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抜擢
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1
十四時五十九分。
真琴は会議室の前に立っている。ドアノブに手をかけている。金属の冷たさが、指から手首を通って肘まで上がってくる。
ドアの向こうに、二十人がいる。
椅子に座って、スクリーンを見て、真琴の声を待っている。声が出れば始まる。出なければ──止まる。二十人の前で、空気が止まる。
喉の奥に、空白がある。言葉が入るべき場所に、何もない。昨夜書いた原稿の一文目が思い出せない。その先が出てこない。出てこないのに、時計は動いている。秒針が12を踏もうとしている。
あと、一秒。
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2
昨夜、封筒を揃えた。時刻は15:00だった。「場を凍らせる」。
その六文字を読んでから、真琴はノートを開いて原稿を書き始めた。発表の一文目。「第三四半期のCS対応について報告します」。二文目。「今期の課題は三点です」。三文目──
三文目を書いている途中で、ペンが止まった。
課題は三点。一点目は対応速度の改善。二点目はクライアント満足度の回復施策。三点目は──何だ。
資料を開いた。スライドの七ページ目。「社内ナレッジの共有強化」。そうだ。それを言えばいい。資料に書いてある文字を、声に出せばいい。
なのに、ペンを持つ指が冷たい。
部門定例は二十名規模だ。CSチームだけではない。営業、企画、管理部門の担当者もいる。普段は榊原が報告する。今回は真琴に回ってきた。「君が説明して」と榊原は言った。「質問が来たら、君が返して」とも。
質問が来たら。何を聞かれるかわからない。想定質問を作ることはできる。でも想定の外から来たら。
真琴は原稿の横に、想定質問の一覧を書き始めた。四つ書いた。足りない気がした。五つ目。六つ目。七つ目。
気づいたら十一の質問が並んでいた。それぞれに回答の骨子を書き、数字を資料と照合した。一つずつ。指で追って、ノートに転記して、赤で確認マークを入れた。
二十三時四十分。ノートの四ページが埋まっていた。それでも、喉の奥の空白は消えなかった。
立ち上がった。部屋の中央に立った。ノートを見ながら、声に出した。
「第三四半期のCS対応について報告します」
声が震えた。壁に当たって返ってきた自分の声が、他人のもののように聞こえた。弱い。細い。この声が二十人の部屋を通るのか。
もう一度。三度目。四度目。五度目。
五度目で、震えが表面から消えた。消えたのではない。声の下に潜った。表面は平らになったけれど、振動はまだ体の中にある。隠しただけだ。
それでいい。隠せれば、凍らない。
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3
朝。
席についてPCを開くと、榊原からチャットが入っていた。
「今日の定例、頼む。終わったら少し話がある」
「少し話がある」。真琴はその一文を三回読んだ。話がある。何の話だ。良い話か。悪い話か。わからない。わからないことが、胸の中で小さな穴を開けた。穴から冷気が漏れている。
「承知しました」と返信した。
九時の朝会で、榊原が言った。
「今日の部門定例、CSの報告は真琴が担当する。質疑も含めて任せる」
真央が隣で小さく「おー」と声を出した。それから真琴のほうを向いて、親指を立てた。
「いけるいける」
真央の軽さが、真琴には眩しい。「いける」と言える人間は、いけなかったときのことを考えていない。いけなくても、「あ、だめだった」と笑って次に行ける人間だ。
真琴は笑って頷いた。笑うことはできる。もう慣れた。
朝会が終わった後、西園寺が席に来た。
「今日、任されたんだね。榊原さん、信頼してるんだよ。綾瀬さんのこと」
西園寺は穏やかに笑った。「信頼」という言葉が、温かさではなく重さとして胸に落ちた。信頼されている。つまり、裏切れない。裏切るとは、失敗するということだ。
十時。チャットの通知が光った。高瀬慎。
「お疲れさまです。昨日の共有資料、確認しました。問題ないです」
用件だった。真琴は「ありがとうございます」と返した。
十五秒後、もう一行。
「今日、返信早いですね。忙しい日ですか?」
真琴の指が止まった。
返信が早い。そうかもしれない。昨夜ほとんど寝ていなくて、朝から神経が張っているから、通知に反応する速度が上がっている。普段は二、三分空ける。今日はすぐに返している。その差を、高瀬は見ている。
