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第4章
1.
しおりを挟む──まだ、胸が高鳴っている。
ゲイナーは刑務所の檻の前でポケットに手を突っ込みながら、クレイズを見つめていた。
「さぁ、手を出すんだ」
そう言うと──仕方がなさそうに──その細く白い腕をゲイナーに突き出した。
「これで終わりじゃない」
クレイズは、手錠をかけられながらそう言った。
「あぁそうだ、これで終わりじゃない。これから罪を償い、君の新しい人生が始まるんだ」
ゲイナーはそう答え、クレイズを連れて警察署に戻った。
署内はクレイズ脱走に騒然としていたが、ゲイナーが連れて戻ると、あちこちから歓声が上がった。そんな歓声にゲイナーは照れた振りをしながら、リリにクレイズを入れておくように命じ、執務室に戻り受話器を取った。そしてゆっくり、刑務所の番号を押した。
そして今、クレイズはブレイブ刑務所にいる。
やっと、と言うべきか。とゲイナーは思った。そしてポケットから右手を出し、顎を摩った。
その日のうちにパトカーでクレイズを刑務所に連行した。その時パトカーの運転を部下の者がし、ゲイナーは後部座席にクレイズと並んで座っていた。
これ程までにクレイズに近付いたのは、彼女に頼まれ毛布を運んだ時以来だった。その時はまだどうもなかった胸も、今は鼓動が早くなり、体が熱い。耳まで赤くなってやしまいかと、ゲイナーは何度も窓に映る自分を見つめた。そして、そこに映るクレイズも。
思い出しただけで、まだ胸は早く鼓動し、体は熱を持つように熱くなった。
──どうかしてる……
そう言い聞かせるよう内心で呟きながらも、燃え出した炎は弱まらなかった。
「じゃあクレイズを頼みます。後日弁護士の面会について、ご連絡させて頂こうと思いますので」
そう伝えると、恰幅のいい看守は微笑みながら、分かりました、と言った。
「それじゃあ、クレイズ。体に気をつけてな」
檻の中にいるクレイズにそう言うと、ゲイナーは軽く手を上げた。
「本部長もな」
簡素なベッドに腰掛けているクレイズは、そう言ってゲイナーを見上げて来た。長い睫毛の奥に、アイスブルーの瞳が輝いている。
ずっと見つめていたい。そんな気持ちを振り払うように、ゲイナーはクレイズに背を向けた。
次に会うのは多分、裁判所だろう。そう思いながらゲイナーは刑務所を後にした。
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