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2章 怨みの象

2章番外編2 洞窟

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――あ、暑いわね。

 とアミリは、汗を搔いて、扇ぐ仕草をする。

 そして歩くこと何分かし、先頭を歩いていたヒョウガが、突然止まった。
 止まった先にあったのは―――四か所に分かれた道。

「どれ行こうかー」

「そんじゃあ、左行くぞ!」

 ヒョウガが選んだ道を皆も進んで行くことに。
 半分ぐらい歩いた所で、休息を取る為に岩場に立ち寄る。

 「凄く暑いですの。それに喉が渇いたですの」

 「そうだね。ヒートショックにならないようにしないとだもんね。水分補給しないとね」

 「ごくごく。ブハー。生き返ったぞ。それにパワーが漲って来たぞ」

 「ホ、本当ね。これでまだまだ歩けるわよ」

 「これでパワーが湧いてきました」

 ヒョウガが水を飲むと、生き返ったと言う。
 表情を見てみると、何だか生き生きしており。
 アミリやミューフィも同じような事を口にして。

 少し休憩をしてから、残り半分の道を歩き出す。

 ―――俺たちが歩いてる道は、草木が生い茂っている道だ。

と、ヒョウガは道の説明をした。

 歩いていると、段々と暗黒に葬られようとしているのに気付いて、歩く足を止めて、そのいた場所からクルリと踵きびすを返す。

分かれ地点に戻ると、

「そんじゃあ次は……」

「右にしようよー」

 「わ、私は真中が良いと思うわよ」

 「それじゃさ、二手に分かれよう。こうやって別れよう」

 カナミが決めた二手は、ヒョウガ、アミリ、アーティナ。と、カナミ、ミューフィ、サラ、と言う感じに分かれ。

 ヒョウガ、アミリ、アーティナは、真中を。カナミ、ミューフィ、サラで右に向う。

 ―――真中を進むヒョウガ達の方はと言うと、

 同じような草木が左右に生い茂っていた。更に進んで行くと、霧がかかり始め。

 ―――す、進むこと数分が経った頃。私の鼻に湖の匂いがしてきたわよ。

 と、アミリが鼻で感じたことを伝えると。

 アミリがそう感じた直後―――左右に草木が生い茂っていた道が、晴れた。
 そして何時の間にか、霧が消えており、代わりに現れたのは。
何と、とても大きな湖だ。

「こんなところに湖が有ったんですの!?」

「す、素敵ね。この湖」

「ああ、ホントだな。綺麗だぞ。それに広いぞ!」

 アーティナが吃驚仰天びっくりぎょうてんしてると、アミリとヒョウガが奇麗な湖を見て、感激していた。

 「ん……!? あれは・・・・・・。 なあ、アミリ、アーティナ」

 「な、何よ。何かあったわけ?」

 「アミリの言う通りですの。どうかしたんですか?」

 「ああ、あそこ見てくれ。湖の先に洞窟みたいな物が有るぞ!」

 「本当ですの! あれは間違いなく洞窟ですの」

 ―――ヒョウガが指を差したのは、洞門の様なモノで。アーティナの言葉で確信を持つ。

どうやって行くですの?」

 「そ、そうよ。泳いでいくって言っても、この下、下着しか着て無いわよ。それが見たいわけ?」

「アタシもそうですのよ」

 「んや、泳いでいかなくても良いぞ。何だ泳いで行きたいか?」

「そ、そんな訳無いでしょ」

「そうですのよ」

 アーテナが生き方に疑問を抱えると、アミリが有らぬことを思い。それに便乗するかのように、アーティナが言う。

 ―――当の本人は、否否と言ったが、まさかと言う顔でそう言うと。
返事は勿論予想通りだ。

 「それじゃあ。どうやって行くんですの?」

「周って行くんだぞ」

彼が最もな答えを言う。

 そして、先来た道をぐるりと踵を返す。

 右を進んで行った、カナミ達の方はと言うと。

 先から、進んでも進んでも同じ景色が唯々続くだけ。

 「ねえー、カナミ先輩。ここ先も通った道じゃん」

「そうなのかな」

「否、先の道と違う道です」

 サラが痺れを切れて、通ってる道と同じだと言い出す。
それを聞いたカナミが、有り得ると言った。
 ―――だが、ミューフィが待ったっを掛けて。

「どうしてそう思うなかな? ミューフィちゃん」

 「それはですね。鳥が言ってるんです。この先を行けば大丈夫。そう言ってます」

  ミューフィが言う鳥とは、先から歩いてる所にいる鳥を指す。
そして、ミューフィの能力の一つ『鳥話声聞』を使っているから。

 ―――鳥話声聞とは、鳥と話しとり、声を聞いて色々伝えたり出来る能力だ。

 鳥に言われたとおり進んで行くと、先までとは違い彩り豊かな花が咲いていた。そう――― お花畑だ。

 「綺麗なお花が沢山咲いてるよね」

 「そうですね。アミリ達とあの集合場所であったら、ここでお昼御飯にしたいです」

「お~良いな。それ!!」

綺麗な花を見てそう決める。

「でも、日射しが強い」

 カンカン照りにより、呟くように言う。

 ぐう~ぐう~と、誰かのお腹が、かわいらしく鳴ると。

「お腹が空いてしまいました」

「ウチも少しお腹空いたー」

 「じゃあ、ミューフィちゃんもサラちゃん。先分かれた道に戻ろっか!」

 ミューフィがお腹空いたことを打ち明けると、サラも同感の御様子。
 なのでカナミが、早く分かれた地点に戻ろうと促す。
 それを聞いたサラが、「ウチも良いよー」と賛同した。

「ワタシもです」

ミューフィも反対の行動を見せず、賛成の趣の様。

―――と言うことで、踵を返した。
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