「少しだけ立て込んでます」
打った。送った。「少しだけ」ではない。全身で立て込んでいる。毛穴の一つひとつが15:00に向かって収縮している。
高瀬から返信。
「了解です。大丈夫そうなら良いんですけど──綾瀬さん、"大丈夫です"って打つ前に、ちょっと間がある時ありますよね」
真琴は画面を見つめた。
間がある。そうだ。高瀬に返信するとき、「大丈夫です」と打つ前に別の言葉を打って消している。昨日の「高瀬さんの文面も」がそうだった。今日も、最初は「正直、今日は怖いです」と打ちかけて消した。消した時間が、間になっている。
高瀬はそれを知らないはずだ。消した文字は送信されない。間だけが届いている。既読がついてから返信が来るまでの空白。その空白を、高瀬は読んでいる。
「いえ、大丈夫です。考えてから打つ癖があるだけです」
送った。丁寧で、正しくて、何も伝えていない返信だった。
高瀬からの返信は来なかった。三分が過ぎた。三分の沈黙は、高瀬のほうにも「間」があることを意味していた。
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4
十三時。
昼休みが終わり、席に戻ると、共有フォルダの定例資料が更新されていた。
真琴はフォルダを開いた。開いて、呼吸が止まった。
スライドの順番が変わっていた。
昨夜の原稿は、旧スライドの順番に合わせて書いた。一ページ目が概要、二ページ目が数値、三ページ目が課題。その順番で声を出して練習した。体に入れた。
新しいスライドは、三ページ目が先頭に来ていた。課題が最初。数値が二番目。概要が最後。
榊原からのチャットが来た。
「上から差し替え指示が来た。順番が変わるけど内容は同じ。よろしく」
内容は同じ。順番だけが違う。たったそれだけのことだ。言うことは変わらない。数字も変わらない。
でも真琴の体は、旧い順番で動くようにできている。概要から入って、数値を見せて、課題で締める。その流れが五回分の練習で筋肉に刻まれている。
課題から始めろ。
昼休みの残り時間を使って、新しい順番に合わせた原稿を書き直した。時間は二十三分しかなかった。ノートの上で、ペンが速く動いた。書いている字が乱れていく。一通目の報告書のときは、赤いチェックマークを5ミリの均一な長さで引いた。今は字の大きさがばらばらだ。
十三時四十七分。書き直しが終わった。終わったけれど、声に出す時間がなかった。新しい一文目を、口の中だけで唱えた。
「今期の課題は三点です」
舌が動いた。音は出さなかった。
十四時。会議室の準備に向かった。
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5
十四時三十分。
プロジェクターを起動し、スライドを映した。新しい順番。課題が最初。画面に大きく「今期の課題」と表示されている。
配布資料を二十部、テーブルの上に並べた。角を揃えた。二十部の紙の端を、指で押さえて整えた。揃える手つきは正確だった。ここだけは、いつも通りだった。
十四時四十五分。参加者が入り始めた。
人が増えるたびに、空気が詰まっていく。二十人分の呼吸と体温が部屋に充填されていく。真琴は前方の発表位置に立って、ノートを手元に置いた。ノートの文字がにじんで見えた。目がおかしいのではない。指先が震えているから、持っているノートが揺れて、字が揺れている。
十四時五十五分。榊原が入ってきた。席に座り、真琴に小さく頷いた。
真央はCSチームの席に座っている。真琴の方を見て、小さく手を振った。
十四時五十八分。部屋が静かになり始めた。雑談の声が細くなる。椅子の軋みが収まる。紙をめくる音が一つ、二つ。それも止まる。
空気が、固まっていく。
真琴は自分の呼吸を聞いた。浅い。速い。肋骨の内側が締まっている。口の中が乾いている。唾を飲もうとした。飲めなかった。
ノートに目を落とした。一文目。「今期の課題は三点です」。
十四時五十九分。
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6
十五時。
「──」
真琴は口を開いた。口を開いたけれど、音が出なかった。
一秒。
二十人の視線が、真琴の顔に集まっている。スクリーンの光が背中に当たっている。影が床に落ちている。自分の影が、自分の足元で動かない。
喉の奥に、壁がある。昨夜はなかった壁だ。練習のときは声が出た。五回出した。部屋で一人で出した。でも今、二十人の前で、壁がある。
空白が広がる。
