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第十三章
613 調整していた?
コウルリーヤは、なぜあのような姿になったのか自分でも分からなかった。
「なんか纏わりつくみたいな感じの変な感じがしてた気はするんだよね~。で、気付いたらあんな感じだった」
「……あれが、邪神……」
「邪神っぽいわ……」
「これは間違えるわ……」
「だよね~」
誰がどう見てもコウルリーヤには見えない。そうだったとも感じられないだろう。それほどまでに醜い姿だった。
「テンキ教官がキレてんのは……」
これに答えるのは人化したパックンとダンゴ。
《あの時のこと思い出すもん》
《どうにもできなかったあのもどかしさはね……》
《こっちも正気を失くしてたってのもあるけど》
《これは、主様の体をアレが乗っ取ってた感じとか? あり得そうなのが苛立ちますね》
《……やるか》
《やりましょう》
そう言って、パックンとダンゴがギラリとした目を向け合ってから飛び上がった。そして、テンキの背に乗ったようだ。そのまま邪神へと向かっていく。
ガァァァァ!!
邪神が吠える。すると、召喚されたのだろう。結界の縁の方に醜い魔獣が現れる。
「え? もしかして、結界を壊そうとしてる?」
「なんか結構居るぞ!」
「どうすんだ!?」
冒険者達が慌てる。結界に沿って魔獣達が居るのが、ぐるりと少し見回しただけでもわかった。
そこで、リクトルスが指示を出す。
「丁度良いですね。アレは私やテンキ達でどうにかしましょう。あなた方は出現した魔獣達の相手をお願いします。どのみち、そろそろアレを起動させることになりますからね」
「アレ……」
アレと言ってリクトルスが顔を向けたのは、遙か上空にある城。その一番底に輝いているレンズのようなものだ。
「アレって……ゼストラーク様の凄いやつ?」
「あ~、端まで退避って言ってた……」
「それです」
「「「「「了解しました」」」」」
最終的に結界の端まで退避することになっているのだ。逃げ遅れるよりは、先にそちらに向かっていた方が良い。
絶対にヤバいと認識しているため、異論はなかった。
「俺らあっち」
「じゃあ、私らは向こうに」
「なら、あちらだね」
「はーい。こっちに行くねー」
揉めることなく、冒険者達はベニやジンク達をリーダーとして四方に散らばっていった。
この場に残ったのは、エリスリリアとリクトルス、そして、コウルリーヤだけだ。
「で? コウヤ君。解析はできた?」
「アレが何者か、確実にしたいものねえ」
「うん。テンキ達が近付いてくれたから、分かったよ。アレは、半分はここの神だったもので間違いない」
「「半分?」」
かつて、この世界の神であったもの。追放されたはずのその神が堕ちたということだろう。
そこに、ゼストラークが現れる。
「やはりそうか」
「っ、堕ちたということですか」
「あんな醜いものになるほどって、何をしたら……」
「許可なく他の次元から魂を盗み取ったのだろう」
「他の次元から……」
「それは……」
同じ次元の中で移動させるのは問題ない。しかし、別の次元から持って来る場合は、許可が必要だ。当然だ。その次元の魂の数が減ってしまうことになるのだから。
「重大な違反行為だからな。警告を受けても応じなかったのだろう」
「それで、調停神が動いたと……」
「ああ。本来、調停神は世界を受け持たない。補佐としてならばあり得るのだがな……」
「持ってきた魂を返したり、調整していた?」
「そうだろうな」
調停神であった、レナルカの前世。その神は、それまでのこの世界の神を裁いた後、別次元から持って来てしまった魂を元に戻し、この世界に新たな魂を作り出したり、同じ次元の世界から持って来たりと調整していたのだろう。
「調停神ならば、その仕事も問題なく出来たはずだ。しかし、その後管理する神が決まらず、そのままこの世界の神として留まることになった……」
「それがいけなかったのですね……」
リクトルスも察した。
「神によって、管理には向き不向きがあるものね……」
「だからこそ、複数の眷属を生み出して管理する」
「調停神はそれをできなかったのかな?」
「歴代の調停神達を見ても、頼ることをしない傾向がある。他人からの評価や意見は捻じ曲がったり、真実ではなかったりするのでな……」
「そっか……結局は自分自身で確認するしかないってなると、頼らないかも」
「それは……」
「そんな……」
調停神が気の毒だとリクトルスもエリスリリアも辛そうに顔を顰めていた。
そんな、重くなった雰囲気のど真ん中に声が響いた。
「いまこそヤルときなのよー!!」
「「「「え?」」」」
レナルカが転移してきたのだ。それは、勇ましく猪に跨ったままの姿だった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
「なんか纏わりつくみたいな感じの変な感じがしてた気はするんだよね~。で、気付いたらあんな感じだった」
「……あれが、邪神……」
「邪神っぽいわ……」
「これは間違えるわ……」
「だよね~」
誰がどう見てもコウルリーヤには見えない。そうだったとも感じられないだろう。それほどまでに醜い姿だった。
「テンキ教官がキレてんのは……」
これに答えるのは人化したパックンとダンゴ。
《あの時のこと思い出すもん》
《どうにもできなかったあのもどかしさはね……》
《こっちも正気を失くしてたってのもあるけど》
《これは、主様の体をアレが乗っ取ってた感じとか? あり得そうなのが苛立ちますね》
《……やるか》
《やりましょう》
そう言って、パックンとダンゴがギラリとした目を向け合ってから飛び上がった。そして、テンキの背に乗ったようだ。そのまま邪神へと向かっていく。
ガァァァァ!!
