課金ガチャアイテムだけで生き抜く!異世界生活‼︎

ネコまっしぐら。

文字の大きさ
82 / 106

アキラとアクマ

しおりを挟む
 ーーーートプの大森林  奥地
 …メキメキ…バキッ!
「グゥワー!ギャワー!」
 古木生い茂る大森林の中を鬱陶しそうにしながら突き進む黒い巨体があった。

 それは、緑の中に黒点を写すそれは…
 まるで「てめえ達の命は、なくなりました。新しい命をどう使おうと私の勝手でry」とでも言い出しそうな、何とも言えない異質感を放っていた。


「…まったく、何でボクがこんな秘境に駆り出されなきゃいけないんだ。」
 黒い球体から伸びる手足を器用に動かして進むのは、元プレイヤーであり俺の転移に巻き込まれたアキラだ。

 愚痴りながらも勝手知ったる様子でグングンと森の奥に進んで行くのは、ゲーム時代に培った知識あっての事だろうと思う。

 一見、美少年のようにも見えるビジュアルをしているボクっ子ではあるが、アキラは立派な女性であり…
 普通の女性なら悲鳴を上げながら助けを求めるであろう鬱蒼とした大森林にあっても、アキラはモンスターや森の住人達に悲鳴を上げさせる側の人間なのだ。

 そんなアキラは黒い球体…魔導兵と呼ばれるアキラ謹製のロボを操作するが、決して生身が弱い訳ではなく自身のレベルもプレイヤー上限値である100を誇っている。
 なので彼女自身も、普通一般の思考では計り知れない異質な存在とも言えよう。

 だが、そんなアキラが愚痴を零しながら誰かに従うと言うのはかなり珍しい光景だ。

「…あのエロ関西人め…公私混同してるのは自分の方じゃ無いか。」

 普段見せないような拗ねた表情で仕方なく移動を続けるアキラは、その後も自然破壊を延々と続けていくのであった。


 …
 しばらく進むと半径10mくらいはある、ポツンと森に広がる空き地に辿り着いた。

「…おやぁおやぁ?異界の旅人がお客とは、珍しいのぉ」

 空き地の中心には、魔導兵の腕を使っても回らないような太い幹を持つ巨大な古木が鎮座していた。
 しかし、古木に似合わず生命力に溢れた様子をしており、幹から生える枝葉には沢山の緑が生い茂っていた…その様は動物達の楽園とでも言える程の神々しさを放っていた。

「…やぁ、精霊王さん。少しお邪魔するけど、すぐに移動するから大目に見てよ。」

 当たり前のように喋る古木に、これまた普通に話し返すアキラは、「…ようやく半分か。」と呟きながら、何事も無かったかのように空き地を通り過ぎようとする。

「のぅ…かの石板の封印を解く気かのぉ?あれは、この森の蓋じゃ、簡単に動かして良い物では無いのだぞぉ?」

「…勘の良い木だね。やる気かい?この最新作ならエレメントガーディアン三体くらいなら何とかなると思うんだけど。」

 不穏な事をしに来たであろう森の侵入者に、騒ぎを起こさないよう注意を促す精霊王
 しかし、まったく聞く耳を持たないどころか、挑発的な発言をするアキラに驚く。

 おそらく目に当たるであろう部分のウロを動かし目を細めた。
「…お主は、我が眷属達を知っているとぉ?」

「…もちろんさっ、ゲーム時代にはソロ攻略なんて無理だったろうけど、今なら其れ位の力はあると思うんだよね」

 硬い外殻が邪魔で、外からはアキラの表情は窺い知れないが、おそらく挑発的な笑みを浮かべているのだろう。
 精霊王は見えずとも、その気配を感じ取り静かに目を閉じて考える。

「これも…時代の流れ…運命…と言うものなのかもしれんのぉ」
 目を瞑りボソボソと呟く精霊王

「はっ!必然なんてこの世に存在しない!全ては偶然の積み重ねなんだっ!!」
 その呟きを聞いて声を荒げるアキラ

「……」

 普段のアキラと言う人物を知っている者からすれば、信じられないような態度だ。
 珍しく感情を露わにする彼女を、精霊王は何かを感じ取るように静かにただ見つめる。

「ボクの最終目標は、この世界が存在する意味を解き明かす事さっ!昔の世界ではそんな夢物語は出来なかったけど、この世界ならそれが出来るんだっ!!」

「…そうか。見つかると良いのぉ」

「はっ?…止めない、の?」

 少し冷静になったのか普段のトーンになり、逆に訝しむアキラ
 その様子を見て精霊王は枝を揺らし、大らかな笑い声を上げた。
 精霊王が笑うと、周りの空気は暖かみを帯びて、辺り一帯の生き物達に喜びすら与えるような雰囲気を一瞬で作り出す。

