贖罪人形

黒泥

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閑話:少女と人形

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「人形さん、人形さん、遊びましょー。」
人形が目を覚ますと、少女の声が聞こえた。どうやら、自分は遊び道具にされているようだ。ならば、大人しくしておくが吉だろう。騒ぎを起こしたくはないし、なんだか、懐かしい感じがするから。

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どうやら、少女は5人家族らしい。両親と、弟と兄がいる。5人という人数で、仕事のことを思い出した。そうだ、ユクエフメイシャを減らさないといけないんだった。この家にいる人達で仕事を終わらせてしまおうか。そう考えたが、人形は考え直す。なんだか、それはなんとなく、嫌だったから。

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少女の両親がここ数日はユクエフメイシャがいなかったと話していた。よかった。それはいい事だ。多くの人が悲しまなくてすむ。いや待て、おかしい。なぜ、自分が仕事をしなくなっているにも関わらず、ユクエフメイシャがいなくなった?仕事をしていた時はいくら頑張ってもいなくならなかったのに。そもそも、ユクエフメイシャって一体なんだ。そういえば、出ると人間が悲しむくらいしかそれについて知らない。

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今日は、少女に遊ばれていると、男の声がした。早く仕事を終わらせ、帰ってこいだそうだ。どこから話しかけたんだろう。まあ、いい。そうだ、仕事をしないと。ユクエフメイシャを減らさないと。

仕事を終わらせるのに、

最も効率的な方法はなんだ。

騒ぎを起こさず、

5人を対象とできる方法はなんだ。

ああ、そうだ。

この家には、

毎日5人が揃うじゃないか。
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