誰かが咳払いをした。小さな音だった。でもその音が、沈黙の重さを証明した。静かであることが異常であることが、その咳払い一つで部屋に伝わった。
真琴の指先が白い。ノートの端を握っている。握っている力を少しでも緩めたら、手が震えるのが見えてしまう。
二秒。
場が、凍り始めている。
二秒目の終わりに、真琴の頭の中で何かが切り替わった。
原稿の一文目を、捨てた。
昨夜の一文目も、昼の一文目も、全部捨てた。原稿に書いた順番どおりに話そうとするから、最初の一語が出ない。最初の一語が出ないから、全部が止まる。
なら、最初を変える。
「結論から申し上げます」
声が出た。自分の声だった。低くて、少しだけかすれていた。でも出た。空気を割って、部屋の奥まで届いた。
「今期の課題は三点です。対応速度。満足度の回復。ナレッジの共有。この三点について、順に報告します」
言い切った瞬間、体の中を何かが流れた。血液が一斉に動き出したような感覚だった。指先に温度が戻った。視界がクリアになった。
ノートには目を落とさなかった。原稿の文字を追うのをやめた。スライドの見出しを読み、数字を指し、自分の言葉で話した。練習した文章とは違う文章だった。でも中身は同じだった。
五分。十分。十五分。
質疑が始まった。営業の課長が手を挙げた。
「対応速度のKPI、前期比でどのくらい改善してる?」
「前期比で平均レスポンスタイムが十二パーセント短縮しています。ただし件数ベースでは増加傾向なので、単純な比較には注意が必要です」
答えた。答えながら、自分の声を聞いていた。震えていない。普通の声で、普通のことを言っている。
二つ目の質問。三つ目。四つ目。全部、答えられた。
十五時三十二分。定例が終わった。
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7
会議室を出ると、廊下の空気が軽かった。二十人分の視線がなくなっただけで、肩の荷が物理的に降りた感覚があった。
榊原が後ろから来た。
「真琴」
振り返った。
「出だし、少し止まったな」
心臓が一回、強く打った。
「でも、立て直しが良かった。結論から入ったのは正解だ」
榊原は廊下を歩きながら言った。真琴は半歩後ろを歩いた。
「君にサブリーダーを任せたい」
足が止まった。榊原は止まらなかった。二歩先まで行って、振り返った。
「来月からだ。フォーマルには来週の朝会で出すけど、先に伝えておく。任せられると思っている」
「……はい」
それだけ言って、榊原は自分のデスクに戻った。
真琴は廊下に立っていた。壁に手をついた。手のひらが壁の冷たさを吸った。
サブリーダー。
嬉しいはずだ。評価されている。二十人の前で話し切った。質問にも全部答えた。出だしの二秒を除けば、完璧だった。
完璧だったのに、胸の中に広がっているのは達成感ではなかった。もっと重い、もっと冷たい何かだった。
"失敗しない人間"として、認められた。
提案したのではない。新しいことを始めたのではない。誰かの意見に異を唱えたのでもない。聞かれたことに答え、準備したことを出し、場を壊さなかった。それだけで、サブリーダーになった。
席に戻ると、真央がにこにこしていた。
「すごいじゃん、サブリーダー!」
「……まだ正式じゃないけど」
「でも榊原さんが言ったんでしょ? 確定じゃん。おめでとう」
真央の笑顔は本物だった。嫉妬がなかった。真央は人の成功を素直に喜べる人間だった。
「ありがとう」
笑った。口の形は笑顔だった。
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8
十七時。
業務を片付けている途中で、チャットの通知が光った。高瀬慎。
「お疲れさまです。今日の定例、お疲れさまでした」
真琴は文字を見つめた。今日の定例は社内報告だけでなく、A社との月次共有も兼ねていた。高瀬はA社側の参加者として後半から入っていた。
「ありがとうございます。途中からの参加、助かりました」
打った。送った。用件の返信。いつも通り。
高瀬からもう一行。
「最初、少し止まりましたよね」
心臓が跳ねた。榊原と同じことを言っている。でも温度が違う。榊原は「止まったが立て直した」と評価した。高瀬は「止まりましたよね」とだけ言った。事実の確認だった。その先に何が来るのか、わからない。
「……はい。少し」
「でも、戻しましたよね。あれ、すごいと思いました」
「すごい」。その言葉を受け取りたかった。受け取りたいのに、体が反射で拒否する。
「慣れてるので、大丈夫です」