「…ふんっ。別にキミに理解して欲しいなんて思わないさ!ボクはボクのやりたいように、やるだけだっ。」

「全ては悠久の流れのままにじゃ…気を付けてお行きなさい…旅人よ」

 全てを見透かしたような精霊王の態度に何か言い返そうとアキラは考える。
 だが、止められないのであれば、それはそれで良いと考え直す。
 そして目的地へと振り返ると、さらに奥へと進むために前を向いた。

「…なっ!?」
 しかし、前を向いたアキラの視界に、淡い光を帯びた人型の何かが映り込む。

「旅人よ、精霊王様を余り困らせるでないぞ。それに、我等を甘く考えてもらっては困るな。」

「どうやって魔法障壁を…」
 自慢の機体に勝手に乗り込んで来た侵入者に、警戒と敵意の篭った声で尋ねる。

 しかし、彼…精霊王を守るエレメンタルガーディアンの一人「メリダス」は、ニヒルな笑みを浮かべるとスゥーッと消えてしまった。

 その後、しばらく停止していたアキラだが、振り返る事無く進み出した。
 ゲーム時代とは違う、注意すべき点が多々あるのだと再認識しながら。









 ーーーーートプの大森林  入り口付近

「…なるほどなぁ。そのデカくて黒いのが、妖精達の秘宝を奪っていったと。」

「違いますよ…話聞いてましたユウトさん?蓋を開けようとするソレを止めてる隙に悪魔に奪われたって言ってたでしょ?」

「…同じようなもんじゃ」
「はいっ??」

「いえ…」

 ドヤ顔しながら細かい所を指摘してくるシャルは、妖精好きなのか少年妖精の右隣をピッタリとキープしてご満悦のようだ。
 …ちなみに反対側はティファが押さえているけど

「んで、少年…んー、名前が無いと呼びにくいな?」

「そうですか?里では名前を持つ者は一握りしかいませんので。」
 少年妖精は愛くるしい表情で首を傾げている。

 …しかし一体、どうやって仲間を呼び分けているのだろう?
 お前さん、飯ぁまだかぁ?
 お~い、お茶!
 とか、そんな感じで呼んでいるのだろうか。


「…まぁ取り敢えず、今だけ勝手にあだ名で呼ばせてもらおう!そうだな…風が得意…ならジ、ン……ジンで良いかな?」

「さすがはユウト様です。」
「ユウトさんにしてはセンスがありますね!」

 俺の命名は、勝手に保護者をする二人の許可を得たようで、少年妖精の名は「ジン」に決定した。
 …やっぱ風の妖精っぽいし、無難な所だよな?

 その後、俺たちはジンに連れられて森を進むと、一本の幹から三本に枝別れしている変な大木まで歩いた。

 妖精の里はあちこちにあるらしいが、全てが繋がっている訳では無く、入り口に当たる空間も開閉可能で里毎に目印となる樹木があるだけだそうだ。

 こんなに深い森で良く見分けがつくもんだと思ったが、そこは精霊の力ってやつだろうと勝手に納得しておいた。

 三本に枝別れする木の裏側に回ると、ジンは手にかざして力を込め始める。
 すると、前方の空間が少し歪んだかと思うと大きく口を開けた。
 召喚士が使うゲートの魔法に似ているが、空間の先が見えているので、おそらく別の原理で成り立っているんだろう。

「ココが僕達の里です。さぁ皆さん、どうぞ入って下さい!」

 里に戻れて安心したのか、嬉しそうに入り口へと促してくれる。
 自分自身は足元の石板と共に最後にゲートをくぐるのだろう…


 俺は、ちいさい見た目なのに良くできた子供だなぁと、感心しながら妖精の里へと足を踏み入れるのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

2週目の人生ですが、生きていた世界にファンタジーがあるとは思ってなかった

竹桜
ファンタジー
 1人で生きていた男はある事故に巻き込まれて、死んでしまった。  何故か、男は生きていた世界に転生したのだ。  2週目の人生を始めたが、あまり何も変わらなかった。  ある出会いと共に男はファンタジーに巻き込まれていく。     1周目と2週目で生きていた世界で。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ
ファンタジー
 前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?  「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。  仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。  病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。  「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!  「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」  魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。  だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。  「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」  これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。    伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!    

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

転生調理令嬢は諦めることを知らない!

eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。 それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。 子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。 最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。 八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。 それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。 また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。 オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。 同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。 それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。 弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。

処理中です...