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第1章 天使との契り

8話 天使との契約(仮)

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「〈#闇沈空間オスクリテスペース〉」

天を仰ぎ呪文を唱える。

  すると空が闇に呑み込まれていく。
 闇の侵食は続き、空は愚か、辺り一面までもが文字通りーーー暗黒世界へと変わっていく。

  「何だ? その技? 魔法は」

 「こ、これで闇をらせば良いのね」


「ああ、そうだと思うぞ」

返答を聞いた直後ーー

  スコープから暗闇をロックオンし、

「武装魔銃術〈光弾ライトバレット〉」

狙いを定めて、引き金を引く。

ーーー銃口から撃たれた銃弾。

  撃たれた弾丸は光へと変化した。

光の弾丸を高速で穿つと。

闇がうっすらと薺れた。

「い、今よ」

「ありがとう」

薄れた暗闇の中にライディスを見付け、ヒョウガが動く。
 

「中々やるな。あの少女」

感心したライディス。

   「けど闇はまだまだ霽れないよ」

「そ、それは分からないですよ」

そうアミリが言うと。

「能力〈炎柱〉」 

  突如闇の中に、炎の柱が発生してーー。
暗黒世界が徐々に燃えて行く。
 
「何っ!?」

驚愕するライディス。

「見付けたぞ!  ライディス」

「漆魔刀剣技〈魔刃デビルブレード〉」


  近付くヒョウガへ、ライディスは型を取る。


突如周りの空気が一変し、
凍てつき始めた。

  幾つもの魔物が、何処からともなく姿を現した。


「あんなに大量の化け物が···」


驚く暇などない。

  魔物達が次々とヒョウガを襲う。


「俺の能力で消してやるよ。

能力〈暴風〉」


  迫る悪魔を直前で吹き飛ばした。


「流石はヒョウガだ」


とライディスは感心してーー。


「これはどうかな」


型を取ると。


「漆魔刀剣技〈死闇モルテネス毒斬りテイプレイク〉」


  闇がライディスを飲み込んだ。
すると一匹の魔物が出てきた。


  その魔物からは毒気と禍々しさが漂う。
非常に危ない。

  スコープから動くライディスをロックオンし、

「武装魔銃術〈氷炎の弾フラゾン・バレット〉」 

狙いを定め、引き金を引く。

ーーー銃口から撃たれた弾丸。

  撃たれた弾丸が氷と炎へ変化する。

  氷と炎へ変化した弾丸が、躱わそうと身を捻ったライディスを撃ち抜く。

「ま、また行きますね」


  スコープから相手を覗き込んだ。

「武装魔銃〈無濃紅のクリムゾンノートバレット

  狙いを定め、再び引き金を引いた。

   ーーー火薬の弾ける振動と共に、高速で回転する弾丸。
  弾丸は次第に形を変え、蒼い超高熱の炎に。

  炎に変化した弾丸は発射口から発射された。
  蒼い炎の弾丸は、瞬く間にライディスの心臓部分まで飛んできていてーー。

命中する。

「ぐはっ…」 

  呻き声を上げるが、防御していたためそこまでダメージはない。

「ヒョウガの彼女も中々やるな」


またも攻撃を相手が仕掛けた。


「漆魔刀剣技〈魔王爪斬〉」


次々と魔物が合体していく。
現れたのは巨大な魔物の王。

  狙いを定めーー巨大な爪を二人同時に振り下ろす。


「き、来てるわよ」

「能力〈鎌鼬〉」


魔物の王に触れず斬りさこうとするも、効果が見られんない。

風双刃を構え、

「風双刃剣技〈炎交刀のブレイゼルソード・ウィンド〉」


 突如にして炎が生じて、風も吹き荒れてた。
炎と風が交じり合い、炎風となると。

 炎風の刃が、魔王へと斬りかかってーーー


巨大な魔王が炎風の刃に殺られ、消えてしまう。

「こ、これでも食らいなさい」

  スコープから動くライディスを覗き込んだ。

  「

武装魔銃術〈星屑のスターダストバレット〉 」


狙いを定め、引き金を引く。

  ーーー火薬の弾ける振動と共に、高速で回転する弾丸。
    弾丸は次第に形を変え、無数の小さな星に。

  無数の小さな星へ変化した弾が、発射口から発射された。
  小さな星の弾丸は、瞬く間に回避を狙うライディスを、容赦なく撃ち抜く。


  撃ち抜かれた箇所に風穴が空き、溢血してしまう。


「これで決めるぞ! 