送ってすぐ、後悔した。慣れてなどいない。昨夜の練習も、昼の書き直しも、あの二秒の空白も、全部が慣れていない証拠だ。でも「大丈夫です」と言えば会話が終わる。終わらせたほうが安全だ。
一分後。
「慣れてる人の"大丈夫"って、だいたい大丈夫じゃないと思ってます」
真琴の呼吸が止まった。
高瀬は真琴の「大丈夫です」を受け取らなかった。受け取らずに、裏側を読んだ。真琴が「大丈夫です」と言うたびに、その言葉の裏にあるものを見ようとしている。
怖かった。見られることが怖かった。回避の壁の向こうから覗かれている感覚。でも同時に、怖さの底に別の感情があった。名前のない感情だった。怖いのに、嫌ではない。見られたくないのに、見てほしい。矛盾している。矛盾しているのに、胸の奥が熱い。
もう一行。
「無理な日は無理って言ってください。取引先の担当としてじゃなくて」
文が途切れた。入力中のアイコンが点滅している。三つの点。
四秒後。
「人として、気になるので」
真琴はスマートフォンを両手で持っていた。持っている手が温かかった。高瀬の言葉が画面から手のひらを通って体に入ってくるような錯覚があった。
「人として」。取引先でも、同僚でも、隣の部署の担当者でもなく。
返信を打たなければ。「ありがとうございます」。いつもの一行。安全な一行。
指がキーボードに触れた。
「ありがとうございます」
打った。その下に、もう一行。
「正直、今日は少し怖かったです」
指が震えていた。会議の前の震えとは違う。もっと深い場所からの震えだった。
「怖かった」。この言葉は、ノートの「×」の列に入るのか、「○」の列に入るのか。言い訳なのか。本音なのか。空気を壊す言葉なのか。
わからないまま、親指が画面に触れた。
送信された。
五秒。十秒。十五秒。
「言ってくれて、ありがとうございます」
真琴はその九文字を見つめた。高瀬は「大丈夫じゃないでしょう」とは言わなかった。「怖いのは当然です」とも言わなかった。ただ、言ってくれたことに礼を言った。真琴が壁の内側から一歩出たことに対して、「出てきてくれてありがとう」と言った。
目の奥が熱くなった。泣いてはいない。泣くほどのことではない。九文字だ。
でも、熱かった。
報告書は「場を凍らせる」と書いてあった。凍らせなかった。それは回避の成功だった。でも今日、真琴は一つだけ、回避しなかったことがある。
「怖かった」と言った。高瀬に。
それは封筒の中には書かれていない出来事だった。報告書が予言しなかった、真琴自身が選んだ行為だった。
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9
帰宅は十九時五十一分。
マンションのエントランスを抜けて、ポストの前に立った。鍵を差して、扉を開けた。
白い封筒が一通。
手に取った。重さは同じ。厚さも同じ。
部屋に入り、靴を脱ぎ、手を洗い、テーブルに向かった。封筒がきれいに並んでいる。新しい一通をその上に重ねる前に、封を切った。
中の紙を引き出した。文字を読んだ。
> 失敗報告書
> 対象者:綾瀬真琴
> 発生日:明日
> 事象:______
> 備考:______
事象の欄に、線だけがあった。文字がなかった。
備考の欄にも、線だけがあった。
時刻もない。事象もない。何が起きるのかも書かれていない。記入欄の罫線だけが、何かが書かれるはずだった場所を示している。
真琴は紙を裏返した。裏には何もなかった。表に戻した。対象者の欄だけが、いつもと同じ冷たさで印字されている。「綾瀬真琴」。
空白の報告書。
何を準備するのか。
数字のときは、検算した。名前のときは、練習した。空気のときは、言葉を矯正した。場のときは、原稿を書いた。全部、報告書が教えてくれた内容に対して準備をした。
報告書が何も教えてくれなかったら。
真琴は封筒を他の封筒の上に重ねた。角を合わせた。揃える手つきは、正確だった。
でも指先が、かすかに震えていた。
テーブルの上に封筒が並んでいる。最後の一通だけが、中身のない箱だった。枠組みだけがあって、恐怖の名前が入っていない。入っていないのに──入っていないからこそ、怖い。
冷蔵庫から麦茶を出した。グラスに注いだ。飲んだ。味がしなかった。
ノートを開いた。何も書けなかった。
明日の予定を確認した。普通の一日だった。定例はない。大きな会議もない。何もない一日に、何が起きるのか。
グラスを置いた。ノートを閉じた。封筒を揃えた。
揃えても、安心しなかった。
スマートフォンの画面に、高瀬の九文字がまだ残っている。「言ってくれて、ありがとうございます」。
あの言葉だけが、今日の中で、報告書の外側にある。
