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15th ステージ
168 マズいと思うよな!?
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会場の確認をしてくれというリンディエールの要請により、ブラムレース王とクイント、ヘルナとファルビーラ、それとソルマルトは、その場所を見て唖然とした。
「……空がある……」
ブラムレース王が口を開けて上を向き、声を上げる。そこには、真っ白な雲がゆっくりと移動していく青い空があった。
「め、迷宮内だから……ではないわね……?」
「あの真ん中に浮いてんのは、魔石か?」
ヘルナも高い天井を見上げ、目を凝らす。高難度の迷宮の安全地帯には、空がある場合も知っている。だから、迷宮特有の不思議現象かと思ったようだ。しかし、それとは違うようにも感じていた。
その隣でファルビーラは、部屋の中心、最も高くなっている場所で淡く輝いているものに目を向ける。それは、太陽のように光を発していた。
ヒストリアが一歩前に出て、上を見上げながら説明する。
「人工太陽だ。迷宮内でも見たことがあるかもしれないな。魔素を動力源として、太陽に似た性質の光に還元する。魔導具に極めて近い魔石だ。これは、その迷宮のものを擬似的に作り出した、正真正銘の魔導具だ」
「へえ……すげえのを作ったもんだな……さすがはリア様だ!」
誰もがそれを感心したように見上げた。しかし、ヒストリアは気まずげに目を逸らした。
「確かに、俺も研究していたのだが……リンがな……」
「……何したんで?」
「……さすがに実際の魔石を取ってくるのはマズいだろう? マズいと思うよな!?」
「え、まっ、まあ、そうですね……まさか……」
ファルビーラも察した。
「ああ……そのまさかだ。ある日『借りてきた!』と……戻せたから良かったが、さすがに慌てた……」
「……お、お疲れ様でした……」
早く返さなくてはと、ヒストリアは寝ずに頑張った。リンディエールが研究に協力してくれたことで、閃きなど多く、研究は早く進んだのだが、気が気ではなかった。
これはもう触れない方が良いと判断したヘルナは、もう一つの謎に、空を指差して尋ねた。
「なら、あの空? は? どうなっているの?」
「あれは、外の景色を映し出しているだけだ」
「え……あ、なら、迷宮で見る空もそうなのかしら?」
迷宮でも、空がある空間がある。それも外の景色を映しているだけなのかと、この機会に疑問に思っていたことを解消すべく確認した。
「いや。迷宮の場合は、天井がかなり高く設定されていて、壁自体が空の色をしているためにそう見えるだけだ。雲がなかったり、それらしく見えていても動かなかったりするはずだ」
「そうだったのね……でもそういえば……雨が振ったことないわね。夜にはなったけど」
「夜になるのは、あの魔石が一定の間隔で瘴気を充填する時間があるからだ。それで光量が落ちる」
「なるほどね~。だから、迷宮によって時間の感覚が違うのね?」
「ああ。長期間潜ると、外に出た時に体内時間が狂っているのはそういうことだ」
時差ぼけのようなものになるのだ。だから、迷宮に長期間潜った後は、しっかりと休むことが冒険者達の常識となっていた。ギルドの方でも推奨している。
迷宮にそれほど潜った経験のないブラムレースやクイントも、そういう仕組みがあるのかと興味深そうに聞いていた。
さすがは長い時間を生きてきたヒストリアだ。なんでも気になったら調べ、解明するのが好きな研究者気質なところもあり、疑問に思われるようなことは、スラスラとその答えが出てくる。
「あ、では、あのグラン殿が居られた迷宮も、長期間滞在すると、外とのズレがありますか? それが寿命にも関係してくるのでは?」
クイントは、あの安全地帯となっている迷宮の村を知っている。通常、あそこで生まれた人は、一度は外での生活を知るために迷宮から出る。そこで、一日の時間が違うというのを感じるはずだ。もしかしたら、迷宮内での一日が短いから、百年単位で年齢も違ってきているのではないかと思ったようだ。
それならば、レベルに比例して寿命が長くなるのではなく、迷宮内での計算による年齢になっているのではないかと考えたのだろう。
「いや。ステータスに年齢が出るだろう。それは、外での時間経過での記録になっている。だから、年齢に間違いは出ない。あそこのように、階層一つ丸ごと安全地帯になるのは、高難度の迷宮だけだ。そして、高難度の迷宮ほど、あの魔石の充填の間隔は、正確に外とあまり変わらなくなる」
一日はこの世界でも二十四時間。外では、昼の時間が多かったり少なかったりする場所もあるが、迷宮では一定だ。
「基本、充填時間とあの状態の、強く発光している時間は同じだ。だから、高難度の迷宮のものほど、ほぼ十二時間毎で切り替えられている」
「それは……逆にとても規則正しく生活できそうですね」
「そうだ。だから、迷宮内では、体内時計が狂いやすい。そして、迷宮にそうした設定がなければ、雨も降らないし、日照りもない。常に一定だ」
「っ、それは……」
土の状態を気にして、気温に合った植物ならば、何事もなく収穫し続けられるというわけだ。
「迷宮内の階層によっては、一定の間隔で雨が降る所もある。だが、そういったものは迷宮の設定だ。一度設定されたものは、まず変わらない」
「それは……では、そうしたことを調べ、その中から農耕地として相応しい階層、部屋を選定したら……」