風双刃剣技〈無限のアンリミテッド〉 七色レインボル


無限に続く七色の風。
七色の風によって、ライディスを行動不能にした。

解放された所を、

  ーーー容赦のない一撃を撃ち込んだ。


「風双刃剣技〈七色レインボル・風斬りウィンドブレイク〉」


透かさず剣を構える。
しかし抑えきれずーー

  七色風が鋭い刃へ変化し、
ライディスへ降り注いだ。

「前よりも更に強くなってるとは···」

        
バタッ、

 『後は、俺に任せておけぇ! 暴れるぜえ~』

倒れたライディス。
  姿を戻した悪魔は、其の儘体に憑とりつく。

 「おい、大丈夫か? ライディス。先の化け物が体の中に入って行ったけど」

 「ぐはははは、遂に、遂に人間の体を手に入れたぜえ~。さあ、楽しませてもらうぜえ~虐殺をな~!」

 突如として、狂喜し始めた悪魔ライディスは、全員の前で殺人予告を出した。

姿を消すして何処から現れるのかと思っていた。


「アミリ、そっちは大丈夫か?」

「こ、此方は大丈夫よ」

二人は辺りを見渡すが姿を見せない。
漸く現れたかと思うと、鳥籠を持っていた。
鳥籠の中にはカナミ達の姿がーー。

「先にコイツらから殺ってやるぜぇ」

 「そ、そんなことさせないわよ」

  アミリがそう言えと、スコープから相手を覗き込んだ。

「武装魔銃術〈雷電のトネール・バレット〉」

狙いを定め、引き金を引く。

ーー銃口から撃たれた弾丸。

弾丸は雷と雷へ変化し、

  雷と雷の弾へ変化した弾は、悪魔を貫通した。
  にも拘らず全く効いていない。

 次は向こうから仕掛けてきた。

  「邪魔するならお前から消えてもらうぜぇ」
   
と一呼吸おいて、
     
「漆魔奥義<魔刃>」

 幾つもの魔物が、何処からともなく現れた。

魔物は次々にアミリを狙う。


「能力〈炎柱〉」

  大きな炎の柱が、すぐ側に突如現れた。
  目と鼻の先に迄、迫っていた魔物次々にが燃えていく。

「この状態の俺様の攻撃を消せるとは凄いぜぇ」

少し驚いてはいるが、問題なさそうだ。

「仲間は返してもらうぞ!」

そう力強い言葉で言うと。

風双刃を構え、

  「風双刃剣技〈風神の嵐乱舞〉」

  ライディスの目先に、予兆もなく風神が姿を現した。
  風神は踊り狂うかの如く嵐を起こしてーー。

  発生した嵐に飲まれた悪魔は、身動きも取れない。

嵐は鋭い武器である。

  ライディスの身体は、酷く抉られ骨という骨が砕かれてしまう。
 
  バトルウェアに血が滲み出始めた。

  ーー所が暫くして、ライディスの受けた傷は完治していた。


到底勝てる相手ではない。
何故なら不死身なのだから。

  その事はヒョウガにはすぐに分かった。

「アミリそっちはどうだ?」 

「はあはあ、も、もう使える力が無いわよ」

「お···俺ももう限界だ」

  二人とももう力が残っていない。

  休憩無しで戦い続けていたら、そうなるのも無理ないだろう。

「もう終わりかぁ。やっぱ此方の奴らか殺してやるぜぇ。安心してろ。お前達カップルも後で同時に殺してやるからよぉ」

つまらさそうな悪魔ライディス
悪魔は溜め息を吐く。
  すると背後の鳥籠の方へ向かった。

  このままでは`カップル´より先に、カナミ達が殺られてしまう。

大事な仲間を守りたい。けどもう俺には体力は残っていない。こんなところで終わるなんて否だ。折角出会えた人や再会した友がいるのに…
もっと俺に力があれば変えられたかもしれないのに···
神様がいると思えない。
この際神にでも何でも頼ってやる。
それで助かるのなら。

ーーーアミリもぐったりとしてる。仕方無いか

誰か助けてくれと。

そう心の中で叫んでいると。


その時―――
 
  ーーー突如として彼の目と鼻の先に目映まばゆい光が忽然と現れた。

 その光が見る見るうちに人影へ変化していった。
 完全な形になると、そこにはいたのは一人の幼気いたいけな少女。

 「君がヒョウガ君ですね。話は片付けてからにしましょう。さ、まずは仮契約をしましょう!」

「君が何だろうと今は叶わない。大切な仲間を救えるのなからそキスだろうと契約だろうとしてやる」

 覚悟の決まったヒョウガの唇に少女の唇がくっつく。

 チュッ! 凄く柔らかい唇の感触がし、おまけに女の子独特の匂いが間近で漂う。

 「天使契約完了です。これであなたは私の力を最大限使うことが出来ます。私の力を使えば必ず勝てます」

 「天使契約…その言葉信じて使わせて貰う。本物の天使って言うのなら」


 ヒョウガの返答を聞いて天使は「嘘は言ってないですので大丈夫です。安心して下さい」と嬉しそうに言葉を返した。

「て……天使だと!?」


「行きますね!」

「何時でも良いぞ」

  刹那ーーヒョウガの周りを光が包み込んだ。
ヒョウガの手には、天使が姿を変えたーー守天裁剣。

 「く…‥眩しい。何時の間に此方にに来たんだぁ」

「・・・・・・」

  悪魔の言葉に耳も傾けず、無視し続けて、

「これでも食らえ」

守天裁剣を構えーー

 「天使剣技<閃光スパークッド・神斬りスラッシュ>」

  ―――閃光の神が、天使の力でこの地に降臨。

漆魔は逃げようと抗う。
  しかし通用せず、真っ二つに斬られた。

 「う……。だ、だがまだ再生が!? 嘘だろうぉ~」

 『天使の攻撃は悪魔には効果的なんです』

「そうだったのか!? 
     んじゃあ、止めを刺すぞ!」

一呼吸奥と、足を広げ左膝を低くし守天裁剣を構えーー。

 「天使剣技<天裁のエンジェッジウィング>」

巨大な天使となった裁剣。

 巨大な天使の翼による裁きを、悪魔を真っ正面から食らった。

―――勝負ありだ。

 ライディスの体は酷い事になってるも、漆魔本体の方が酷く。彼方此方血塗れで、瀕死状態に近い。

 「うおおぉ…何て強さだ……て……天使使い…‥げホげホ。次はお前を殺してやるぜぇ」

 それだけ言い捨てると、ふら付きながら空へと飛んで逃げて行った。

 見えなくなったのを確認し、ライディスを連れて安全防御壁から出た。

 すると、見る見るうちに傷が癒えていく。

 こうして漆魔攻防戦を無事勝利した。
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