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第12章
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黒いベンツに乗せられ連れて来られた先は──盗撮した時に何度か見た──大きくどっしりとしたたたずまいの、1軒家だった。ドーズの屋敷よりは小さいが、それでも十分大きいので屋敷と呼んでもいいだろう。
「ここだ」
そう言ってカルロスは車から降りると、まだ後部座席に座っているクレイズへと、手を差し出した。その手を取り車から降りると、カルロスはそのままクレイズを家の中へ連れて入った。
玄関を潜り、廊下を歩くとリビングになっている。ブレイブシティでは流行っている建て方なのだろう。途中いくつか扉があり、部屋があるようだった。
「妻の姿が見えないが、1人で暮らしているのか?」
そうクレイズが尋ねると、カルロスは小さく微笑んだ。
「ここは別宅みたいなものだ。妻は自宅の方にいる」
いくつか家があるのだなと思いながら、クレイズは取り敢えず黒い革張りのソファに腰を下ろした。その隣にカルロスが座ると、肩を抱いてくる。
「ゲイナーに会うな、とは言わんが、これからは自分の行動で誰がどうなるか、よく考えてから行動するんだな」
それはまるで、脅迫のような言葉だった。この家から出るな、と言っているようなものだった。クレイズはカルロスに頷いて見せると、病院で怪我をさせられたゲイナーの姿を思い返した。
カルロスは、やる、と言えばやる男だ。従わないまでも、逆らえばゲイナーは更に傷つく事になる。
「この家に住め、と、言っているのか?」
そう言うと、カルロスは返事の代わりに唇を重ねて来た。
深い、舌を絡ませる口づけに目を閉じ、クレイズはされるがままになっていた。暫く、ここにいるのもいい。そうすれば、カルロスの行動も監視出来る。そう言い聞かせ、クレイズはカルロスに腕を絡ませた。
「愛人は勿論いるんだろ?その愛人はここへは来るのか?」
唇が放れると、クレイズは尋ねてみた。するとカルロスは、クレイズをソファへ押し倒すと優しく微笑んだ。
「ここへは滅多に来ない。妻もな」
完全に2人きり、と言う訳か。その方が下手な気を使わなくて済む。
「で、やはり愛人は100人程いるのか?」
そう言うと、カルロスは微笑んだままクレイズの服を乱した。黒いコートが床に落とされ、セーターを胸の上まで上げられる。
「数えた事はないが、そのぐらいはいるんじゃないか?」
「そんなにいたら、名前と顔が一致しないんじゃないのか?」
服を脱がされ肌に触れられる。最初に感じた悪寒は既になく、体が熱く反応した。
「さぁな、会った事もない奴もいる。まぁ、妻は愛人達とは仲がいいらしい」
そう言うと、もう黙れ、と言わんばかりにカルロスは再び唇を重ねた。クレイズはそれを受け入れると、言葉を飲み込んだ。
妻を、愛しているのか?そう尋ねてみたかったが、次の機会にしようと思った。
「相変わらず綺麗だな、クレイズ」
そんな褒め言葉も、胡散臭く聞こえる。以前嘘はついていないと言っていたが、クレイズはまだ疑っていた。
「その台詞、何人の愛人に言ってやったんだ?」
またカルロスは笑った。どうもはぐらかすのがうまいらしい。クレイズは、それ以上カルロスに質問するのは止めた。
「お前はいい女だ」
そう言ってカルロスは、丁寧に愛撫を施して行く。指先の動きや吐息が、クレイズをその気にさせて行った。
「はっ……ぅ……」
カルロスが言ったように、自分はすっかり女だ。認めたくない事実だが、認めざるをえない。カルロスに抱かれ、喜ぶ自分はもう女だ。
クレイズは、そっとため息を漏らした。
「ここだ」
そう言ってカルロスは車から降りると、まだ後部座席に座っているクレイズへと、手を差し出した。その手を取り車から降りると、カルロスはそのままクレイズを家の中へ連れて入った。
玄関を潜り、廊下を歩くとリビングになっている。ブレイブシティでは流行っている建て方なのだろう。途中いくつか扉があり、部屋があるようだった。
「妻の姿が見えないが、1人で暮らしているのか?」
そうクレイズが尋ねると、カルロスは小さく微笑んだ。
「ここは別宅みたいなものだ。妻は自宅の方にいる」
いくつか家があるのだなと思いながら、クレイズは取り敢えず黒い革張りのソファに腰を下ろした。その隣にカルロスが座ると、肩を抱いてくる。
「ゲイナーに会うな、とは言わんが、これからは自分の行動で誰がどうなるか、よく考えてから行動するんだな」
それはまるで、脅迫のような言葉だった。この家から出るな、と言っているようなものだった。クレイズはカルロスに頷いて見せると、病院で怪我をさせられたゲイナーの姿を思い返した。
カルロスは、やる、と言えばやる男だ。従わないまでも、逆らえばゲイナーは更に傷つく事になる。
「この家に住め、と、言っているのか?」
そう言うと、カルロスは返事の代わりに唇を重ねて来た。
深い、舌を絡ませる口づけに目を閉じ、クレイズはされるがままになっていた。暫く、ここにいるのもいい。そうすれば、カルロスの行動も監視出来る。そう言い聞かせ、クレイズはカルロスに腕を絡ませた。
「愛人は勿論いるんだろ?その愛人はここへは来るのか?」
唇が放れると、クレイズは尋ねてみた。するとカルロスは、クレイズをソファへ押し倒すと優しく微笑んだ。
「ここへは滅多に来ない。妻もな」
完全に2人きり、と言う訳か。その方が下手な気を使わなくて済む。
「で、やはり愛人は100人程いるのか?」
そう言うと、カルロスは微笑んだままクレイズの服を乱した。黒いコートが床に落とされ、セーターを胸の上まで上げられる。
「数えた事はないが、そのぐらいはいるんじゃないか?」
「そんなにいたら、名前と顔が一致しないんじゃないのか?」
服を脱がされ肌に触れられる。最初に感じた悪寒は既になく、体が熱く反応した。
「さぁな、会った事もない奴もいる。まぁ、妻は愛人達とは仲がいいらしい」
そう言うと、もう黙れ、と言わんばかりにカルロスは再び唇を重ねた。クレイズはそれを受け入れると、言葉を飲み込んだ。
妻を、愛しているのか?そう尋ねてみたかったが、次の機会にしようと思った。
「相変わらず綺麗だな、クレイズ」
そんな褒め言葉も、胡散臭く聞こえる。以前嘘はついていないと言っていたが、クレイズはまだ疑っていた。
「その台詞、何人の愛人に言ってやったんだ?」
またカルロスは笑った。どうもはぐらかすのがうまいらしい。クレイズは、それ以上カルロスに質問するのは止めた。
「お前はいい女だ」
そう言ってカルロスは、丁寧に愛撫を施して行く。指先の動きや吐息が、クレイズをその気にさせて行った。
「はっ……ぅ……」
カルロスが言ったように、自分はすっかり女だ。認めたくない事実だが、認めざるをえない。カルロスに抱かれ、喜ぶ自分はもう女だ。
クレイズは、そっとため息を漏らした。
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