課金ガチャアイテムだけで生き抜く!異世界生活‼︎

ネコまっしぐら。

文字の大きさ
73 / 106

戦後処理と人の気持ち

しおりを挟む
 アスペルでの防衛戦に勝利した俺達アイアンメイデンは、戦勝の雰囲気に浮かれてダラダラとした日々を過ごしていた。

 忘れていた訳じゃないんだ。
 …いや、正直に言うと忘れたんだけど。

 軍神、戦神、英雄、王国の守護者etc…
 あの戦いの後、アスペルに凱旋した俺達を待っていたのは、絵に描いたような称賛の嵐だった。

 そんなによいしょされると、俺の性格上、乗るわな。
 調子に。
 お鼻たーかだっかでしたよ…

 なぜそうなったのか順を追って話を…いや、言い訳をさせてもらおう。

 帰還した初日は厳かな物だった。
 勝利を喜び全員で街に戻り、勇敢に散った戦死者達を弔い喪に服した。

 しかし、3倍以上の戦力差を跳ね返し帝国の有名人【天撃】アレスと、【日の本】首領シュウトを撃破と言う噂は俺達の予想以上に街を沸き立たせていたんだ。

 その為、戦死者を弔った翌日からはパーティー三昧であった。
 あちこちでの歓待に招かれ、屋敷には連日人が列をなして訪れて来た。

 バノペアでの防衛戦は、レアを送り出した時点で問題解決だろうとタカを括っていたので…
『星落とし』騒ぎや、魔導兵出現の話などは聞いていたのかも知れないが、まったく頭に入っていなかった。
 いや、ほんとに。
 決して、あちこちで褒められまくって、飲めない酒を飲まされて頭からスッポリ抜け落ちていた訳では…

 それ以外に、連絡関係の確認も怠っていた。
 この世界では『虫の音色』なんかの、直通で連絡を取るアイテムは貴重なんだ。

 俺もそれなりの数は持っていたけど、チャット実装後はゴミアイテムとして死蔵していただけだったから、携帯電話のように無意識でも確認するって習慣が弱い。
『見鏡の水晶』だって、一部の大貴族やら国レベルで数個持っていれば良い方らしいからな。
 固定電話みたいに常設して使うのが一般的だし、俺みたいにアイテムボックスに入れて持ち運んでる奴なんていないだろう…

 確認不足はたしかに自分のせいだし、ゲーム時代は使われないアイテムだったから勘弁してほしい…とは言い訳になるだろう。

 他にも細かいことははあるが、とにかく俺は色々と抜けてしまってた。
 そして、アスペル終戦後3日経って、バノペアでも決着が着いたと言う話が伝わって来た頃、それは現れた…


「ふぉっふぉっ…随分と楽しんでおるようじゃのぅ?」

「ふぇっ!?あ、アールヴ爺さん?」

 高級ソファーでメイド姉妹のサリネアとサルネアにフルーツを「あーんっ」させてもらっていた所に、髭もじゃの老人アールヴ魔法師長が現れた。

「ふむっ…防衛戦の疲れで動けんかったと言うのでは無さそうだのぉ」

 顔はいつもの笑顔ではあるが、目の奥が笑っていないな

「えっ?いや、戦後処理で色々と忙しくて…そっちもレアを送ったんだから問題無かったんじゃ?」

 王都エリオペアでの戦いについて何もしらない俺は、アールヴ爺さんに対して当たり障りの無い返ししか出来ないでいた。

「ふぅむ。それがのお…」

 爺さんはため息混じりにバノペア戦の一部始終を説明してくれた。

「星振りに魔導兵出現、レンの敗北に…特殊部隊の壊滅か」

 予想外の被害と、その半分位がレアを起因としている事に唖然としながらも、アスペルでの防衛戦についても掻い摘んで説明した。

「なるほどのぉ。かの異界人シュウトの襲撃を受けたと。やはり、今回、突然の宣戦布告に関しては、裏に日の本が絡んでいたと言う事かの…」

「俺もそれには同感なんだけど、今回の防衛戦で言えば俺達は第一級の功労者だろ?そんなに責められる言われなんて無いって。」

 爺さんは少し寂しい表情をした後に、戦いに勝利した事と被害を受けた人々の感情とは別物であり、侯爵となった今の俺やアイアンメイデンは国防に全てを費やして当たり前とみなされるそうだ。

