課金ガチャアイテムだけで生き抜く!異世界生活‼︎

ネコまっしぐら。

文字の大きさ
51 / 106

日本人達

しおりを挟む
 ーーーーーーバノペア 郊外

「もしも~し、アキラちゅわんですか~?」

「…はぁ。キミは相変わらずだね、ボクに何か用?」

 やたらとテンションの高めなレンからの連絡を受けて、ため息混じりに要件を聞くアキラ。
 意外と面倒見の良いアキラは、年齢的にはお兄さんになるレンの事も、できの悪い弟のように対応してあげているのだ。

「なんや、なんや~冷たいの~、ちょっとエエもん拾ったから調べて欲しいな、と思てなぁ」

「…良いもの?」

「せや!聞いて驚け、魔封石や!」

「……で?」

「いやいや、おっかないモンスターが入っとるクリスタルやで?」

 それこそ知っているから、何が良い物の所以なのかを説明しろ、とレンに言い放ち、しょうもない理由なら切るからと付け足す。


「ちょちょ、待ちぃな!これは人造?か魔造?みたいな、この世界の誰かが作ったもんなんや!…ユウト達を狙ろてる、餓狼蜘から奪ったんやで?」

「…へぇ、分かったよ。調べてあげる。で、いつ持ってこれるの?」

「ん?今や。」

「…はっ?」

「…い・ま!」

 この男は人をおちょくっているのかと思い、連絡を切るか迷うアキラ。
 その背後から…

 …トントンッ
「……はっ!?」

 肩を叩かれ振り向くと、何故か自分の屋敷にレンが入り込んで、ニヤニヤと悪ガキのような笑みを浮かべている…

 …ピッ
 …ドゴンッ!

 氷の表情を浮かべ、無言のままアキラは手元のスイッチを操作した。
 すると、レンの頭上から、古典喜劇で使用されるブリキ風のタライが落下して、頭を直撃し悶絶する…


「くぅ~…お前さん何しよんねん!」

「…それはコッチのセリフだよ!不法侵入にセクハラだね。」

「肩叩いただけやんけ!」

「…存在がセクハラだね」

 俺はユウトじゃない、と失礼な返しをしながらウジウジと文句を言うレンに、いいからさっさと物を出せと指示するアキラ。
「ほれ…」
 魔封石を受け取ると物を確認し始める。
 魔封石自体はゲーム時代に腐るほど関わっているので、珍しくとも何とも無い。
 しかし、転移したこの世界では確かに珍しいし、これを作成する能力者が存在すると言うのは、興味深くはあるなとアキラは考える。


「…スキル 鑑定(アナライズ)」
 瞳に光が宿ると、アキラが手に持つ魔封石の情報が視界に広がる。

 ーーーー
 アイテム名:魔封石 (キマイラ)
 所有者:レン・ショウブ
 作成者:H・アシュペルガー
 レア度:4/10
 売却額:30万G
 効果:捕らえたモンスターをクリスタルに封印し、好きな場所で解放する事ができる。
 但し、解放したモンスターは、ほぼ野生の状態な為、忠誠度などは殆どなく所有者を襲う事も多々ある。
 ーーーー

「…名前は伏せてあるけど、アシュペルガーと言う人物が作ってるらしいよ。」

「アシュペルガー…どっかで聞いた事あるような気もするけど、よう思い出せんな。」

 レア度の低さや、売却額等はゲーム当時のままであるし、直近で所持していた時間が長い者が所有者登録されるのも、特に変わりは無いようだった。

「…でも、裏情報欄の作成条件には、調教師と魔工師の上級能力が必要ってなってたよ?」

「そやな、この世界に俺らみたいな転移した人間以外では考えられへんけど…」

 レンの知っている日本人の中には、そんな能力を持っていそうな人物はアキラくらいで、他には思いつきそうにもない。
 この世界で二つのジョブを上級まで上げて所持していれば、否が応でも目立ってしまう筈だが、今のところ聞いた覚えが無い。


