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第十章
409 留めておきます
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獣人族の里は、山に囲まれた場所にあった。そこに入り込む道は数少なく、外からの侵入者を拒んでいることが分かる。
神教国の周りに集まっていた獣人族たちは、神子であるハナとカイに威圧され、文字通り尻尾を巻いて里へと逃げ帰っていった。
ハナは、たおやかなお姫様にも見えるが、見た目を裏切る武闘派のくノ一だ。そして、カイは寡黙な剣士といえる見た目も実力も兼ね備えた人。そんな二人によって、里に戻れと威圧されれば、強者を嗅ぎ分ける嗅覚を持つ獣人たちは素直に従うしかなかった。
その逃げっぷりが可愛いと、ハナは上機嫌だったようだ。そして提案した。
「このまま追いましょう」
「……ハナ……いや、わかった……」
カイはハナの笑顔の裏にあるものに気付き、従った。そして、ついでとばかりに迷宮化対策用の野営地までやってきた。
「なんだか、中の人たちは弱っていますわねえ」
「これは……毒の影響もありそうだな」
「迷宮化で、周りにある薬草も毒草化するのでしたわね。魔獣も異変を気にして近くに居ないようですし……食糧の確保はどうしているのでしょう?」
里の入り口が見える付近。そこに迷宮化対策のための野営地を整えていた。今はハナとカイをこの場の代表にし、従魔術師となった冒険者たちが周りを調査中だ。
そのテントの外で、嫌がらせも兼ねて、ハナとカイは里の入り口を見張っている。
里抜けした者や、獣人の混血児たちが冒険者ギルドの上層部にもいるが、里に居る獣人たちは、自分達以外のそういった者たちを下に見る傾向がある。
よって、この場に獣人関係の冒険者は置けなかった。説得している時間は惜しいし、下手に関わらせて揉め事を起こされるのも困る。
「あれでは、食糧がなくとも、弱味など見せませんわよね?」
「……略奪だろう。ここまでの村跡のいくつかに、そんな様子が見られた」
「まあっ。それは……躾けが必要ですわね……」
「……ハナ」
ハナから殺気が漏れる。それに、後ろのテント内にいた冒険者たちが、びくりと身を震わせる。それを感じて、カイが批難の目を向ける。
「あら。失礼しました。ですが、残念ですわ。昔からその傾向は感じていましたけれど、これでは神々への冒涜です……どの種族であっても、どのような生まれの人でも、想うことは自由ですわ」
「……ああ……誰かが上で、下だなどと決めつける世界は……望まれないだろう」
獣人たちは強くなければならないと思っている。自分達種族が身体的に明らかに劣る人族と血を混ぜることや、友人として一緒に戦う仲間として生きることが許せないのだ。弱い者と背を預けられるなどあり得ない。それは強者としてあるべき自分達とはもう、違う存在だと思っているのだろう。
それに後付けのように、エルフ族に唆されたのか、人族は神を怒らせるほど愚かな存在で、それと一緒に居ようと思うものは間違っているという考えに至ったらしい。少々洗脳されやすい素直な所があるのが獣人族の特色だ。
「エルフも大概でしたけれど、愚かですわ……ただ、あちらと違って本能が強い分、躾やすそうではありますわね」
「ああ」
カイもこれには同意する。
「ですが、下手に出てきてもらっても邪魔ですもの。迷宮化の問題を解決してからにしましょうか」
「ここに俺たちが居れば、出て来ぬだろう」
ハナとカイが居ることで、彼らを里に押し込められる。今も獣人たちの本能が、逆らってはいけない者だと警鐘を鳴らしまくっていることだろう。
そんな所に、コウルリーヤの姿のまま、パックンとダンゴを連れて、コウヤは転移して来た。
「お邪魔しま~す」
《やっほー ( ̄∇ ̄) 》
《こんにちはでしゅっ》
「っ、こ、コウルリーヤ様!?」
「っ!!」
ハナが思わず大きな声を出し、カイは飛び上がらんばかりに驚いていた。
「あ、ごめんなさい。驚かせましたね」
「い、いえっ。そんなっ。光栄ですわ。その……っ、そのお姿が見られるなんてっ」
「ご無礼を……っ」
二人が慌てて一歩下がり、膝を突いて深く頭を下げる。
「あ~、やめてください。普通にっ。普通にお願いしますっ」
感覚はコウヤで居る時のものが強くなっている。だから、傅かれたりするのは反応に困るのだ。
二人が顔を見合わせてから、顔を上げて立ち上がるのを待ち、コウヤは本題に入った。
「ここの迷宮化した土地に残っている魔獣や魔物たちを避難させたいんだ。その方が、冒険者の人たちも動きやすいでしょう? 魔獣たちには、俺が話を付けてくる。その避難用の場所に、どこかいい所はないかな?」
「そういうことでしたら……」
「地図があります。テントへどうぞ」
「あ、うん」
中に入ると、ここでも冒険者たちが目を丸くしてコウヤを迎え入れる。
