エセ関西人(笑)ってなんやねん!? 〜転生した辺境伯令嬢は親友のドラゴンと面白おかしく暮らします〜

紫南

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17th ステージ

183 行くが良い!

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この日は、学園の生徒全員が講堂に集められていた。これから前期最後の授業。課外授業が始まるのだ。

体調など問題はありませんかとか、とにかく気を付けて、行ってきてくださいねという随分とあっさりとした学園長の話が終わると、次に出てきたのが、学園の創設者であるイクルスだ。

今の学園生達は初の対面となる。

「「「「「っ!?」」」」」
「「「「「っ……?」」」」」
「ど、銅像と同じ……」
「大賢者様……?」

一年生と二年生の一部が目を丸くしたり、困惑している。さすがにその銅像は一年生も目にしていた。運動場を見守るようにあるのだ。よく走っていた彼らには、もはや見慣れたものだった。優しげな好々爺の姿に、ささくれ立った心を慰めていたほどだ。

そして、三年生は学園の歴史から国の成り立ちなど、関連して授業で習うため、驚き方も他学年とは違ったようだ。

『うむ。イクルスだ。今回の課外授業について説明しよう』
「え? 創設者?」
「い、生きてる……」

そんな混乱する者達も多いが、気にしない。

『学年ごとに迷宮は指定されておる。そして、それぞれ野営地にて五日。野営し、食事も自ら作り、材料も調達してもらう。もちろん、金の力ではなく、己の腕の力でのお』
「しょ、食事も……?」
「え? 私たちが作るの?」
「現場で調達するってこと?」

一気にざわついた。

『そうじゃ。いよいよ災禍は近づいておる。研究者達の計算によればこれより数ヶ月後だ。半年もないだろう』
「え……」
「え? 何が? 数ヶ月?」
「災禍って……本当に起きるの?」

まだ二年生も実感がなかったようだ。三年生だけは、恐怖も感じているくらいには、現実を見ていた。

『大氾濫が起きれば、どうなるか、一、二年生はまだ想像出来ていないようじゃな。想像してみるが良い。まず、迷宮から魔獣達が飛び出してくる。野生の魔獣達も凶暴化、そして、強い個体が生まれていく』
 「迷宮から?」
「それってどうなるの?」
「迷宮ってどこにあるかな……」
『……』

自分たちの住む領の、家に近い迷宮の場所くらいチェックしとけよとイクルスは少しイラついた。そこで、一番後ろで控えているリンディエールが手を合わせて謝っていたのでそこは許すことにしたイクルスだ。

『あ~、本来は森や街道に居り、町や村に向かってくる魔獣や魔物は稀だ。しかし、この時になれば、複数の魔獣や魔物たちが我を忘れて町を襲い始めるだろう』
「……え?」
「町を襲う?」
「あっ、氾濫?」
『当然、氾濫となれば建物は破壊され、畑も荒らされる。そんな時、どう食事をする? 君たちは町の人々を守った後、眠る場所はどうする? それらをよく考えながら体験してほしい』
「「「「「……っ」」」」」

三年生達は、戦えるだけではダメなのだと理解を示す表情を見せている。自分たちは領主の子ども。町の代表だとの自覚を強くしていた。

しかし、一年生や一部の二年生達は違う。途端に不安そうにする。それを見て、イクルスは微笑んだ。

『不安なのはわかる。だが、心配はない。引率してくれるのは、学園の教師達だけではなく、現役のAランクやBランクの冒険者達だ』
「Aランク!?」
「まさか、剣聖!?」
『剣聖も含め、ベテランの冒険者達ばかりだ。そんな者達の指導を直接受けてもらう』
「すごいっ」
「やった!」
「安心だわっ」

そこで、イクルスの後ろに白いスクリーンが下りてきた。そして、映ったのは広い城の会食場だ。

「っ、え、お母様!?」
「父上!」
「お兄様……」
「なにこれ!」
『ご両親にも観てもらう事になっておる。特に一年生諸君。数ヶ月前の学園からの現状連絡に、ご両親はかなり心配しておられるようだ。これを機にしっかりと成長を見せるように。夏期休暇を心安く迎えられるようにの』
「「「「「……っ」」」」」

そう、この課外授業が終われば夏期休暇だ。家に帰ることになる。今や最初に受け取った父からのお叱りの手紙の意味は分かっている。早く帰りたいと家が恋しいと思っていた子ども達は、途端に顔を青くする。

『今回の夏期休暇は、氾濫の時の対応を家で決めておく大事な機会じゃ。よく考え、今から答えを用意しておくと良い。冒険者達は、そのような質問もできる心強い先生になってくれるだろう』

ハッとする者は多かった。

『うむ。良い顔になったな。では、行くが良い!』

その声と共に、それぞれの学年の前に、転移門が現れた。子ども達の課外授業の始まりだ。








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読んでくださりありがとうございます◎

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