でも明日は──報告書が、何も教えてくれない。
真琴は封筒の角を、もう一度撫でた。
罫線の上の空白が、目を閉じても消えなかった。
十四時五十九分。
真琴は会議室の前に立っている。ドアノブに手をかけている。金属の冷たさが、指から手首を通って肘まで上がってくる。
ドアの向こうに、二十人がいる。
椅子に座って、スクリーンを見て、真琴の声を待っている。声が出れば始まる。出なければ──止まる。二十人の前で、空気が止まる。
喉の奥に、空白がある。言葉が入るべき場所に、何もない。昨夜書いた原稿の一文目が思い出せない。その先が出てこない。出てこないのに、時計は動いている。秒針が12を踏もうとしている。
あと、一秒。
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2
昨夜、封筒を揃えた。時刻は15:00だった。「場を凍らせる」。
その六文字を読んでから、真琴はノートを開いて原稿を書き始めた。発表の一文目。「第三四半期のCS対応について報告します」。二文目。「今期の課題は三点です」。三文目──
三文目を書いている途中で、ペンが止まった。
課題は三点。一点目は対応速度の改善。二点目はクライアント満足度の回復施策。三点目は──何だ。
資料を開いた。スライドの七ページ目。「社内ナレッジの共有強化」。そうだ。それを言えばいい。資料に書いてある文字を、声に出せばいい。
なのに、ペンを持つ指が冷たい。
部門定例は二十名規模だ。CSチームだけではない。営業、企画、管理部門の担当者もいる。普段は榊原が報告する。今回は真琴に回ってきた。「君が説明して」と榊原は言った。「質問が来たら、君が返して」とも。
質問が来たら。何を聞かれるかわからない。想定質問を作ることはできる。でも想定の外から来たら。
真琴は原稿の横に、想定質問の一覧を書き始めた。四つ書いた。足りない気がした。五つ目。六つ目。七つ目。
気づいたら十一の質問が並んでいた。それぞれに回答の骨子を書き、数字を資料と照合した。一つずつ。指で追って、ノートに転記して、赤で確認マークを入れた。
二十三時四十分。ノートの四ページが埋まっていた。それでも、喉の奥の空白は消えなかった。
立ち上がった。部屋の中央に立った。ノートを見ながら、声に出した。
「第三四半期のCS対応について報告します」
声が震えた。壁に当たって返ってきた自分の声が、他人のもののように聞こえた。弱い。細い。この声が二十人の部屋を通るのか。
もう一度。三度目。四度目。五度目。
五度目で、震えが表面から消えた。消えたのではない。声の下に潜った。表面は平らになったけれど、振動はまだ体の中にある。隠しただけだ。
それでいい。隠せれば、凍らない。
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朝。
席についてPCを開くと、榊原からチャットが入っていた。
「今日の定例、頼む。終わったら少し話がある」
「少し話がある」。真琴はその一文を三回読んだ。話がある。何の話だ。良い話か。悪い話か。わからない。わからないことが、胸の中で小さな穴を開けた。穴から冷気が漏れている。
「承知しました」と返信した。
九時の朝会で、榊原が言った。
「今日の部門定例、CSの報告は真琴が担当する。質疑も含めて任せる」
真央が隣で小さく「おー」と声を出した。それから真琴のほうを向いて、親指を立てた。
「いけるいける」
真央の軽さが、真琴には眩しい。「いける」と言える人間は、いけなかったときのことを考えていない。いけなくても、「あ、だめだった」と笑って次に行ける人間だ。
真琴は笑って頷いた。笑うことはできる。もう慣れた。
朝会が終わった後、西園寺が席に来た。
「今日、任されたんだね。榊原さん、信頼してるんだよ。綾瀬さんのこと」
西園寺は穏やかに笑った。「信頼」という言葉が、温かさではなく重さとして胸に落ちた。信頼されている。つまり、裏切れない。裏切るとは、失敗するということだ。
十時。チャットの通知が光った。高瀬慎。
「お疲れさまです。昨日の共有資料、確認しました。問題ないです」
用件だった。真琴は「ありがとうございます」と返した。
十五秒後、もう一行。
「今日、返信早いですね。忙しい日ですか?」
真琴の指が止まった。
返信が早い。そうかもしれない。昨夜ほとんど寝ていなくて、朝から神経が張っているから、通知に反応する速度が上がっている。普段は二、三分空ける。今日はすぐに返している。その差を、高瀬は見ている。
「少しだけ立て込んでます」