邪神が吠える。すると、召喚されたのだろう。結界の縁の方に醜い魔獣が現れる。
「え? もしかして、結界を壊そうとしてる?」
「なんか結構居るぞ!」
「どうすんだ!?」
冒険者達が慌てる。結界に沿って魔獣達が居るのが、ぐるりと少し見回しただけでもわかった。
そこで、リクトルスが指示を出す。
「丁度良いですね。アレは私やテンキ達でどうにかしましょう。あなた方は出現した魔獣達の相手をお願いします。どのみち、そろそろアレを起動させることになりますからね」
「アレ……」
アレと言ってリクトルスが顔を向けたのは、遙か上空にある城。その一番底に輝いているレンズのようなものだ。
「アレって……ゼストラーク様の凄いやつ?」
「あ~、端まで退避って言ってた……」
「それです」
「「「「「了解しました」」」」」
最終的に結界の端まで退避することになっているのだ。逃げ遅れるよりは、先にそちらに向かっていた方が良い。
絶対にヤバいと認識しているため、異論はなかった。
「俺らあっち」
「じゃあ、私らは向こうに」
「なら、あちらだね」
「はーい。こっちに行くねー」
揉めることなく、冒険者達はベニやジンク達をリーダーとして四方に散らばっていった。
この場に残ったのは、エリスリリアとリクトルス、そして、コウルリーヤだけだ。
「で? コウヤ君。解析はできた?」
「アレが何者か、確実にしたいものねえ」
「うん。テンキ達が近付いてくれたから、分かったよ。アレは、半分はここの神だったもので間違いない」
「「半分?」」
かつて、この世界の神であったもの。追放されたはずのその神が堕ちたということだろう。
そこに、ゼストラークが現れる。
「やはりそうか」
「っ、堕ちたということですか」
「あんな醜いものになるほどって、何をしたら……」
「許可なく他の次元から魂を盗み取ったのだろう」
「他の次元から……」
「それは……」
同じ次元の中で移動させるのは問題ない。しかし、別の次元から持って来る場合は、許可が必要だ。当然だ。その次元の魂の数が減ってしまうことになるのだから。
「重大な違反行為だからな。警告を受けても応じなかったのだろう」
「それで、調停神が動いたと……」
「ああ。本来、調停神は世界を受け持たない。補佐としてならばあり得るのだがな……」
「持ってきた魂を返したり、調整していた?」
「そうだろうな」
調停神であった、レナルカの前世。その神は、それまでのこの世界の神を裁いた後、別次元から持って来てしまった魂を元に戻し、この世界に新たな魂を作り出したり、同じ次元の世界から持って来たりと調整していたのだろう。
「調停神ならば、その仕事も問題なく出来たはずだ。しかし、その後管理する神が決まらず、そのままこの世界の神として留まることになった……」
「それがいけなかったのですね……」
リクトルスも察した。
「神によって、管理には向き不向きがあるものね……」
「だからこそ、複数の眷属を生み出して管理する」
「調停神はそれをできなかったのかな?」
「歴代の調停神達を見ても、頼ることをしない傾向がある。他人からの評価や意見は捻じ曲がったり、真実ではなかったりするのでな……」
「そっか……結局は自分自身で確認するしかないってなると、頼らないかも」
「それは……」
「そんな……」
調停神が気の毒だとリクトルスもエリスリリアも辛そうに顔を顰めていた。
そんな、重くなった雰囲気のど真ん中に声が響いた。
「いまこそヤルときなのよー!!」
「「「「え?」」」」
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