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ミッション13
568 聞き捨てならないわね
不審に思いながらも、そのチケットを受け取った彼らは、敵情視察だとして、セイルブロードにやってきていた。
「……なんだこれは……」
「こんなに人が……」
「店が並んでいる……?」
彼らにとっては、ここは別世界だった。行商人としての顔は嘘ではない。だからこそ、商人としてこれはあり得ないと思った。
「お? あんたら、行商人の……」
「え、ええ……」
気安く声を掛けて来た男性は、沢山の荷物を抱えていた。行商人として、長く活動しているため、それなりに顔を知っている者はいた。
「俺も行商やってんだが……やっぱ、見ときたいよなあ。けど、羨ましいと思うのがバカバカしくなるぜ?」
「これは……貴族の援助が?」
「は? ねえよ。まあ、援助したいんだろうけどな~」
そう言って男が目を向ける先には、貴族らしき者達がいる。行儀良く並んでいるようだ。
この際だと情報収集のつもりで尋ねる。
「……もう国王が後ろについているって……」
「ん~。その王もお得意様らしいけどな。普通に買い物してたり、お茶してたりするぜ? あっ、クーちゃんがっ! じゃあ、楽しめよ~」
「え、あ、はい……」
目立つ舞台の上に女性が一人とクマのぬいぐるみが現れる。その後ろには、その女性とクマが大きく映っている。
「なっ! なんだあれ……っ」
「あんた達、ここはじめて? アレはモニター。昔の賢者様の研究を引き継いで、完成させた物らしいわ。神官様に聞いたから確かよ」
「賢者の……っ、それは、賢者の偉業の功績を奪ったのでは……っ」
「え? あははっ。そんなこと思うなら、博覧会見て来たら? あそこでやってるから。というか、そういうこと思う人たちがいるから、あれをやってるのかもねえ」
笑いながら、その女性は手を振って舞台の前の人だかりの中に消えていった。
「……行ってみよう」
「ああ……」
そうした数人ずつの集まりは、次第にそこに集まっていった。
「これは……っ」
「すごい……」
「っ……」
一番はじめの賢者から、その功績やどんな人物だったかが見て分かるようになっている。そこには、肖像画もあった。
「賢者の姿なんて……どうやって……っ、やはりインチキ……」
「あら。聞き捨てならないわね」
「ほんとうだよ。私たちの作品にケチをつけるとは」
「っ……まさか、聖女っ、さまと、聖者様……っ」
「いつもの服装ではないのに分かるなんて、やるじゃない」
聖女と聖者は、この博覧会用の制服を着ていた。教会で用意された聖女と聖者の衣装を着るのが当たり前になっている彼らからすれば、とても新鮮な気持ちだ。
「ねえ。私たちも変装の仕方を教えてもらうべきかしら」
「ダメだよ。いつも追いかけてきてる子達に泣かれそう」
「まあ、あの服装が目印よね」
「ここでは良いけど、なってしまったものは仕方ないし、我慢しよう」
「そうね……ああ、それでね? この肖像画は、私たちともう一人、画家によって描かれたものよ。賢者の姿は、神に見せてもらったわ。神の記憶にある彼らの姿を、私たちで映し描いたの」
「っ……」
聖女や聖者が、神を出して嘘を吐くはずがない。
「ゆっくり見ていくといいわ。それぞれの研究も面白いわよ。求める目標に向かう情熱がね。やはり賢者様はすごい」
たいていの賢者たちの研究は中途半端に止まってしまっている。最終的になにをしたかったのか、どうなりたかったのかの最終形態も展示してあった。
「……こんなの……やはり賢者の功績を奪っているのでは……」
そのつぶやきが聞こえた聖者が振り返った。
「君たちには、それは許されないことなのかな」
「っ、当たり前です! これは、賢者の意志に反する!」
「本当に?」
「え……」
冷静に聖者に返されて戸惑ったようだ。そして、聖者は首を傾げて問いかけた。
「ところで……君たちは賢者の何なのかな」
「っ、我々は、賢者の子孫だ!」
「「そう……」」
その宣言を、聖女と聖者は待っていた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
10巻好評発売中です!
