきた令嬢エリシア。
だがある日、彼女は一方的に婚約を破棄される。
理由は簡単だった。
「君は役に立ちすぎた」から。
すべてを失ったはずの彼女が身を寄せたのは、
“静かな公爵”と呼ばれるアルトゥール・クロイツの屋敷。
そこで待っていたのは――
期待も、役割も、努力の強要もない日々だった。
前に出なくていい。
誰かのために壊れなくていい。
何もしなくても、ここにいていい。
「第二の人生……いえ、これからが本当の人生です」
婚約破棄ざまぁのその先で描かれる、
何者にもならなくていいヒロインの再生と、
放っておく優しさに満ちた静かな溺愛。
これは、
“役に立たなくなった”令嬢が、
ようやく自分として生き始める物語。
私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有
恋愛
子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。
知らないうちに離婚されていた男爵令嬢は実家に帰ることにしました【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
結婚して1年。
元・貴族令嬢エヴェリナは、平民商人の夫にこき使われ、自分の時間すら奪われていた。
久しぶりの自由時間を楽しんで帰宅すると、門番が立ち塞がり──
「ここより先には立ち入れません」
夫が勝手に離婚届を偽造し、彼女を家から追放した。
さらに「不貞の証拠」として、エヴェリナのサインを悪用した偽装契約書まで作成。
名誉を守るため裁判へ挑むが、そこで明らかになったのは──
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。ご都合主義です。
クズ婚約者に「鍵屋風情」と罵られた令嬢の半年後——王宮の宝物庫は、誰にも開けられなくなりました
歩人
ファンタジー
ロックハート伯爵家のリディアは、王家の「鍵守《かぎもり》」だ。王宮の千を超える錠前は、彼女と父が二代で管理している。
リディアには稀有な才能があった。鍵穴に耳を当てるだけで、内側のピンの位置が音として聞こえる。世に二人といない「鍵聴《かぎぎき》」の才。
しかし婚約者のオーランド侯爵子息は、彼女を「鍵屋風情の娘」と嘲り、職人の家を恥じて婚約を破棄した。
「鍵など、鍛冶屋に頼めばすぐ作れる」
左様でございますか。リディアは黙って頭を下げ、王宮を辞した。
半年後、リディアの父が老いて引退する。王宮の宝物庫はもう誰にも開けられない。即位式の宝冠も、王家陵墓の扉も、暗号文書庫も——全てが沈黙する。
錠前は、開ける順番を間違えた者を、永遠に拒みます。