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564 ローズのメイド
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2017. 2. 17
**********
ティアが王の悪ふざけに付き合っている頃。舞踏会場から少々離れたリザラント公爵家の控え室でローズが苛立ちを募らせていた。
その手には伝魔石が握られている。
「あいつらっ……また私のものを奪うなんてっ!!」
「「……」」
部屋の隅に控えている二人のメイド達は、顰めそうになる顔を必死で堪えていた。
ローズが目の敵にしているのは、バトラールとヒュリアだ。しかし、どちらもローズの勝手な敵視でしかない。
「レイ様は私の婚約者よ! 皆がそれを望んでいるわ。それなのにっ……!」
元々、もう一人のレイナルートの婚約者候補は眼中になかった。だから、絶対に自分が婚約者だと思っていた。
当初、本当はあと二人候補が上がっていた。しかし、組織の者が調べ上げ、彼女達に相手がいると知るとそれを応援するからと近付き、弾き出したのだ。
もちろん、ローズにはそんな二人が相手と今どうしているのかは知らない。知る気もない。
「私こそが相応しいのにっ……神子様だって、そう仰ったわ。王妃になる事で、あの方の願いも叶えられるのに!」
ローズにとって、神子は全てだ。母は病に伏し、自分がこの国のリザラント公爵の娘だと教えてくれる者はいないはずだった。
最期が近付いても、母は父親が誰なのか告げなかったからだ。しかし、神子はそれを調べ、証拠も提示してきた。そして、母が亡くなって間も無く、リザラント公爵が自ら迎えに来たのだ。
自分が公爵家の令嬢。リザラント家には本妻の間に双子の娘と息子がいたらしいが、早くに亡くなったという。双子が貴族の間では忌み嫌われていた事もあり、子どもが生まれたという公表はされていなかった。
お陰ですんなりとリザラント家へ迎えられる事になったのだ。
「そうだわ。あなた達の腕が悪いのかもしれないわね。私の魅力を引き出せていないんだわ。だからレイナルート様があんな派手で野蛮な女に靡くのよ。令嬢ではない珍しさを魅力だと勘違いされているんだわ。そうよ、そうに決まっているわ」
「「……」」
先程からメイド達は一言も発しない。内心、かなり呆れていたのだ。それもそのはず、彼女達の名はアリシアとベティ。
ローズは知らないが、ユフィアと共にティアがドーバン侯爵家から引き抜いたメイドだ。既にリジットやラキアから指導を受け、立派なスーパーメイドとなっていた。
そんな二人がなぜリザラント公爵家のローズ付きメイドをしているのか。その理由は、ローズの事を知ったティアの差し金だった。
リザラント家は、もう何代も表に出てくる事がなかった。領地で慎ましく、堅実に治めていたので、問題になった事もなかったのだ。
子どももいない事で、古株のメイドや執事が数人しかいない。ローズが領地から離れて学園に通うという事もあり、ローズの為に新しいメイドをと探していた。
しかし、名前も出てこなくなった古い公爵家。そこに勤めようとするメイドは現れなかった。旧家は人間関係が難しいと思われているのだ。
ちょうどローズの監視も必要だと思っていたし、メイドとして同性の者の方が色々と一緒に居やすい。そんな考えから、二人を派遣したのだ。
名前も偽名だ。父母を亡くしメイドとしての働き口を探していたという口実も作り、二人はシンシア、ベルティと名乗り、上手く入り込んだ。
「申し訳ございません。王太子様は年上ですので、釣り合うよう少し大人っぽく見せるようにしたのですが」
「これ以上の技術は残念ですが持っておりません。すぐに本来の年齢に見えるようにいたします」
二人がティアと出会った頃のままであったなら、素材の問題だと正直に答えていただろう。人はこれ程までに成長するのだ。
ローズはリザラント家にいた古参のメイド達しか知らないので、この二人の優秀さに気付いていない。
「そうしてちょうだい。これから、あの双子の王子達を誘惑するの。少しでも年齢差は詰めておかなくちゃ。油断させるのに必要だわ」
「「……はい……」」
アリシアとベティは嫌な予感を感じながら、ローズの支度を始めた。そこでローズが手にしていた伝魔石に反応があったのだ。
**********
舞台裏のお話。
王「監視は付けているのか?」
ティア「もちろんです。優秀なのを三人。ピンチになれば応援も来ますよ」
王「頼もしいな。嫁に来ないか?」
ティア「遠慮します。今の方が気楽でいいですし」
王「そうなのか……確かに王は面倒くさいな」
ティア「本気で本音を口にしないで……」
王「これはうっかり」
ティア「軽いです。周りにいっぱい居るんですから、ちょっとは繕ってください」
王「君はそれが嫌いだろう?」
ティア「そうですけど……」
王「それに、周りに聞こえなくしてくれているだろう。信頼しているぞ」
ティア「……あんま信用しないでもらいたいんですけど」
王「ははっ、それでも頼りにしている」
ティア「……はい……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
本当に、食えない人なんです。
メイド二人。
潜入調査中です。
では次回、月曜20日の0時です。
よろしくお願いします◎
