元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南

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第十一章

460 すごい村にしなきゃね!

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武器の調整とエルフの里の改変をお願いしたいとドワーフの者たちに伝えれば、少しだけ考えた素振りを見せた後、重々しく頷いてくれた。

目が輝いているのが分かった。

それではと、マンタを出して乗ってくれと言えば、予想通りというか、いつかのドラム組と同じような反応をしてくれた。

「なんだこれは! こんなっ、こんな美しい曲線が可能なのか!」
「大きい! なんて大きさだ! 作り上げるのにどれだけの時間がっ!」
「これがどうなるのだ!? 飛ぶ!? 重量と魔法による出力のバランスはどうなっている!?」

乗り込んでもらうまでに二時間。そのあと、船内を見て回るのにまた二時間。

もちろん、これらを見込んで、日が昇ってすぐに声をかけている。朝食も忘れて、はしゃいでいた。

途中でドラム組とゼストラークを回収し、ダンゴ船長に後を任せて、遊覧飛行を十分に楽しんでもらい、昼前にようやくエルフの里の上空にやって来たというわけだ。

その間にドラム組とドワーフ達は、当然のように友誼を結んだようだ。

《これを降ろす場所がないので、飛び降りてもらっていいでしゅか?》

このダンゴの提案に、一度目を丸くしたドワーフ達だったが、ドラム組がそれなら行くぞと、平然とその提案に乗ったため、ドワーフ達もそういうものなのかと受け入れてしまった。

ここにゼストラークもしれっと混ざっているのは、もう当たり前だった。

安全で楽しい空挺降下。軽いスカイダイビングを大いに楽しんだドワーフ達はエルフの里に舞い降りた。

「お疲れ様です。早速ですが……」

コウヤはドワーフ達の様子を見て言葉を濁す。ここであれこれと指示されるのは好まなさそうだ。ならば、こちらの要望だけ伝えて、あとはお任せにしようと決めた。

「やっていただきたいのは、冒険者の方達の武器の調整と、野営地としても使える住みやすい村にすることです。よろしくお願いします!」
「「「「「おおっ」」」」」

それからは早かった。

村の入り口に近い辺りで、武器の調整のための場所を素早く設け、ドワーフの半数がこれに対応した。

「さっさと持ってこい!」
「剣はこっちだ」
「弓はこっち」
「杖系はこっちだ」
「メイスやその他はこっちに」

それぞれ専門で見られるらしく、武器の種類によって窓口を変えていた。

そこに、補佐役としてギルド職員を置いた。

「引き換え札を用意しています。その他、引き渡し等の業務は我々が」
「武器の管理もいたします」

これにより、効率も良くなった。

「おい。この武器の持ち主の名を控えといてくれ。全部終わったら、話を聞きたい」
「これすごっ。個人的に確認したい」

ドワーフ達は、一応は優先順位を分かってくれているようだ。気になる武器があっても、後でということにしてくれていた。

冒険者達も、自分の武器がドワーフ達の目に留まったということが嬉しいらしく、快く後日に会う約束をしていた。

一方、村づくりの方だ。

「「「……」」」
「こんな早く家ってできていくもんなの……? 外の人ってすごいんだね……」

盛大に誤解されている。

「良い音……楽しいっ!」

ドラム組が中心となり、軽やかにリズムを刻みながら大きな宿屋が組み上がっていた。

これには、コウヤも驚いた。

「……いつもの倍以上の速さ? ちょっとおかしいでしょ……」

ドラム組の異常なまでの作業速度。それが、更に速くなっていたのだ。

「ゼストパパ……鍛え過ぎじゃない?」

やり過ぎではないかと伝えれば、ゼストラークはドラム組を見つめて答えた。

「素質があっただけだ。問題ない……はずだ」
「確信じゃないんだね……でも、うん……まあ、できちゃったものは仕方ないね」
「うむ」

ゼストラークはコウヤの事を言えないというのは、エリスリリアやリクトルスからの言葉。とはいえ、リクトルスも最近はやらかしているので、そちらも何も言えなかった。

「これ、奥の里の人たち、悔しがるだろうな~」
「それが狙いだろう」
「……ゼストパパ、結構怒ってる?」
「それなりに」
「そっか……じゃあ、すごい村にしなきゃね!」
「当然だ」

奥の里とはっきりとした格差が見えるくらい、立派な村になるのは数日後だ。




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読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎
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