元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南

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第十四章

633 お仕置きを少々

昼過ぎ、王都ギルドにやって来たコウヤは、職員達に詰め寄られた。

「コウヤ様! ドラゴン狩りの遠征をするって本当ですか!?」
「コウヤさん!? 空魚の出る迷宮に遠征に出るって聞いたんですけど!?」

今や、教会から飛空艇を使えば、ユースールに数時間で行けてしまう。

これにより、その日の内に遠方からも正しい情報が届くようになっている。

ユースールの噂など、ほんの少し前までは、ほとんどが眉唾物と思われていたこともあり、ユースールから飛空艇にて直通でここに来た者の言葉でも、最初は少し疑うらしい。それがようやく信じはじめたところだ。

しかし、流石にドラゴンはないだろうと思ったようだ。空魚の出る迷宮も海の近い他国にあるものなので、行けるのかと喜び半分、驚き半分といった具合だ。

「あ、うん。両方本当だよ」
「「「「「ずるいっ!!」」」」」
「え?」

聞き耳を立てていたらしい冒険者達が今度は詰め寄ってきた。カウンター越しなのでそこで堰き止められるが、ニール達が反射で動きそうになっていた。

「ユースールの奴らだけなんてずるいっスよ!」
「俺も行きたい! と言うか、今からユースール行って登録したら行ける?」
「それなら行くぞ! ユースール!」
「あ~、じゃあここでも登録受け付けますよ。ただし、空魚の方だけです。ドラゴンはユースールの人たちに譲ってください。どのみち、連携取れないと危ないので」
「「「「「ええっ!!」」」」」

冒険者達が不満そうにするが、ここは説得しなければならない。

「人数が多くなり過ぎても戦いづらいですし、ドラゴン一匹ですからね? 精々、高ランクのパーティ八組くらいまでです。ユースールでも多ければリクト兄に選抜してもらう予定なので」
「あ……リクトルス様に……」
「俺らじゃ無理だわ……」
「審査あるの……」
「選外なの決定……」

リクトルスに選ばれると聞いて、ほぼ全ての冒険者が諦めた。ユースールの冒険者達との差も少しはわかっているらしい。

「けど、空魚の出る迷宮ってのは行ける?」
「そっちは、定期的にツアーでも組もうかと思っていたんです。他にも変わった迷宮がある島なので、ルート整備しようかなと」
「島……って、まさか……」
「はい。南の、あの島です!」
「あそこかあっ」
「漁船しか出てないって聞いた。飛空艇で行けるなら……行きたいな」
「あそこで俺ら、ちょっと強くなったしな」

多くの冒険者の思い出の島だ。迷宮に一度は全て呑み込まれたが、今や変わり種の迷宮の乱立する島となっている。

「早急にギルド本部とも話し合いをしますから、待っててください。ただ、あの島の迷宮はどこもAなので、鍛えておいてくださいね。高位ランクの冒険者しか出入りできないようにするかもしれないので」
「え……な、なら、鍛える!」
「行ってみたいもんなっ。よし! 特訓だ!」
「もっと強くなるぜ!」
「この依頼頼む!」
「俺も!」
「順番にお願いしますね」
「「「「「はい!」」」」」

冒険者達は、素直に自分たちの実力を認め、特訓に入るようだ。もう空魚だドラゴンだと言う者はいなかった。

「ふう。なんとか説得できましたね」
「「……すごいです……」」

諦めてくれたようで助かったとコウヤはほっとする。

「少し前までは、絶対に納得しなかったですよ……」
「自分たちは強いとか思い込んでる勘違い野郎ばかりでしたもんね」
「王都で活躍してる俺たちが一番強いとか言ってました」

なぜか王都まで来た自分たちが一番だと思っている冒険者は多かった。それがどうだろう。きちんと自分たちの実力を認められるようになっている。

「何かあったんでしょうか?」
「……ユースールの方々に訓練つけてもらってました」
「神官様に手ほどきを受けてました」
「ボコボコ、ボロボロにされてましたよ~」
「あと、ニールさんやそこのお二人にも」
「え?」

コウヤ付きのニールやフラスタ、ディスタへ目を向けると、三人ともが何かを思い出すように宙に視線を向けて頷いた。

「少々、躾がなっていないのがいましたね」
「子どもだからと甘く見てくれたので」
「良いとこの坊ちゃんが~とか口が悪かったのがいましたので」
「「「お仕置きを少々」」」
「あ、うん。あまり怪我させないでね?」
「「「はい!」」」

ニールはもちろんのこと、二人の元王子の侍従も騎士達や神官達、更にはリクトルスによって鍛えられたため、かなりの実力を付けている。コウヤの侍従ならばと言われてやる気になったらしい。

今や中堅どころの冒険者にも勝てる。子どもの成長は早いねと指導した者達は涙ぐんでいた。素質も十分あったらしく、体付きも変わってきている。その内、侍従というより騎士と言ってもいい見た目になりそうだ。

「さてと。お仕事しますか」

コウヤはやる気いっぱいの冒険者達を前に嬉しそうな笑みを浮かべていた。忙しいのは良いことである。






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