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6.罪
2.
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2時間程、石壁を見つめて暇を潰していると、重々しく開いた扉の音が、地下牢中に響いた。すると、壁にもたれていた見張りの男は、威勢よく右手をこめかみにかざした。
「パニーニ司教様!」
壁に据え付けてある燭台の上で炎が踊る。パニーニ司教と呼ばれた人間が、闇の中から姿を現した。
痩せこけて、骨に皮が貼り付いているかのような、年老いた男だ。真っ黒い布を纏い、その裾を僅かに引きずりながら、見張りの男の側までやって来た。
「彼等がそうなのかね」
低く、洞窟の奥から響くような声で、パニーニは言った。落ち窪んだ眼窩から、緑色の瞳が俺達を見ている。
「今朝、ニュリーの集落の奴等が、連れて参りました」
「姦通罪だと聞いておるが…彼等に確認したかね」
「いえ、まだです。パニーニ司教様が来られてから、と思いまして……」
「そうか。では、早速1人ずつ問いただしてみよう。例の部屋へ奥の男から連れてきたまえ」
そう言い、パニーニはまた闇の中に溶けて行った。それを見送った見張りは、自身が強くなったかのように、胸を張って鼻息を漏らした。
奥の男、と言うのは、どうやらあの見知らぬ男の事らしい。見張りは、小太りの男を連れて、パニーニが消えた方へと消えて行った。
この機会に、あの夫婦を連れてこよう。
俺はカラスを呼んだ。カァカァと呼び掛けてやると、カラスが2羽、高窓にとまった。
確か見張りの男は、あの集落をニュリーと言っていたな。
「悪いが、ニュリーの集落に行って、カルレオ夫婦をここへ連れてきて欲しい」
カァカァと、頼む。するとカラスは、カァカァと答えた。
「報酬はなんだ?くれなきゃやらないぞ」
「この体の肉をやる」
「分かった。連れてきてやる」
2羽のカラスは、再びカァカァと言ってから、飛び立った。後は待つだけだが、果たしてジムが眠る時間はあるだろうか。
いや、ある筈だ。ジムが死ぬのは、明日なのだから。
「パニーニ司教様!」
壁に据え付けてある燭台の上で炎が踊る。パニーニ司教と呼ばれた人間が、闇の中から姿を現した。
痩せこけて、骨に皮が貼り付いているかのような、年老いた男だ。真っ黒い布を纏い、その裾を僅かに引きずりながら、見張りの男の側までやって来た。
「彼等がそうなのかね」
低く、洞窟の奥から響くような声で、パニーニは言った。落ち窪んだ眼窩から、緑色の瞳が俺達を見ている。
「今朝、ニュリーの集落の奴等が、連れて参りました」
「姦通罪だと聞いておるが…彼等に確認したかね」
「いえ、まだです。パニーニ司教様が来られてから、と思いまして……」
「そうか。では、早速1人ずつ問いただしてみよう。例の部屋へ奥の男から連れてきたまえ」
そう言い、パニーニはまた闇の中に溶けて行った。それを見送った見張りは、自身が強くなったかのように、胸を張って鼻息を漏らした。
奥の男、と言うのは、どうやらあの見知らぬ男の事らしい。見張りは、小太りの男を連れて、パニーニが消えた方へと消えて行った。
この機会に、あの夫婦を連れてこよう。
俺はカラスを呼んだ。カァカァと呼び掛けてやると、カラスが2羽、高窓にとまった。
確か見張りの男は、あの集落をニュリーと言っていたな。
「悪いが、ニュリーの集落に行って、カルレオ夫婦をここへ連れてきて欲しい」
カァカァと、頼む。するとカラスは、カァカァと答えた。
「報酬はなんだ?くれなきゃやらないぞ」
「この体の肉をやる」
「分かった。連れてきてやる」
2羽のカラスは、再びカァカァと言ってから、飛び立った。後は待つだけだが、果たしてジムが眠る時間はあるだろうか。
いや、ある筈だ。ジムが死ぬのは、明日なのだから。
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