趣味を極めて自由に生きろ! ただし、神々は愛し子に異世界改革をお望みです

紫南

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ミッション13

524 第三王子!?

踊りたくなるような音楽が町に響いている。それに釣られて多くの者達が集まって来る。

領主邸の隣。そこに、その領主邸よりも遥かに広い土地を占めている商会が一つ。

この国で最も勢いがあり、他の追従を許さない実績を持つセイスフィア商会の支店だ。

『お待たせいたしました! さあ! 元キートル領在住のみなさぁぁん?』

商会の中央にある大きな舞台の上にいるクラルスが、魅力的な笑みを浮かべながら手を挙げ、そして、耳に手を当てる。すると、沢山の声が答えた。

「「「「「はぁぁぁい!」」」」」

モニターが商会の幾つかの場所に用意され、そこにもクラルスが映し出されている。カメラワークも素晴らしい。

『そして~! 今日の為に遊びに来てくれた! みんなぁぁぁ!』

マイクを片手に、もう一つの手を口に当てて、大きく呼びかける。すると、更に大きな歓声が上がる。

「「「「「おぉぉぉぉぉっ!!」」」」」
「「「「「クーちゃぁぁぁん!」」」」」
「「「「「ステキぃぃぃっ」」」」」

クラルスファンもちゃっかりやってきていた。それも大勢。

野太い声、甲高い声。様々な声に答えるように、クラルスは手を振った。

『ようこそ!! セイスフィア商会! カルトナ支店へ!!』

領主一家が捕縛されて半年近くの時が過ぎた。

『今日は! 新たな領主任命と、この支店のオープンを記念して! 只今より! 記念祭をはじめます!!』
「「「「「おおぉぉぉぉっ!!」」」」」
「「「「「わぁぁぁぁっ」」」」」

更に大きな歓声が上がり、花吹雪が舞った。

『では! 先ずは領主様のご紹介です!』

キートル領の領主の印象はとても悪かった。だからこそ、一商会で新領主を紹介するという、あり得ないことを提案してみた。これは、フィルズの案だ。

『現在、新たな領主様となるのは、成人前の方です。若く経験がないこと、どんな方が来るのかと不安に思っているかもしれません』

領民達は真剣にクラルスを見つめている。

『ですので、新領主様よりも先に、後見役の方をご紹介いたします! ファイラルーク先王陛下です!』
「「「「「っ、ええ!?」」」」」

領民だけでなく、誰もが驚いた。舞台袖からゆっくりと中央に歩き出て来るファイラルークに、舞台の側にいる観客達は、膝をついた。さすがに先王の顔は知っている。

しかし、そんな中でもクラルスは変わらない。

『そして、新領主はリュブラン第三王子殿下が就くことになります!』
「「「「「っ!!」」」」」

王族の前で大きな声を出すことはできないと、ほとんどの者が息を呑む。

しかし、現れたリュブランを見て、セイスフィア商会を知る者達は、別の意味で息を呑む。

「っ、うそ……リューくん?」
「リューくんだよね? あれ……」
「うそうそっ。第三王子!?」
「無能だとか言われてた……あの?」

貴族達は、第三王子に持っていた印象との違いに驚く。民達の間でも、そんな噂は聞こえていた。だから、セイスフィア商会でもかなり上の人間だとリュブランを認識している者達は、首を傾げた。

けれど、この場でクラルスが嘘を吐くはずもなく、先王が当たり前のように迎え入れるのを見れば、偽者だとも思えない。

「わ、私……この前、リュー君にこのメガネ……作ってもらったんだけど……っ、王子様にやってもらったってこと!?」
「リュー坊が王子……三級も間近だって……俺よか強かったんだが? 第三王子って、剣も勉強もできないって噂の……?」

噂と実際に知っていることの違いが、多くの者達を混乱させていた。

「え……でも、第三王子って……学園に通ってないけど……領主になるには、学園を卒業する必要があるはず……」
「そうだよな? え? 俺らと同級になるとか?」

眉間に皺を寄せながら、そんな話をしているのは、貴族の子息達だった。





**********
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