「黙って聞いていれば随分良い身分ですね。」
「その通りですわ。わたくし達が守らなければ滅んでいた可能性の方が大きいと言うのに、良くそんなセリフが吐けますわ。」

 爺さんとの会話にティファとメリーが割り込んで来た。
 俺同様、爺さんの話に不服なようで、イラつきを隠そうとしない態度だ。

「もちろん、アスペルでのお主らの活躍やレア殿の力も十分知れ渡るであろうが、陛下も良い部分だけを讃える訳にはいかんのじゃ。」

 爺さんも二人の威圧に負けずハッキリと主張してくる。
 爺さん自身の考えや評価と、国家や世論の受け取り方は違うって事なんだろうか。

「つまり、王都召集があって何を言われても腹をたてるな。と、言う事でしょうか?」

「いかにも。」

 小脇に大量の紙束を抱え、戦後処理に事実走り回っていたヘッケランが屋敷に入ってきて早々に話に割り込んで来る。
 話の最後をちょこっと聞いただけで全体を理解するとか、どんな能力だよ…

「納得は出来ないけど分かったよ。んで、俺達は今からでも王都に行った方が良いのか?」

 爺さんは首を横に振ると、「戦後処理で忙しい」を突き通した方がマシだろうと告げ、極力アスペルの街で被害にあった人々のケアをするようにと言い残して帰って行った。

「まったく、恩知らずとはこの事ですわ。このまま王国をユウト様の物にされる方が良いのでは?」

「そうですね。メリッサの言うように愚民共に知らしめる必要があるかと。」
  
「…あまり過激なことは控えて頂けると助かります。ユウト様、思慮願います。」

 ヘッケランに手を上げながら仕事を邪魔しないように送り出し、姉妹達を落ち着かせてレアを迎えに行くのが優先だと話を逸らす。

 レアは俺に似てコミニケーション能力が割と低い。
 と言うか、俺よりも低いかもしれん。

 だから、よく考えて見れば向こうで一人寂しい思いをさせているだろうと…
 ん~、食べ物さえ与えていれば大丈夫そうだが、意外と繊細…なのかも知れないしな。

 次にアールヴが来るときはアイアンメイデンへの召集が掛かる時で、大体一週間後くらいになるだろうとの事だった。
 なので、ヘッケランに費用を惜しまず被災者へのケアに努めてもらうよう依頼して、俺達は準備を整え記憶の扉を召喚しバノペアに向かうのであった。












 ーーーーーーレア視点

 …ドンドンドンッ
 今朝も早くから宿の扉がノックされている。
 戦争も終わって、白いジジイに用意してもらった宿でゆっくりしていると言うのに、毎朝煩いのが呼びに来る。

「レアちゃわ~ん。遊びましょ~」

「…うるさい…帰れ。」

 …ドガンッ

 今日も力任せに扉の鍵をぶち壊して部屋へ乱入して来る変態剣士。
 こんな早朝に回りの部屋の住人達は迷惑を感じていないのだろうか?

「…レディの部屋に…ぶっころ」

「おっ、どこにレディがおるんや?是非とも紹介して欲しいところやで」

 部屋中を見回す変態を睨んで続けて文句を言う。

「…まだ早朝…」

「いやいや、もう昼過ぎやでっ!?」

「……」

 まったく話にならないが、食事を用意すると言うので仕方なく変態について行く事にする。
 マントを羽織ってタオルを魔法で濡らし顔を拭いて外に出てる。

「眩しい…しぬ…」

「お日さん浴びとかんと健康に悪いで!飯食ったら今日もお散歩やな」

「…だる」

 この要塞都市バノペアでは主に野戦でカタをつけたので、都市内への被害は少なかったはずだが、一部の要人暗殺や主要な建物の破壊工作に巻き込まれた人間が少なからず存在していたようだ。