打った。送った。「少しだけ」ではない。全身で立て込んでいる。毛穴の一つひとつが15:00に向かって収縮している。
高瀬から返信。
「了解です。大丈夫そうなら良いんですけど──綾瀬さん、"大丈夫です"って打つ前に、ちょっと間がある時ありますよね」
真琴は画面を見つめた。
間がある。そうだ。高瀬に返信するとき、「大丈夫です」と打つ前に別の言葉を打って消している。昨日の「高瀬さんの文面も」がそうだった。今日も、最初は「正直、今日は怖いです」と打ちかけて消した。消した時間が、間になっている。
高瀬はそれを知らないはずだ。消した文字は送信されない。間だけが届いている。既読がついてから返信が来るまでの空白。その空白を、高瀬は読んでいる。
「いえ、大丈夫です。考えてから打つ癖があるだけです」
送った。丁寧で、正しくて、何も伝えていない返信だった。
高瀬からの返信は来なかった。三分が過ぎた。三分の沈黙は、高瀬のほうにも「間」があることを意味していた。
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十三時。
昼休みが終わり、席に戻ると、共有フォルダの定例資料が更新されていた。
真琴はフォルダを開いた。開いて、呼吸が止まった。
スライドの順番が変わっていた。
昨夜の原稿は、旧スライドの順番に合わせて書いた。一ページ目が概要、二ページ目が数値、三ページ目が課題。その順番で声を出して練習した。体に入れた。
新しいスライドは、三ページ目が先頭に来ていた。課題が最初。数値が二番目。概要が最後。
榊原からのチャットが来た。
「上から差し替え指示が来た。順番が変わるけど内容は同じ。よろしく」
内容は同じ。順番だけが違う。たったそれだけのことだ。言うことは変わらない。数字も変わらない。
でも真琴の体は、旧い順番で動くようにできている。概要から入って、数値を見せて、課題で締める。その流れが五回分の練習で筋肉に刻まれている。
課題から始めろ。
昼休みの残り時間を使って、新しい順番に合わせた原稿を書き直した。時間は二十三分しかなかった。ノートの上で、ペンが速く動いた。書いている字が乱れていく。一通目の報告書のときは、赤いチェックマークを5ミリの均一な長さで引いた。今は字の大きさがばらばらだ。
十三時四十七分。書き直しが終わった。終わったけれど、声に出す時間がなかった。新しい一文目を、口の中だけで唱えた。
「今期の課題は三点です」
舌が動いた。音は出さなかった。
十四時。会議室の準備に向かった。
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十四時三十分。
プロジェクターを起動し、スライドを映した。新しい順番。課題が最初。画面に大きく「今期の課題」と表示されている。
配布資料を二十部、テーブルの上に並べた。角を揃えた。二十部の紙の端を、指で押さえて整えた。揃える手つきは正確だった。ここだけは、いつも通りだった。
十四時四十五分。参加者が入り始めた。
人が増えるたびに、空気が詰まっていく。二十人分の呼吸と体温が部屋に充填されていく。真琴は前方の発表位置に立って、ノートを手元に置いた。ノートの文字がにじんで見えた。目がおかしいのではない。指先が震えているから、持っているノートが揺れて、字が揺れている。
十四時五十五分。榊原が入ってきた。席に座り、真琴に小さく頷いた。
真央はCSチームの席に座っている。真琴の方を見て、小さく手を振った。
十四時五十八分。部屋が静かになり始めた。雑談の声が細くなる。椅子の軋みが収まる。紙をめくる音が一つ、二つ。それも止まる。
空気が、固まっていく。
真琴は自分の呼吸を聞いた。浅い。速い。肋骨の内側が締まっている。口の中が乾いている。唾を飲もうとした。飲めなかった。
ノートに目を落とした。一文目。「今期の課題は三点です」。
十四時五十九分。
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十五時。
「──」
真琴は口を開いた。口を開いたけれど、音が出なかった。
一秒。
二十人の視線が、真琴の顔に集まっている。スクリーンの光が背中に当たっている。影が床に落ちている。自分の影が、自分の足元で動かない。
喉の奥に、壁がある。昨夜はなかった壁だ。練習のときは声が出た。五回出した。部屋で一人で出した。でも今、二十人の前で、壁がある。
空白が広がる。
誰かが咳払いをした。小さな音だった。でもその音が、沈黙の重さを証明した。静かであることが異常であることが、その咳払い一つで部屋に伝わった。