「お仕事の邪魔してごめんね?」
「「「「「っ、お、お構いなく~」」」」」
突然現れたコウルリーヤ姿のコウヤに、ユースールの冒険者たちが愛想笑いで応える。目は忙しなくパックンやダンゴにも向いており、『コウヤだよね?』『いいの? いいの?』と目で二匹に訴えていた。
そして、パックンとダンゴは、神妙な顔で頷き、ゆっくりと首を振る。
ユースールの冒険者は心得たと頷いた。心は同じ。
『コウヤだってことは内緒な』
そして、コウヤに見惚れ、初めてその姿を見る王都や他の町から来た従魔術師たちは、ユースールの者たちによって小声で『コウルリーヤ様だ』と説明されて仰天していく。
これにより、ここでも従魔との繋がりの術が切れて、従魔たちが駆け戻ってくることになるが、それまでにはコウヤとの話は終わっていた。
「じゃあ、よろしくね。獣人の里の人たちは……」
「ご心配なく。わたくしたちで、里内に留めておきますわ」
「必ず」
カイも力強く頷いた。
それを見て、コウヤは決める。
「今回、あえて獣人関係の冒険者をこちらの対応に回そうと思います」
「……それは……」
困惑するハナ。けれど、カイはその意図に気付いたらしい。
「認めさせるため……自覚させるためですね」
「うん。人の力や、里を出た人たちの力を認めさせることができると思うんだ。それと、逃げてた人たちも……逃げる必要なんてないってことを自覚させたい。味方は大勢居るんだ」
里を抜けた彼らは堂々としていて良い。怯える必要はない。ただ、彼らは生き方を選んだだけだ。誰にも責める資格はない。自分達は間違っていないのだと、胸を張っていればいい。
「里の在り方に、話を聞いた人は疑問を抱いてる。これ以上、冒険者ギルドは黙っていないし、商業ギルドも事を構える覚悟が整い出してる」
冒険者ギルドは、異種族の問題に立ち向かうためにも組織されたもの。問題の周知も成された今、里の者に手出しされたら、皆で立ち向かう所存だ。そして、商業ギルドも、今や多くの里から逃げてきた異種族を受け入れる場所。
従業員を守るのも務めだと立ち上がった。何より、理不尽な言い掛かりを付けて来た者たちに、今回は腹を立てたらしい。営業妨害になったことに、相当お冠なようだ。
「出てこないのも自由。だから、出て行った人たちの自由も奪わせない」
「っ……はい」
「承知しました」
コウヤの決意に、ハナとカイは深く首を垂れる。自分達もと同意を示した。
その後、野生の魔獣のボスと話をし、避難を開始させた。
「さてと……会議はどうなったかな」
そして、コウヤは現状確認のためにもと、上空に浮かぶ城へと向かったのだった。
もちろん、コウルリーヤの姿のまま。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
二日空きます。
よろしくお願いします◎
神教国の周りに集まっていた獣人族たちは、神子であるハナとカイに威圧され、文字通り尻尾を巻いて里へと逃げ帰っていった。
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その逃げっぷりが可愛いと、ハナは上機嫌だったようだ。そして提案した。
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カイはハナの笑顔の裏にあるものに気付き、従った。そして、ついでとばかりに迷宮化対策用の野営地までやってきた。
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「これは……毒の影響もありそうだな」
「迷宮化で、周りにある薬草も毒草化するのでしたわね。魔獣も異変を気にして近くに居ないようですし……食糧の確保はどうしているのでしょう?」
里の入り口が見える付近。そこに迷宮化対策のための野営地を整えていた。今はハナとカイをこの場の代表にし、従魔術師となった冒険者たちが周りを調査中だ。
そのテントの外で、嫌がらせも兼ねて、ハナとカイは里の入り口を見張っている。
里抜けした者や、獣人の混血児たちが冒険者ギルドの上層部にもいるが、里に居る獣人たちは、自分達以外のそういった者たちを下に見る傾向がある。
よって、この場に獣人関係の冒険者は置けなかった。説得している時間は惜しいし、下手に関わらせて揉め事を起こされるのも困る。
「あれでは、食糧がなくとも、弱味など見せませんわよね?」
「……略奪だろう。ここまでの村跡のいくつかに、そんな様子が見られた」
「まあっ。それは……躾けが必要ですわね……」
「……ハナ」
ハナから殺気が漏れる。それに、後ろのテント内にいた冒険者たちが、びくりと身を震わせる。それを感じて、カイが批難の目を向ける。
「あら。失礼しました。ですが、残念ですわ。昔からその傾向は感じていましたけれど、これでは神々への冒涜です……どの種族であっても、どのような生まれの人でも、想うことは自由ですわ」
