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酒井護は、警察に自身も悪魔喚起をしたとは言わなかった。だがそんな事も、もう青年の自尊心を傷付けはしなかった。
──目には目を、歯には歯を……
そう護は考えていた。それを教えたのも、かつて敬っていたキリストだ。
あの魔方陣が悪魔を喚起するものである事は、それらの書物を読んだ事があったので一目で分かった。
だが、間違っていた。
これを描いた者──多分父を殺害した犯人──は、悪魔喚起に成功しなかったのだ。それよりも何故、悪魔を喚起しようとしたのか。
考えたが分からず、それならこちらがそれを利用しようと思った。
父の遺体を発見し、ひとしきり嘆き神を罵ると、護はまず司祭しか入ってはいけないと言われていた部屋へ向かった。鍵がかかっていたが、それは父の部屋から拝借した。
中へは1度入った事がある。父が片付けをしていて、来客のあった時だった。開け放たれた扉は、まるで護を呼んでいるように思えた。中に入ると、吸い寄せられるように書棚を見た。そこに悪魔喚起の方法が記された、埃まみれの本があった。
護は駄目だと分かっていても好奇心に抗えず、夢中でそれを読んだ。見つかった時は酷く叱られ、2度とこの部屋に入らない事と、その本を読まない事を何度も誓わされた。
だが、何故そのような本があったのか?尋ねると、父は前司祭から受け継いだものだと答えてくれた。
だがもう、それを咎める者はいない。それに今の護は、それを必要としていた。
探していた本はすぐに見つかり、護はそれを持って自室に戻った。そしてベッドを動かして、そこに記されている魔方陣を描き、悪魔喚起に必要な物を揃えた。手際よく、かつ正確な遣り方のお陰で無事悪魔を喚起する事が出来ると──ベッドの位置を戻し──朝を待って通報した。
──目には目を、歯には歯を……
そう護は考えていた。それを教えたのも、かつて敬っていたキリストだ。
あの魔方陣が悪魔を喚起するものである事は、それらの書物を読んだ事があったので一目で分かった。
だが、間違っていた。
これを描いた者──多分父を殺害した犯人──は、悪魔喚起に成功しなかったのだ。それよりも何故、悪魔を喚起しようとしたのか。
考えたが分からず、それならこちらがそれを利用しようと思った。
父の遺体を発見し、ひとしきり嘆き神を罵ると、護はまず司祭しか入ってはいけないと言われていた部屋へ向かった。鍵がかかっていたが、それは父の部屋から拝借した。
中へは1度入った事がある。父が片付けをしていて、来客のあった時だった。開け放たれた扉は、まるで護を呼んでいるように思えた。中に入ると、吸い寄せられるように書棚を見た。そこに悪魔喚起の方法が記された、埃まみれの本があった。
護は駄目だと分かっていても好奇心に抗えず、夢中でそれを読んだ。見つかった時は酷く叱られ、2度とこの部屋に入らない事と、その本を読まない事を何度も誓わされた。
だが、何故そのような本があったのか?尋ねると、父は前司祭から受け継いだものだと答えてくれた。
だがもう、それを咎める者はいない。それに今の護は、それを必要としていた。
探していた本はすぐに見つかり、護はそれを持って自室に戻った。そしてベッドを動かして、そこに記されている魔方陣を描き、悪魔喚起に必要な物を揃えた。手際よく、かつ正確な遣り方のお陰で無事悪魔を喚起する事が出来ると──ベッドの位置を戻し──朝を待って通報した。
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