 私には関係無い事だけど、この煩い剣士レンは各所を回って修復の手伝いや被害を受けた者のフォローをして回っていた。

 そして、何故かそれに私も連れ回されてしまっている…
 まぁ、高レベル者は使い勝手が良いと言う事だろう。

 ご主人様達も迎えに来てくれないし、食事が必要なので言われた事は手伝っているが、簡単な魔法を使っただけで「ありがとう、助かったよ」と感謝されるのは意味が良く分からない。
 なんだか胸の奥がモヤっとする…


 そんな日を二日くらい続けていると、街の中に姉様の魔力を感じた。
 ほどなくして私の元に現れたご主人様と姉様達を見つけて思わず飛びついてしまった。

「ご主人様…さみし…おなかへった…」

「いやっ、今の可愛さアピールする所だっよねぇ!?」

 そう言いながらもグリグリと頭を撫で回してくるご主人様に少し安心した。
 …やはり、一人でお使いをするのは大変なのだ。








 ーーーーーーユウト視点

「いや、ほんまに遅いやろ」

 レアに抱きつかれながら、迎えが遅くなった事を謝っているとレンがジト目で突っ込んでくる。

「おだまりなさい、変態男。」

「いや、開口一番酷い扱いやなっ!?」

 メリーの強烈な突っ込み返しにレンが口をパクパクさせているのを見て笑い、アールヴ爺さんに聞いた話の確認を取る。


「…やっぱり、結構大変だったんだな。まさかそんな事になってるとは思わなくて」

「いや、しゃーないんちゃうか?別にユウト達は自分らのやる事はやってるんやしな」

「なかなか良い事を言いますね。」
「ほんと、変態にしては珍しいですわ。」

「自分らほんま扱い酷いな…」

 レアの面倒を見てくれていた事にもお礼を言い、その日は皆で晩飯を食べ一泊して、帰りは前線沿いに馬車でゆっくり帰ることにした。

 意外な事に、主戦場となっていたバノペアやアスペル近郊以外でも被害を受けた小さな村や町などがいくつもあった。
 戦争を隠れ蓑にした盗賊団の襲撃なんかもけあったようけど、俺達の目が届かない場所でも戦争の被害は起こるんだって事が良く分かった。

 そして、奪われるだけの弱者がどんなに惨めかと言うの少し分かった気がする。
 …俺は本当に人の気持ちを感じ取るのが鈍いようだ。

 反省の意を込めて村を再建して回ったり、町と村を合併させたりして砦っぽい堅固な町を作ったりと、やれる事は結構暇を惜まず手伝ってみた。
 人攫いに誘拐された獣族の少年少女達や、積荷を盗まれて人生詰みかけていた商団なんかも助けたんだけど、やっぱり人に感謝されるのは悪い気はしなかったな。


 そんなこんなで結構な時間を掛けてアスペルに戻ると、ヘッケランが出迎え早々にアールヴの再訪と王都への召集が掛かっている事を伝えて来た。

 今回は幹部全員召集との事なので、総勢10名での王都訪問になる。


 果たして、どんな結果が待っているのか…若干だけ胃の痛みを感じながらも準備を整え、幹部達を前に現在の状況と王都訪問の説明を行う。

「…それでは、これから王都訪問を行う。くれぐれも短絡的な行動は起こさないように。」

「「はっ!!」」

 自分の事は棚に上げながら、姉妹達にホントに頼んますと願いを込めて注意を促しておく。


 …そんじゃ、いっちょ行ってみますか!!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ
ファンタジー
 前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?  「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。  仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。  病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。  「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!  「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」  魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。  だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。  「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」  これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。    伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!    

2週目の人生ですが、生きていた世界にファンタジーがあるとは思ってなかった

竹桜
ファンタジー
 1人で生きていた男はある事故に巻き込まれて、死んでしまった。  何故か、男は生きていた世界に転生したのだ。  2週目の人生を始めたが、あまり何も変わらなかった。  ある出会いと共に男はファンタジーに巻き込まれていく。     1周目と2週目で生きていた世界で。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

処理中です...