「まぁ、旧NPCが持っとる線もあるけど、それやとお手上げやわ。」

「…ボクも心当たりがあれば知らせるよ。」

 アキラは魔封石をレンに投げ渡す。
 レンはそれを受け取り、礼を言って立ち去ろうとするが、アキラに服の裾を掴まれる。

「なんや?寂しいんか?」
 ふざけたように聞いてくるレンに、アキラはニヤリと笑い答える。

「…ボクも協力したんだ、キミもボクの研究に協力したまえよ?」

「…へっ?」

 アキラお手製のマ○ンガー…もとい、魔導兵の性能テストをやっていけと告げる。
 以前にメリーやティファに言われた改善箇所を修正したのは良いが、試す相手がおらず困っていたアキラは、
「…やらないなら今後、力は貸さないからね?」
 と脅迫めいた協力要請をする。

「…大丈夫、死なない程度にやるからさっ」

「おっ、おお手柔らかに頼んます…」

 レンがその後、二日間アキラの屋敷で寝込む事になったのはご愛嬌なのだろうか…










 ーーーーーフローラ帝国  イリノア西部

 ここは、帝国の首都オーガストリアから北西に3日程行った所にある、四大都市の一つ、イリノアのさらに西にある、独裁都市『日の本』と呼ばれる人口3万人程度の街だ。

 名前から察する通り、日本文化を取り入れた異世界の異文化都市と言える場所で、帝国から独裁権を認められている。

 この都市の長は『シュウト・クロサキ』と言う名で、異世界から召喚されて来た事は、都市の中では周知の事実だ。

 通常の都市であれば必ず納める必要がある、市民の税金が不要となっており、近隣都市からの流入者も多い。

 帝国としては、本来なら旨味の無い独立都市を認める意味は無いが、シュウトを飼い慣らそうとして痛い目を見た事から、半ば諦めとして受け入れているのが実情だ。

 …
「ハル!コハル!」


「…はっ、こちらに。」
「今月の各都市での売上はどうなってる?」

「概ね前年を上回る伸びかと…神国での旅館新設と王国内での、ふらんちゃいず事業も順調との報告を受けております。」

「そうか…他国に舐められないように、売上の管理はしっかり行えよ!」

「はっ!」

 固定の税を取らない方式取るために、シュウトは自ら商店や旅館の経営を行い、都市の基本的な公共事業費をまかなっている。
 そして、物珍しい和風の旅館や、日本の事業システムを活かした商売のやり方を取り入れ、アイアンメイデンとは違ったアプローチで成功しているのだ。


「孤児院と養護院の様子も頼むぞ、俺はアスナの所に行って街を見てくる。」

「…畏まりました、シュウト様。」

 コハルと呼ばれる本NPCは深く一礼して答える。
 この女性は元々、『ういろう』と言うプレイヤーが所有していたNPCだった。

 色々とあり、ういろうは消え、コハルはシュウトの所有となったのだが…
 この件を受けてシュウトは、ユウトが所有する元NPC達を奪う計画を立てた。

 邪魔が入ったので一度は引いたが、時期をおいて再度接触する予定にしている。

「…黙って従えば良し、逆らうなら」

 シュウトは目的の人に会う為、江戸時代にあった武家屋敷のような建物を移動する。


 …コンコンッ
「入るぞ」

 目的の部屋に入ると、目元に黒い布を巻いた少女がベッドから起き上がろうとし、シュウトはそれを止める。

「…調子はどうだ?」
 先程までとは打って変わり、優しい表情と口調で少女に問いかける。

「はい。この通りですので、ご主人様のお役に立てればと…」

「いや、いいんだ…目が良くなるまで無理はするな。」

 手を振って問題ない事をアピールするアスナの肩に手を置いて、いつも繰り返している答えを返す。

「ですが…」
 アスナの目が見えなくなった原因は未だに不明で、正直なところ治る見込みも立ってはいない。
 しかし、自分の不甲斐なさの象徴である、その目が見えるようになるまでは、アスナを部屋から出す気はシュウトには無いのだ。