ゴールデンウィークにどうぞ!
「……なんだこれは……」
「こんなに人が……」
「店が並んでいる……?」
彼らにとっては、ここは別世界だった。行商人としての顔は嘘ではない。だからこそ、商人としてこれはあり得ないと思った。
「お? あんたら、行商人の……」
「え、ええ……」
気安く声を掛けて来た男性は、沢山の荷物を抱えていた。行商人として、長く活動しているため、それなりに顔を知っている者はいた。
「俺も行商やってんだが……やっぱ、見ときたいよなあ。けど、羨ましいと思うのがバカバカしくなるぜ?」
「これは……貴族の援助が?」
「は? ねえよ。まあ、援助したいんだろうけどな~」
そう言って男が目を向ける先には、貴族らしき者達がいる。行儀良く並んでいるようだ。
この際だと情報収集のつもりで尋ねる。
「……もう国王が後ろについているって……」
「ん~。その王もお得意様らしいけどな。普通に買い物してたり、お茶してたりするぜ? あっ、クーちゃんがっ! じゃあ、楽しめよ~」
「え、あ、はい……」
目立つ舞台の上に女性が一人とクマのぬいぐるみが現れる。その後ろには、その女性とクマが大きく映っている。
「なっ! なんだあれ……っ」
「あんた達、ここはじめて? アレはモニター。昔の賢者様の研究を引き継いで、完成させた物らしいわ。神官様に聞いたから確かよ」
「賢者の……っ、それは、賢者の偉業の功績を奪ったのでは……っ」
「え? あははっ。そんなこと思うなら、博覧会見て来たら? あそこでやってるから。というか、そういうこと思う人たちがいるから、あれをやってるのかもねえ」
笑いながら、その女性は手を振って舞台の前の人だかりの中に消えていった。
「……行ってみよう」
「ああ……」
そうした数人ずつの集まりは、次第にそこに集まっていった。
「これは……っ」
「すごい……」
「っ……」
一番はじめの賢者から、その功績やどんな人物だったかが見て分かるようになっている。そこには、肖像画もあった。
「賢者の姿なんて……どうやって……っ、やはりインチキ……」
「あら。聞き捨てならないわね」
「ほんとうだよ。私たちの作品にケチをつけるとは」
「っ……まさか、聖女っ、さまと、聖者様……っ」
「いつもの服装ではないのに分かるなんて、やるじゃない」
聖女と聖者は、この博覧会用の制服を着ていた。教会で用意された聖女と聖者の衣装を着るのが当たり前になっている彼らからすれば、とても新鮮な気持ちだ。
「ねえ。私たちも変装の仕方を教えてもらうべきかしら」
「ダメだよ。いつも追いかけてきてる子達に泣かれそう」
「まあ、あの服装が目印よね」
「ここでは良いけど、なってしまったものは仕方ないし、我慢しよう」
「そうね……ああ、それでね? この肖像画は、私たちともう一人、画家によって描かれたものよ。賢者の姿は、神に見せてもらったわ。神の記憶にある彼らの姿を、私たちで映し描いたの」
「っ……」
聖女や聖者が、神を出して嘘を吐くはずがない。
「ゆっくり見ていくといいわ。それぞれの研究も面白いわよ。求める目標に向かう情熱がね。やはり賢者様はすごい」
たいていの賢者たちの研究は中途半端に止まってしまっている。最終的になにをしたかったのか、どうなりたかったのかの最終形態も展示してあった。
「……こんなの……やはり賢者の功績を奪っているのでは……」
そのつぶやきが聞こえた聖者が振り返った。
「君たちには、それは許されないことなのかな」
「っ、当たり前です! これは、賢者の意志に反する!」
「本当に?」
「え……」
冷静に聖者に返されて戸惑ったようだ。そして、聖者は首を傾げて問いかけた。
「ところで……君たちは賢者の何なのかな」
「っ、我々は、賢者の子孫だ!」
「「そう……」」
その宣言を、聖女と聖者は待っていた。
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