元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南

文字の大きさ
344 / 495
第十一章

449 ちょっとしんどいから

しおりを挟む
この迷宮化の良い所は幾つかある。

現在、本来は平坦な森であるはずの場所。それを精霊達の力によって地形を変え、見た目も変えている。

だから、今回のように渓谷の底にドロップ品が落ちてしまったとしても、迷宮化が解除されたなら、ドロップ品はそのままコロンと森の中に転がった状態になるのだ。

午前中に確認した迷宮化の解けた場所にも、幾つか拾い忘れがあった。

それらの回収は、明日にも一部の冒険者達を派遣して、のんびり散歩しながら宝探し的な仕事をお願いすることになる予定だ。

「あっ、五匹くらい来そうだね」
「「「お任せください!」」」

『あかいろ』と『だいだいいろ』は色が目立つからか上手く釣って来れたらしい。

ニール達になすりつけ、また渓谷の方に戻って行こうとする二本に、コウヤは命令をする。

「あかいろ、だいだいいろ。崖に取り付いてるのは、倒してしまってもいいからね」


今もまた上手く釣れたらしい『きいろ』が二匹ほど釣って来ている。

この調子ならば、それほどかかることなくワイバーンは殲滅できそうだ。

「残り十二だよ~」
「「「はいっ!」」」

コウヤも参戦しながら、二十分ほどで殲滅が完了した。

「それじゃあ、次はドラゴンね!」

ゆったりとした歩みで、ドラゴンが飛んでいる滝のある場所へ向かう。その途中で、バルーンの色を確認した。

「あ、もう残り四分の一だ。意外と数が少なかったね」
「ですが……ドラゴンとは、かなり大きいのですね……」
「「……」」

ワイバーンも、十分大きいと思ったのだろう。しかし、そのワイバーンよりも、まだ遠い位置から見てもドラゴンはかなり大きい。

「火龍は特に大型なんだよ。ワイバーンの……三倍くらいかな」
「テンキ殿の変化したドラゴンを見せていただきましたが……それより大きいのですね」
「うん。【 天竜バハムート 】モードは白龍と同じだからね。ワイバーンの二倍くらい。ドラゴンとしては小型なんだ」

武神であるリクトルスが創り出した存在なのだ。大きさで勝つより、小回りと技術で勝負に勝つべきと考える。よって、ドラゴンとしては小型を取ったのだ。

だが、コウルリーヤが邪神として討たれた時に変化したテンキは、真っ黒で火龍よりも更に一回りは大きかったはずだ。

それを思い出したコウヤは、最終ボスを察した。

「あ~……これはアレだね。最後のボスは、暗黒龍かな。そういえば、この辺だったかも。アレを倒したの」
「え……」
「え……」
「は……?」

うんうんと納得しながら頷くコウヤ。とっても嫌な予感だとニール達は顔を青ざめさせていた。

「ちょっと体力温存してね。最後の多分、ちょっとしんどいから」
「「「……」」」
「ボス出る頃に、テンキとか呼ぶよ。大丈夫、大丈夫っ」
「「「……はい……」」」

コウヤ的にも厳しいとの判断が下ったことはニール達も理解できた。

**********
読んでくださりありがとうございます◎
一度お休みさせてもらいます!
次回、来週27日です。
よろしくお願いします◎
しおりを挟む
感想 2,830

あなたにおすすめの小説

お前を愛することはないと言われたので、姑をハニトラに引っ掛けて婚家を内側から崩壊させます

碧井 汐桜香
ファンタジー
「お前を愛することはない」 そんな夫と 「そうよ! あなたなんか息子にふさわしくない!」 そんな義母のいる伯爵家に嫁いだケリナ。 嫁を大切にしない?ならば、内部から崩壊させて見せましょう

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

婚約破棄? そもそも君は一体誰だ?

歩芽川ゆい
ファンタジー
「グラングスト公爵家のフェルメッツァ嬢、あなたとモルビド王子の婚約は、破棄されます!」  コンエネルジーア王国の、王城で主催のデビュタント前の令息・令嬢を集めた舞踏会。  プレデビュタント的な意味合いも持つこの舞踏会には、それぞれの両親も壁際に集まって、子供たちを見守りながら社交をしていた。そんな中で、いきなり会場のど真ん中で大きな女性の声が響き渡った。  思わず会場はシンと静まるし、生演奏を奏でていた弦楽隊も、演奏を続けていいものか迷って極小な音量での演奏になってしまった。  声の主をと見れば、ひとりの令嬢が、モルビド王子と呼ばれた令息と腕を組んで、令嬢にあるまじきことに、向かいの令嬢に指を突き付けて、口を大きく逆三角形に笑みを浮かべていた。

婚約破棄?ありがとうございます!では、お会計金貨五千万枚になります!

ばぅ
恋愛
「お前とは婚約破棄だ!」 「毎度あり! お会計六千万金貨になります!」 王太子エドワードは、侯爵令嬢クラリスに堂々と婚約破棄を宣言する。 しかし、それは「契約終了」の合図だった。 実は、クラリスは王太子の婚約者を“演じる”契約を結んでいただけ。 彼がサボった公務、放棄した社交、すべてを一人でこなしてきた彼女は、 「では、報酬六千万金貨をお支払いください」と請求書を差し出す。 王太子は蒼白になり、貴族たちは騒然。 さらに、「クラリスにいじめられた」と泣く男爵令嬢に対し、 「当て馬役として追加千金貨ですね?」と冷静に追い打ちをかける。 「婚約破棄? かしこまりました! では、契約終了ですね?」 痛快すぎる契約婚約劇、開幕!

【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。

ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」 実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて…… 「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」 信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。 微ざまぁあり。

「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ

猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。 当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。 それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。 そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。 美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。 「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」 『・・・・オメエの嫁だよ』 執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?

「お前との婚約はなかったことに」と言われたので、全財産持って逃げました

ほーみ
恋愛
 その日、私は生まれて初めて「人間ってここまで自己中心的になれるんだ」と知った。 「レイナ・エルンスト。お前との婚約は、なかったことにしたい」  そう言ったのは、私の婚約者であり王太子であるエドワルド殿下だった。 「……は?」  まぬけな声が出た。無理もない。私は何の前触れもなく、突然、婚約を破棄されたのだから。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。