真琴の指先が白い。ノートの端を握っている。握っている力を少しでも緩めたら、手が震えるのが見えてしまう。
二秒。
場が、凍り始めている。
二秒目の終わりに、真琴の頭の中で何かが切り替わった。
原稿の一文目を、捨てた。
昨夜の一文目も、昼の一文目も、全部捨てた。原稿に書いた順番どおりに話そうとするから、最初の一語が出ない。最初の一語が出ないから、全部が止まる。
なら、最初を変える。
「結論から申し上げます」
声が出た。自分の声だった。低くて、少しだけかすれていた。でも出た。空気を割って、部屋の奥まで届いた。
「今期の課題は三点です。対応速度。満足度の回復。ナレッジの共有。この三点について、順に報告します」
言い切った瞬間、体の中を何かが流れた。血液が一斉に動き出したような感覚だった。指先に温度が戻った。視界がクリアになった。
ノートには目を落とさなかった。原稿の文字を追うのをやめた。スライドの見出しを読み、数字を指し、自分の言葉で話した。練習した文章とは違う文章だった。でも中身は同じだった。
五分。十分。十五分。
質疑が始まった。営業の課長が手を挙げた。
「対応速度のKPI、前期比でどのくらい改善してる?」
「前期比で平均レスポンスタイムが十二パーセント短縮しています。ただし件数ベースでは増加傾向なので、単純な比較には注意が必要です」
答えた。答えながら、自分の声を聞いていた。震えていない。普通の声で、普通のことを言っている。
二つ目の質問。三つ目。四つ目。全部、答えられた。
十五時三十二分。定例が終わった。
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会議室を出ると、廊下の空気が軽かった。二十人分の視線がなくなっただけで、肩の荷が物理的に降りた感覚があった。
榊原が後ろから来た。
「真琴」
振り返った。
「出だし、少し止まったな」
心臓が一回、強く打った。
「でも、立て直しが良かった。結論から入ったのは正解だ」
榊原は廊下を歩きながら言った。真琴は半歩後ろを歩いた。
「君にサブリーダーを任せたい」
足が止まった。榊原は止まらなかった。二歩先まで行って、振り返った。
「来月からだ。フォーマルには来週の朝会で出すけど、先に伝えておく。任せられると思っている」
「……はい」
それだけ言って、榊原は自分のデスクに戻った。
真琴は廊下に立っていた。壁に手をついた。手のひらが壁の冷たさを吸った。
サブリーダー。
嬉しいはずだ。評価されている。二十人の前で話し切った。質問にも全部答えた。出だしの二秒を除けば、完璧だった。
完璧だったのに、胸の中に広がっているのは達成感ではなかった。もっと重い、もっと冷たい何かだった。
"失敗しない人間"として、認められた。
提案したのではない。新しいことを始めたのではない。誰かの意見に異を唱えたのでもない。聞かれたことに答え、準備したことを出し、場を壊さなかった。それだけで、サブリーダーになった。
席に戻ると、真央がにこにこしていた。
「すごいじゃん、サブリーダー!」
「……まだ正式じゃないけど」
「でも榊原さんが言ったんでしょ? 確定じゃん。おめでとう」
真央の笑顔は本物だった。嫉妬がなかった。真央は人の成功を素直に喜べる人間だった。
「ありがとう」
笑った。口の形は笑顔だった。
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十七時。
業務を片付けている途中で、チャットの通知が光った。高瀬慎。
「お疲れさまです。今日の定例、お疲れさまでした」
真琴は文字を見つめた。今日の定例は社内報告だけでなく、A社との月次共有も兼ねていた。高瀬はA社側の参加者として後半から入っていた。
「ありがとうございます。途中からの参加、助かりました」
打った。送った。用件の返信。いつも通り。
高瀬からもう一行。
「最初、少し止まりましたよね」
心臓が跳ねた。榊原と同じことを言っている。でも温度が違う。榊原は「止まったが立て直した」と評価した。高瀬は「止まりましたよね」とだけ言った。事実の確認だった。その先に何が来るのか、わからない。
「……はい。少し」
「でも、戻しましたよね。あれ、すごいと思いました」
「すごい」。その言葉を受け取りたかった。受け取りたいのに、体が反射で拒否する。
「慣れてるので、大丈夫です」
送ってすぐ、後悔した。慣れてなどいない。昨夜の練習も、昼の書き直しも、あの二秒の空白も、全部が慣れていない証拠だ。でも「大丈夫です」と言えば会話が終わる。終わらせたほうが安全だ。
一分後。
