arkⅣ

たける

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6.

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疲れた体を横たえ──ノッドの腕に抱かれながら──寝息を聞いていた。彼はサイボーグだが、とても人間的だった。
そんなノッドの前でだけは、ファイの中のリタルド人の血は薄らぎ、感情の抑制も利かなくなってきている。それを恥ずかしいと思っていた頃もあったが、今はむしろ、そうであっても構わないと思えるようになっていた。
何故なら自分には、リタルド人と地球人の血が流れているのだから。
そんな考えに至るまでは、完璧なリタルド人にならなければと努力してきた。地球人の血は不要なのだと。
だが父の死と、感情豊かなノッドとの出会いによって、無くしてはならないものだと感じ始めた。そして、地球人である父を愛した母の為にも。
だからと言って、無闇に感情を表に出す事は出来なかった。それまで感情を抑制する修練を重ね、それが普通の事になっていたから。
だがノッドは、そんなファイから感情をうまく引き出してくれた。彼がいてくれて、本当に、心から感謝している。
そっと体を起こすと、インターコムが鳴った。ファイはまだ目を閉じているノッドを見遣りながら、ボタンを押した。

「こちらファイ」
『デビットだ。ノッドの様子はどうだ?もし回復しているのなら、ノナカ司令官を第7宇宙基地まで送り届けてもらえないか?』

どうやら話し合いは終わったようだ。だがノッドはまだ目を覚まさない。

「彼は眠っています。恐らく司令官を送り届ける事は出来るでしょうが、そうさせない方が後々の業務にも差し支えないと判断します」

多分、多少の無理をしても艦長の指示に従うだろう。だがファイ個人としては、もう少し休ませてやりたかった。

『そうか……なら、仕方ないな。うちの艦で司令官は送り届ける事にしよう。ではファイ、すぐにメインブリッジへ来てくれ』
「分かりました。ただちに戻ります」

インターコムを切ってから、この呼び出しはあの件の報告をしろと言う事だろうと推測した。再びノッドを見遣ったが、やはりまだ眠っている。

「ノッド、私はブリッジに戻ります。後でディック機関士長に様子を伺いに来て頂きますから、それまでゆっくり休んでいて下さい」

聞こえているとは到底思えなかったが、ファイはそうノッドに囁き、部屋を出た。




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