「お前は心配せずに此処で待っていろ、俺が必ず目を治してやるから。」

 AAOのゲーム内で、自分専用のNPCを作るには非常に高額のリアルマネーが必要だ。
 ティファクラスの完成度を持つNPCなら30~50万くらい必要になる為、レンやアキラはNPCを持っていないし、シュウトも安いアバターと能力値から、コツコツとアスナを育てて来たのだ。

 肩上の長さの淡い栗色の髪をした、16~17歳の外見をした少女はシュウトに取って、異世界に飛ばされた時から、唯一の家族…妹のような存在だった。

「…また明日、見にくるよ。」
 アスナの頭をひと撫ですると、シュウトは部屋を後にして都市の見回りに出る。

 シュウトは魔法と剣を扱う、魔剣士のジョブを取っていて、レベルも上限の100だ。

 アイテム関係は転移のせいで消失してしまったが、その能力と魔法で異世界チート生活を謳歌していた…
 一時は異世界の覇王や、勇者と呼ばれる存在に憧れもしたが、今では自分が所有するこの『日の本』を守る事だけに専念している。




 …
 ……
「きゃっ!」
「…いてーな、危ねえだろうが!」

「……ちっ」
 子供を抱いた母親が、露天の商品を見ていて、厳つい男にぶつかられ文句を言われる。

 必死に謝る女性を見て、舌打ちをするとシュウトは真っ直ぐ男の元へと向かい…
 頭を掴んで地面に叩きつけた!

「うべぇっ!」
 ゴォン!と言う鈍い音と共に、地面に血の花が咲く。


「…シュ、シュウト様!あ、ありがとうございます!」

「大丈夫か?おい店主!こいつは警邏に連れて行かせるから、縛って転がしておけ。」

「へっ、へいっ!」

 いつも通りの険しい表情を浮かべながら、母親と店主に声を掛けると、その場を立ち去った。


 …
「…いつも恐い顔をされているけど、城主様は優しい方なんだよなぁ」

「ほんとですよね。いつも見回りに出られて、私達みたいな者にも優しくして下さいますから。」

 歩いて行くシュウトの後ろ姿を見ながら、店の主人と女性が、表情さえ柔らかくなれば…勿体ない…と、感想を言い合う。



 この日の本と言う国は、人種や経済状況を問わず受け入れている。
 そのせいで、素行の悪い者達も寄って来てしまい、見回りの時に害になりそうな人間を見つけると、国から排除するようにしているのだ。



 …
「シュウト様!持ってってくだせぇ!」

「はん!こんな事してると潰れるぞオヤジ」

 リンゴのようなフルーツを受け取り、悪態で返しソレを齧りながら歩く。


 …
 この街も随分マシになったな…あの野郎に嵌められてから、もう三年くらいか。
 異世界に来た時から考えたら、もうこの世界の方が自分の居場所みたいになっちまった。
 まぁ、あんなパッとしない人生なら、何でも自分の力で出来ちまう、こっちの世界が良いってもんか…


 活気に溢れる街の様子を眺めながら、シュウトは昔を振り返り歩みを緩める。
 そして立ち止まると、自分の理想の世界を広げる為に…アスナの身体を戻すために、さらなる力を求める決意を新たにする。



 …その為にも、アイツらの力は俺の為に使ってもらうぞ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ
ファンタジー
 前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?  「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。  仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。  病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。  「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!  「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」  魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。  だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。  「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」  これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。    伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!    

2週目の人生ですが、生きていた世界にファンタジーがあるとは思ってなかった

竹桜
ファンタジー
 1人で生きていた男はある事故に巻き込まれて、死んでしまった。  何故か、男は生きていた世界に転生したのだ。  2週目の人生を始めたが、あまり何も変わらなかった。  ある出会いと共に男はファンタジーに巻き込まれていく。     1周目と2週目で生きていた世界で。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

処理中です...