「慣れてる人の"大丈夫"って、だいたい大丈夫じゃないと思ってます」
真琴の呼吸が止まった。
高瀬は真琴の「大丈夫です」を受け取らなかった。受け取らずに、裏側を読んだ。真琴が「大丈夫です」と言うたびに、その言葉の裏にあるものを見ようとしている。
怖かった。見られることが怖かった。回避の壁の向こうから覗かれている感覚。でも同時に、怖さの底に別の感情があった。名前のない感情だった。怖いのに、嫌ではない。見られたくないのに、見てほしい。矛盾している。矛盾しているのに、胸の奥が熱い。
もう一行。
「無理な日は無理って言ってください。取引先の担当としてじゃなくて」
文が途切れた。入力中のアイコンが点滅している。三つの点。
四秒後。
「人として、気になるので」
真琴はスマートフォンを両手で持っていた。持っている手が温かかった。高瀬の言葉が画面から手のひらを通って体に入ってくるような錯覚があった。
「人として」。取引先でも、同僚でも、隣の部署の担当者でもなく。
返信を打たなければ。「ありがとうございます」。いつもの一行。安全な一行。
指がキーボードに触れた。
「ありがとうございます」
打った。その下に、もう一行。
「正直、今日は少し怖かったです」
指が震えていた。会議の前の震えとは違う。もっと深い場所からの震えだった。
「怖かった」。この言葉は、ノートの「×」の列に入るのか、「○」の列に入るのか。言い訳なのか。本音なのか。空気を壊す言葉なのか。
わからないまま、親指が画面に触れた。
送信された。
五秒。十秒。十五秒。
「言ってくれて、ありがとうございます」
真琴はその九文字を見つめた。高瀬は「大丈夫じゃないでしょう」とは言わなかった。「怖いのは当然です」とも言わなかった。ただ、言ってくれたことに礼を言った。真琴が壁の内側から一歩出たことに対して、「出てきてくれてありがとう」と言った。
目の奥が熱くなった。泣いてはいない。泣くほどのことではない。九文字だ。
でも、熱かった。
報告書は「場を凍らせる」と書いてあった。凍らせなかった。それは回避の成功だった。でも今日、真琴は一つだけ、回避しなかったことがある。
「怖かった」と言った。高瀬に。
それは封筒の中には書かれていない出来事だった。報告書が予言しなかった、真琴自身が選んだ行為だった。
---
9
帰宅は十九時五十一分。
マンションのエントランスを抜けて、ポストの前に立った。鍵を差して、扉を開けた。
白い封筒が一通。
手に取った。重さは同じ。厚さも同じ。
部屋に入り、靴を脱ぎ、手を洗い、テーブルに向かった。封筒がきれいに並んでいる。新しい一通をその上に重ねる前に、封を切った。
中の紙を引き出した。文字を読んだ。
> 失敗報告書
> 対象者:綾瀬真琴
> 発生日:明日
> 事象:______
> 備考:______
事象の欄に、線だけがあった。文字がなかった。
備考の欄にも、線だけがあった。
時刻もない。事象もない。何が起きるのかも書かれていない。記入欄の罫線だけが、何かが書かれるはずだった場所を示している。
真琴は紙を裏返した。裏には何もなかった。表に戻した。対象者の欄だけが、いつもと同じ冷たさで印字されている。「綾瀬真琴」。
空白の報告書。
何を準備するのか。
数字のときは、検算した。名前のときは、練習した。空気のときは、言葉を矯正した。場のときは、原稿を書いた。全部、報告書が教えてくれた内容に対して準備をした。
報告書が何も教えてくれなかったら。
真琴は封筒を他の封筒の上に重ねた。角を合わせた。揃える手つきは、正確だった。
でも指先が、かすかに震えていた。
テーブルの上に封筒が並んでいる。最後の一通だけが、中身のない箱だった。枠組みだけがあって、恐怖の名前が入っていない。入っていないのに──入っていないからこそ、怖い。
冷蔵庫から麦茶を出した。グラスに注いだ。飲んだ。味がしなかった。
ノートを開いた。何も書けなかった。
明日の予定を確認した。普通の一日だった。定例はない。大きな会議もない。何もない一日に、何が起きるのか。
グラスを置いた。ノートを閉じた。封筒を揃えた。
揃えても、安心しなかった。
スマートフォンの画面に、高瀬の九文字がまだ残っている。「言ってくれて、ありがとうございます」。
あの言葉だけが、今日の中で、報告書の外側にある。
でも明日は──報告書が、何も教えてくれない。
真琴は封筒の角を、もう一度撫でた。
罫線の上の空白が、目を閉じても消えなかった。
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