**********
ティアが王の悪ふざけに付き合っている頃。舞踏会場から少々離れたリザラント公爵家の控え室でローズが苛立ちを募らせていた。
その手には伝魔石が握られている。
「あいつらっ……また私のものを奪うなんてっ!!」
「「……」」
部屋の隅に控えている二人のメイド達は、顰めそうになる顔を必死で堪えていた。
ローズが目の敵にしているのは、バトラールとヒュリアだ。しかし、どちらもローズの勝手な敵視でしかない。
「レイ様は私の婚約者よ! 皆がそれを望んでいるわ。それなのにっ……!」
元々、もう一人のレイナルートの婚約者候補は眼中になかった。だから、絶対に自分が婚約者だと思っていた。
当初、本当はあと二人候補が上がっていた。しかし、組織の者が調べ上げ、彼女達に相手がいると知るとそれを応援するからと近付き、弾き出したのだ。
もちろん、ローズにはそんな二人が相手と今どうしているのかは知らない。知る気もない。
「私こそが相応しいのにっ……神子様だって、そう仰ったわ。王妃になる事で、あの方の願いも叶えられるのに!」
ローズにとって、神子は全てだ。母は病に伏し、自分がこの国のリザラント公爵の娘だと教えてくれる者はいないはずだった。
最期が近付いても、母は父親が誰なのか告げなかったからだ。しかし、神子はそれを調べ、証拠も提示してきた。そして、母が亡くなって間も無く、リザラント公爵が自ら迎えに来たのだ。
自分が公爵家の令嬢。リザラント家には本妻の間に双子の娘と息子がいたらしいが、早くに亡くなったという。双子が貴族の間では忌み嫌われていた事もあり、子どもが生まれたという公表はされていなかった。
お陰ですんなりとリザラント家へ迎えられる事になったのだ。
「そうだわ。あなた達の腕が悪いのかもしれないわね。私の魅力を引き出せていないんだわ。だからレイナルート様があんな派手で野蛮な女に靡くのよ。令嬢ではない珍しさを魅力だと勘違いされているんだわ。そうよ、そうに決まっているわ」
「「……」」
先程からメイド達は一言も発しない。内心、かなり呆れていたのだ。それもそのはず、彼女達の名はアリシアとベティ。
ローズは知らないが、ユフィアと共にティアがドーバン侯爵家から引き抜いたメイドだ。既にリジットやラキアから指導を受け、立派なスーパーメイドとなっていた。
そんな二人がなぜリザラント公爵家のローズ付きメイドをしているのか。その理由は、ローズの事を知ったティアの差し金だった。
リザラント家は、もう何代も表に出てくる事がなかった。領地で慎ましく、堅実に治めていたので、問題になった事もなかったのだ。
子どももいない事で、古株のメイドや執事が数人しかいない。ローズが領地から離れて学園に通うという事もあり、ローズの為に新しいメイドをと探していた。
しかし、名前も出てこなくなった古い公爵家。そこに勤めようとするメイドは現れなかった。旧家は人間関係が難しいと思われているのだ。
ちょうどローズの監視も必要だと思っていたし、メイドとして同性の者の方が色々と一緒に居やすい。そんな考えから、二人を派遣したのだ。
名前も偽名だ。父母を亡くしメイドとしての働き口を探していたという口実も作り、二人はシンシア、ベルティと名乗り、上手く入り込んだ。
「申し訳ございません。王太子様は年上ですので、釣り合うよう少し大人っぽく見せるようにしたのですが」
「これ以上の技術は残念ですが持っておりません。すぐに本来の年齢に見えるようにいたします」
二人がティアと出会った頃のままであったなら、素材の問題だと正直に答えていただろう。人はこれ程までに成長するのだ。
ローズはリザラント家にいた古参のメイド達しか知らないので、この二人の優秀さに気付いていない。
「そうしてちょうだい。これから、あの双子の王子達を誘惑するの。少しでも年齢差は詰めておかなくちゃ。油断させるのに必要だわ」
「「……はい……」」
アリシアとベティは嫌な予感を感じながら、ローズの支度を始めた。そこでローズが手にしていた伝魔石に反応があったのだ。
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舞台裏のお話。
王「監視は付けているのか?」
ティア「もちろんです。優秀なのを三人。ピンチになれば応援も来ますよ」
王「頼もしいな。嫁に来ないか?」
ティア「遠慮します。今の方が気楽でいいですし」
王「そうなのか……確かに王は面倒くさいな」
ティア「本気で本音を口にしないで……」
王「これはうっかり」
ティア「軽いです。周りにいっぱい居るんですから、ちょっとは繕ってください」
王「君はそれが嫌いだろう?」
ティア「そうですけど……」
王「それに、周りに聞こえなくしてくれているだろう。信頼しているぞ」
ティア「……あんま信用しないでもらいたいんですけど」
王「ははっ、それでも頼りにしている」
ティア「……はい……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
本当に、食えない人なんです。
メイド二人。
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では次回、月曜20日の0時です。
よろしくお願いします◎
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