「……ああ……誰かが上で、下だなどと決めつける世界は……望まれないだろう」
獣人たちは強くなければならないと思っている。自分達種族が身体的に明らかに劣る人族と血を混ぜることや、友人として一緒に戦う仲間として生きることが許せないのだ。弱い者と背を預けられるなどあり得ない。それは強者としてあるべき自分達とはもう、違う存在だと思っているのだろう。
それに後付けのように、エルフ族に唆されたのか、人族は神を怒らせるほど愚かな存在で、それと一緒に居ようと思うものは間違っているという考えに至ったらしい。少々洗脳されやすい素直な所があるのが獣人族の特色だ。
「エルフも大概でしたけれど、愚かですわ……ただ、あちらと違って本能が強い分、躾やすそうではありますわね」
「ああ」
カイもこれには同意する。
「ですが、下手に出てきてもらっても邪魔ですもの。迷宮化の問題を解決してからにしましょうか」
「ここに俺たちが居れば、出て来ぬだろう」
ハナとカイが居ることで、彼らを里に押し込められる。今も獣人たちの本能が、逆らってはいけない者だと警鐘を鳴らしまくっていることだろう。
そんな所に、コウルリーヤの姿のまま、パックンとダンゴを連れて、コウヤは転移して来た。
「お邪魔しま~す」
《やっほー ( ̄∇ ̄) 》
《こんにちはでしゅっ》
「っ、こ、コウルリーヤ様!?」
「っ!!」
ハナが思わず大きな声を出し、カイは飛び上がらんばかりに驚いていた。
「あ、ごめんなさい。驚かせましたね」
「い、いえっ。そんなっ。光栄ですわ。その……っ、そのお姿が見られるなんてっ」
「ご無礼を……っ」
二人が慌てて一歩下がり、膝を突いて深く頭を下げる。
「あ~、やめてください。普通にっ。普通にお願いしますっ」
感覚はコウヤで居る時のものが強くなっている。だから、傅かれたりするのは反応に困るのだ。
二人が顔を見合わせてから、顔を上げて立ち上がるのを待ち、コウヤは本題に入った。
「ここの迷宮化した土地に残っている魔獣や魔物たちを避難させたいんだ。その方が、冒険者の人たちも動きやすいでしょう? 魔獣たちには、俺が話を付けてくる。その避難用の場所に、どこかいい所はないかな?」
「そういうことでしたら……」
「地図があります。テントへどうぞ」
「あ、うん」
中に入ると、ここでも冒険者たちが目を丸くしてコウヤを迎え入れる。
「お仕事の邪魔してごめんね?」
「「「「「っ、お、お構いなく~」」」」」
突然現れたコウルリーヤ姿のコウヤに、ユースールの冒険者たちが愛想笑いで応える。目は忙しなくパックンやダンゴにも向いており、『コウヤだよね?』『いいの? いいの?』と目で二匹に訴えていた。
そして、パックンとダンゴは、神妙な顔で頷き、ゆっくりと首を振る。
ユースールの冒険者は心得たと頷いた。心は同じ。
『コウヤだってことは内緒な』
そして、コウヤに見惚れ、初めてその姿を見る王都や他の町から来た従魔術師たちは、ユースールの者たちによって小声で『コウルリーヤ様だ』と説明されて仰天していく。
これにより、ここでも従魔との繋がりの術が切れて、従魔たちが駆け戻ってくることになるが、それまでにはコウヤとの話は終わっていた。
「じゃあ、よろしくね。獣人の里の人たちは……」
「ご心配なく。わたくしたちで、里内に留めておきますわ」
「必ず」
カイも力強く頷いた。
それを見て、コウヤは決める。
「今回、あえて獣人関係の冒険者をこちらの対応に回そうと思います」
「……それは……」
困惑するハナ。けれど、カイはその意図に気付いたらしい。
「認めさせるため……自覚させるためですね」
「うん。人の力や、里を出た人たちの力を認めさせることができると思うんだ。それと、逃げてた人たちも……逃げる必要なんてないってことを自覚させたい。味方は大勢居るんだ」
里を抜けた彼らは堂々としていて良い。怯える必要はない。ただ、彼らは生き方を選んだだけだ。誰にも責める資格はない。自分達は間違っていないのだと、胸を張っていればいい。
「里の在り方に、話を聞いた人は疑問を抱いてる。これ以上、冒険者ギルドは黙っていないし、商業ギルドも事を構える覚悟が整い出してる」
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「っ……はい」
「承知しました」
コウヤの決意に、ハナとカイは深く首を垂れる。自分達もと同意を示した。
その後、野生の魔獣のボスと話をし、避難を開始させた。
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そして、コウヤは現状確認のためにもと、上空に浮かぶ城へと向かったのだった。
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