矢追くんの高校聖活

Seabolt

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パニックは続く…

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「おい!!君!!大丈夫か?」


遠くから僕を呼んでいる声、その声に聞き覚えがあった。そう午前中に逢った月夜さんの声だ。僕はどうしたんだろう?記憶をたどる。寮に入って…部屋に案内されて…そして、あの幽霊が脳裏によぎった。

「うぁあああ!!」

ガバリと起き上がる。さっきの恐怖があったせいか思わず目の前にいた人を抱きしめてしまった。

「や…矢追君?」

その声はやはり月夜さんだ。夢を見ているのだろうか?彼女を抱きしめている。恐怖体験とはこんな幻覚までみせるのだろうか、彼女の甘い香りが僕の心に安らぎを与えてくれる。

「ごめん…しばらく、このままにさせてくれ…」

すると彼女は僕を抱きしめてくれた

「うん…なんだかわからにけど…いいよ」

そのやさしさに甘えてしまった。逆の彼女がいてくれて安心してしまったのかもしれない。どれくらいの時間が経ったろうか?ほんの数分の間のこと、すると流石に彼女も

「そろそろ…いい?」

「月夜さん…もうちょっとこのままにさせて」

抵抗しない彼女に思いっきり甘えていると部屋のドアが開いた。

ガチャリ!

「ごめん!!」

僕たちの光景を見て、入ってきた人は驚き慌てて外へ出てドアを閉めた。すると、深呼吸をして再び部屋に入ってきた。

「お前たち何をしているんだ!!」

その声の主は寮長だった!!その言葉を聞いて慌てて彼女から離れた僕、これって幻覚じゃなかったのか思わず頬をつねる。

「イテテ・・」

夢じゃない。ということはなんでここに月夜さんがいるんだ?そういう疑問で頭がいっぱいになる一方寮長は俺の耳を引っ張った

「イテテ…」

「何をしていたんだ?まさか、いきなり月夜を襲っていたんじゃないんだろうな?」

そんなことを言って首を絞めてきた。

「そんなつもりありません!!」

「だったら!!なんで抱き合っていたんだ!!」

そんな僕らと違って月夜さんは冷静だった。

「寮長。矢追君は多分ホームシックになったようだったので抱きしめていました」

「ホームシック?矢追が?まだ1日も経っていないぞ」

「でも…ちょっと鬱気味になっていたもので」

寮長は僕の方をじっと睨んだ。そして、納得したかのように

「そうか。矢追。大丈夫か」

「大丈夫です。心配かけてすみません」

すると寮長が僕たちを見てとんでもないことを言った。

「ショートカットとセミロングのお前たちを見ているとここは女子寮かと思うほどだ」

そして、僕はあることに気付いた目の前にいる月夜さん…女の子では?

「あ…月夜さんって…」

すると寮長が

「そうだ!!矢追!!月夜は、性同一障害だそうだ」

「へ?」

「矢追には悪いが彼女の心は男なんだ!!」

まじまじと僕の方を見て説得かかっている寮長は僕の両肩をがっしりと抑えた

「そして、この寮の決まりで1年生は、2人部屋なんだ」

「ですけど…」

「この通りだ。実は、他に部屋がないんだ」

「けど…」

「この通りだ」

「そう言われても、彼女は女の子なんでしょう?」

すると今度は、月夜さんが怒った。

「僕は男だ。だから、この寮に入ったし、別にみんなと一緒にお風呂に入ってもいいと思っている!!」

「え?そこまでは。。。」

そこへ寮長が

「実は、これは学校で決まったことなんだ。だから、協力してくれないか」

寮長が僕の両肩にかける圧力が半端なかった。

「これを断ったら…」

「君の入寮自体がなかったことになる」

「うそ…」

「これは学校のトップシークレットなんだ」

「うそ…」

「だから、この通りだ‥‥頼む」

こうして寮長に押し切られたのだが、その横で夜空さんは

「僕!!矢追君のこと気に入ったからいいよ」

なんて軽いことを言っているが、不安でいっぱいだ

「よく見ると矢追君も女の子みたいな感じだし、逆に僕が襲っちゃうかも…」

そんな冗談みたいなことを平気で言ってきている

「あ…そうだ。お風呂の件だけど、とりあえず、最初の1週間はお前ら二人は別時間になっているからな」

そして、寮長は僕らの部屋を出て行ったのだった。こうして僕の横には女の子の月夜さんがいる。そして、彼女は再び自己紹介をしてきた。

「僕の名前は月夜若葉。若葉って呼んでほしいだけど」

「わかった。僕の名前は矢追純、純って呼んでくれ」

こうして握手を交わしたのだが彼女と始まる不安な寮生活

「じゃあ…純、とりあえず、これをどうぞ!!」

ばさりと目の前に出してきたのはカツラとお面、それを見て驚いた!!

「うぁああ!!」

「ははは・・・さっきはごめんね。ちょっと脅かそうと思って」

僕としては

ははは…

と笑うしかなかった。

どうしよう…この先やっていけるのだろうか

不安なことしか思い浮かばない。

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