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第1章 立身篇
第22話 村人 報酬をもらう
しおりを挟む俺の前で睨み合っている4人を何とかしないといけない。
そう思っているとお竜を見た3人は、その魔力の強大さに驚いた。
「なんだ?この魔力は?」
「いったい何者?」
するとお竜は3人に正体を明かした
「私は、龍族の娘です。先程も申しました通り、父の遺言でこの村人様と行動を共にすることになりました」
3人は既に分かっていた。彼女と戦うことは死を意味することであった。それを知ってかお竜は、ニコリとほほ笑んだ。
「あなた方も村人様がお好きなのでしょう?そうでしたら、いいじゃないですか。父を倒すくらいの能力を持たれている村人様を私もお慕いしておりますので、お互い仲良く致しましょう」
そして、俺の方を見て
「まだ一人いらっしゃるようですね?」
「村に一人俺の身の回りの世話をしてくれる女性が」
「ま…そのくらいいないと逆に困りますわ」
俺は知らなかった。この世界は一夫多妻が当たり前だった。けど、ラークちゃんは男だっけ…それはさておき、領都のサンカルロスへ戻った俺は、サンカルロスにあるギルドに集められたのだった。そこにはサマンサちゃんとオードリさんが今回の討伐によるギルドポイントの査定と報酬の処理に当たっていた。
「スタンバイ村はこちらです」
するとラークちゃんが
「あっ!!わたし、あっちのギルドだった」
そう言って、別のギルドへ向かって走っていった。
並ぶこと1時間、ようやく目の前にサマンサちゃんが出てきた。するとハウエルは既に終わっていたようで、俺を見つけるなりバンと肩を叩いて話しかけてきた。
「よう!!村人!!俺様はAランクへあがったぜ!!しかも、金貨200だぜ!!どうだ!!サマンサちゃん…今晩どう?」
すると業務用の言葉で
「すみません。今晩は用事がありますので…」
「チェッ…」
そう言い残し、ハウエルはその場を去って行ったのだった。そんな光景を見ながらようやく俺の番が来た。
「今回の件での追加されたギルドポイントは基礎ポイントの100ポイントのみですのでこれを加算すると1100ギルドポイントです。よって、ランクはDランクのままです」
実はDランクでのギルドポイントの初期値は1000ギルドポイントそこから今回のお仕事内容によってギルドが評価したポイントを俺のギルドカードに追加されるのだが、あれだけことをやったのに結局、今回の討伐による基礎ポイントのみとは殺生なことになったことを俺はサマンサちゃんに訴えかけた。
「は?…あの…盗賊に襲われた件は?」
サマンサちゃんの冷たい視線が俺をかすめた。
「あ…あれは、アホヤネンとパーヤネンの手柄になっています。あの時村人さんは、確か、山で遭難していただけでしたよね」
「そんな…」
確かにそうだった。あの時、俺はセントポール山で役仙人の元で修業していたのだが、そのことは誰にも話すなと言われていたので話すことすらできないこの悔しさ、しかも、この様子だと俺が倒したと言っても聞いてくれそうにない。
「あの~ひょっとして、地下迷宮の件は?」
すると、サマンサちゃんが手を止めた
「あっ…地下迷宮の件ですか?あそこで一体何があったのですか?」
「へ?」
「私たちは、目を覚ますと地上にいて、地下へ行くと既に龍は老衰で死んでいたのですよね」
「はい…」
「ということは、誰も鑑定できなかったので何もポイントが付きません」
あの時、俺はみんなに気絶をかけて、気絶させて、役仙人から頂いた不思議な鉢で地上まで運んだ後、俺がドラゴンと壮絶な戦いをして勝利したことは誰にも言っていない。ドラゴンからの遺言でもあり、お竜への配慮もある。でも、まだ俺にはポイントが付くと思われるお仕事やった記憶があった。
「え?じゃぁ…最初に盗賊に襲われた時は?」
このことを聞いた時にはサマンサちゃんも呆れた表情になっていた。
「あ…あれですか、あれは、亡くなりましたがレネゲートさんの手柄になっております」
「じゃ…おれは…」
「あの時も報告ではあなたは、ただ、立ち尽くしていたことになっております。よって、Dランクのままです。あっ、それと、報奨金は金貨100枚となっています」
報奨金だけが唯一の救いだった。実は、ギルドへの報告は、その時、ギルドポイントが一番高かった者の報告が優先されるシステムだ。だから、Dランクになりたてで戦力外の俺が作った報告書の信用度は全くゼロと言っていい。そんなことにショゲショゲしていると、ラークちゃんがやって来た。彼女はCランクへランクアップしたそうだ。
何を言ってもどうしようもないので、俺達は、スタンバイ村の俺の家に戻ることになった。女の子たちを連れて帰ったのを見てミデァは驚いたのは言うまでもなく
「なんでもしますから…」
俺は今まで世話をしてくれているミデァの肩を叩いた。
「今まで通り身の回りをしてください」
「ありがとうございます」
するとみんなも
「ミデァさん。私たちが押しかけてきた身です。こちらこそ、これからよろしくお願いします」
素直な反応をしていたのだった。
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