「最高の農耕地になるだろうな」
「「っ!」」
ブラムレース王もクイントと揃って息を詰まらせていた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
遅くなりました。
「……空がある……」
ブラムレース王が口を開けて上を向き、声を上げる。そこには、真っ白な雲がゆっくりと移動していく青い空があった。
「め、迷宮内だから……ではないわね……?」
「あの真ん中に浮いてんのは、魔石か?」
ヘルナも高い天井を見上げ、目を凝らす。高難度の迷宮の安全地帯には、空がある場合も知っている。だから、迷宮特有の不思議現象かと思ったようだ。しかし、それとは違うようにも感じていた。
その隣でファルビーラは、部屋の中心、最も高くなっている場所で淡く輝いているものに目を向ける。それは、太陽のように光を発していた。
ヒストリアが一歩前に出て、上を見上げながら説明する。
「人工太陽だ。迷宮内でも見たことがあるかもしれないな。魔素を動力源として、太陽に似た性質の光に還元する。魔導具に極めて近い魔石だ。これは、その迷宮のものを擬似的に作り出した、正真正銘の魔導具だ」
「へえ……すげえのを作ったもんだな……さすがはリア様だ!」
誰もがそれを感心したように見上げた。しかし、ヒストリアは気まずげに目を逸らした。
「確かに、俺も研究していたのだが……リンがな……」
「……何したんで?」
「……さすがに実際の魔石を取ってくるのはマズいだろう? マズいと思うよな!?」
「え、まっ、まあ、そうですね……まさか……」
ファルビーラも察した。
「ああ……そのまさかだ。ある日『借りてきた!』と……戻せたから良かったが、さすがに慌てた……」
「……お、お疲れ様でした……」
早く返さなくてはと、ヒストリアは寝ずに頑張った。リンディエールが研究に協力してくれたことで、閃きなど多く、研究は早く進んだのだが、気が気ではなかった。
これはもう触れない方が良いと判断したヘルナは、もう一つの謎に、空を指差して尋ねた。
「なら、あの空? は? どうなっているの?」
「あれは、外の景色を映し出しているだけだ」
「え……あ、なら、迷宮で見る空もそうなのかしら?」
迷宮でも、空がある空間がある。それも外の景色を映しているだけなのかと、この機会に疑問に思っていたことを解消すべく確認した。
「いや。迷宮の場合は、天井がかなり高く設定されていて、壁自体が空の色をしているためにそう見えるだけだ。雲がなかったり、それらしく見えていても動かなかったりするはずだ」
「そうだったのね……でもそういえば……雨が振ったことないわね。夜にはなったけど」
「夜になるのは、あの魔石が一定の間隔で瘴気を充填する時間があるからだ。それで光量が落ちる」
「なるほどね~。だから、迷宮によって時間の感覚が違うのね?」
「ああ。長期間潜ると、外に出た時に体内時間が狂っているのはそういうことだ」
時差ぼけのようなものになるのだ。だから、迷宮に長期間潜った後は、しっかりと休むことが冒険者達の常識となっていた。ギルドの方でも推奨している。
迷宮にそれほど潜った経験のないブラムレースやクイントも、そういう仕組みがあるのかと興味深そうに聞いていた。
さすがは長い時間を生きてきたヒストリアだ。なんでも気になったら調べ、解明するのが好きな研究者気質なところもあり、疑問に思われるようなことは、スラスラとその答えが出てくる。
「あ、では、あのグラン殿が居られた迷宮も、長期間滞在すると、外とのズレがありますか? それが寿命にも関係してくるのでは?」
クイントは、あの安全地帯となっている迷宮の村を知っている。通常、あそこで生まれた人は、一度は外での生活を知るために迷宮から出る。そこで、一日の時間が違うというのを感じるはずだ。もしかしたら、迷宮内での一日が短いから、百年単位で年齢も違ってきているのではないかと思ったようだ。
それならば、レベルに比例して寿命が長くなるのではなく、迷宮内での計算による年齢になっているのではないかと考えたのだろう。
「いや。ステータスに年齢が出るだろう。それは、外での時間経過での記録になっている。だから、年齢に間違いは出ない。あそこのように、階層一つ丸ごと安全地帯になるのは、高難度の迷宮だけだ。そして、高難度の迷宮ほど、あの魔石の充填の間隔は、正確に外とあまり変わらなくなる」
一日はこの世界でも二十四時間。外では、昼の時間が多かったり少なかったりする場所もあるが、迷宮では一定だ。
「基本、充填時間とあの状態の、強く発光している時間は同じだ。だから、高難度の迷宮のものほど、ほぼ十二時間毎で切り替えられている」
「それは……逆にとても規則正しく生活できそうですね」
「そうだ。だから、迷宮内では、体内時計が狂いやすい。そして、迷宮にそうした設定がなければ、雨も降らないし、日照りもない。常に一定だ」
「っ、それは……」
土の状態を気にして、気温に合った植物ならば、何事もなく収穫し続けられるというわけだ。
「迷宮内の階層によっては、一定の間隔で雨が降る所もある。だが、そういったものは迷宮の設定だ。一度設定されたものは、まず変わらない」
「それは……では、そうしたことを調べ、その中から農耕地として相応しい階層、部屋を選定したら……」
「最高の農耕地になるだろうな」
「「っ!」」
ブラムレース王もクイントと揃って息を詰まらせていた。
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