目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt

文字の大きさ
23 / 267
第1章 立身篇

第23話 村人 家を探す

しおりを挟む
家に戻って気付いた。

せ…狭い。

これまで一人暮らしだった。やがて、ミデァ親子と3人暮らしまではこの家で何とかなったが、ラークちゃん、アリスちゃん、シャンリンちゃん、お竜ちゃんの4人増えて7人暮らしとなった今は、いくら何でも、スタンバイ村のこの家では狭すぎる。

ということで不動産屋さんへ行くことになった。すると不動産屋の親父は俺を見るなり目を丸くしている。

「村人?君が家を買うって?」

「はい」

俺の言葉を聞くまでもなく机に向かって仕事を再開し始めた。そして、

「君の家は、あの家で十分だ」

冷たい一言をはいて、ささ!!早く帰ってと追い返されてしまった。
所詮雑魚キャラ…なんだけど、お前も同じ雑魚キャラじゃないかと言えるわけもなく見つめている俺に気付いて

「まだいたの?忙しいから早く帰ってくれ」

彼には、雑魚キャラとしての人生を日々精一杯過ごしていて、全く相手にされなかったので、しかたなくギルドを頼ることにした。

するとオードリが対応してくれた。

「そうでしたか・・・村人さんがね~・・・人が増えたのですか・・家ですか・・・そうですね・・・」

そこへハウエルもやってきた。お目当ては、やはりサマンサちゃんらしい

「よ!!村人、よく生きて帰れたな~!!ところで今日は何の用だ?」

「ちょっと、別件で」

「そうか、オードリが相手か‥じゃ…俺は」

意気揚々と受付に向かって行ったのだった。そんな光景を見ているとオードリがスタンバイ村の地図と間取り図を持ってきた。

「ここはどうですか?」

場所はスタンバイ村でもお金持ちのお屋敷がある場所の近くになっている。

「ここは?」

俺の質問にオードリはにっこりとほほ笑んで、間取り図を広げる。

「ここでしたら8LDKですよ。どうですか?」

家というより屋敷と言った方がいいかもしれない。

「大きな家だな…こんな家はとても買えないよ」

するとオードリは微笑んで

「村人さんには特別価格です。金貨10枚でいいですよ。どうです?格安でしょ?」

金貨10枚なんてどう考えてもおかしい。

「安!!安すぎるでしょ・・」

オードリは金貨10枚でいいですと言い放っている。いいお屋敷で格安物件ということは、俺の頭の中に浮かんだ言葉は一つしかなかった。

「まさか…事故物件?」

「ご明察の通り、ここはあのアンガールズ一家の持ち家でした。実は、この間、アンガールズ一家は処刑され持ち主がいなくなったのでギルド扱いになったのです。どうですか?格安ですし、あのアンガールズ一家が使用していたのですから丈夫な家ですよ」

オードリがやけに進めてくる。

「で?家の中に変なものはないだろうな?」

「それは、すべで騎士が捜索して怪しいものや危ないものはすべて回収してありますし、家の中も清掃済みですからお買い得ですよ」

「相談してみます」

俺はみんなの了解を得て、アンガールズ一家の家を見学に行った。

そこは、思ったよりもいい物件だ・・・掃除も行き届いており、特に部屋が8部屋もあり、LDKもしっかりしている。風呂なんかも思ってより大きさだ。そして、何よりもみんながこの家を気に入ったことだった。

見学会が終わった後、オードリは、俺にファイナルアンサーを聞いてきた。

「村人さん。この家を買いますか?買いませんか?」

「買いまーーーーーーーーーーーーーす!!」

俺の一言にみんなが喜んだのは言うまでもなかった。もちろん、現金払いで購入したのは言うまでもなかった。
そして、みんなで大掃除をして、引っ越しを済ませて、初めての夕食、ミデァが自慢の料理作ってくれたといっても、調味料は塩とちょっと辛い味噌のようなものだけだけど、それでもみんなワイワイガヤガヤと楽しく食卓を囲んだのだった。その後は、ご想像にお任せします。

数日後、お仕事探しにギルドへ行くとサマンサちゃんが俺の所にやってきた。

「村人さん、ちょっといいですか?」

「はい?」

「サンカルロスより北東に古代神殿が出現したのですが」

嫌な予感しかしない。また、神殿調査が始まる。この間はドラゴンが出て大騒ぎになったばかりなのに、そう言えば、ドラゴンの言葉を思い出し。考え事をしているとそれを遮るように話をしてきた。

「カルロス伯爵は調査せよと言われています。ギルドとしてもメンバーを集めているのですが」

やっぱり始まった。こんなのに付き合うといくら命があってもきりがない。

「私はDランクですので、荷物運びしか出来ませんが」

「そのことは十分に分かっております」

「でしたら…前回と同様に募集をされたら如何ですが?」

サマンサちゃんはため息をついた。

「それがこの度は、そうはいきません」

「何故です?」

「前回の遠征で費用が嵩んでおります。しかも、今回はアントニアの息子が参戦するそうです」

「じゃぁ。俺達関係ないよね」

「まって!!」

するとサマンサちゃんは俺の手を掴んだ。それは、彼女とミネルバ様との関係にあるようだ。

「一応異母兄弟だから、死んでほしくないの。何とかできない?村人」

「そういわれても、俺は、所詮雑魚キャラだぜ・・・」

「確かにそうなんだけど」

「あの時も偶然、ドラゴンが自己崩壊しただけですよ」

「わかっている」

そうはいっても、目は疑っている。

「では?ドラゴンの娘を何故連れて歩く?」

「あれは、ドラゴンが死ぬ前に、俺に託しただけだ」

「そんな」


サマンサちゃんは肩を落として、部屋へ戻っていったのだった。役仙人の言葉なら、南西の龍が負けることがあれば、守護神がいなくなり。魔王が復活すると聞いた。俺自身の目的は魔王を倒すことになろうと考えている矢先に、見たこともない連中がギルド内に入って来た。

「はい!!皆さん!!僕たちが来たから大丈夫」

彼は勇者リンとその仲間達だった。剣の使い手ギザエフと魔法マリーンとスターシャの4人があらわれたのだった。

そして、俺を見つけるなり

「君、僕たちの荷物運びしない?」

なんてやつなんだ・・・



しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~

みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。 何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。 第一部(領地でスローライフ) 5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。 お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。 しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。 貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。 第二部(学園無双) 貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。 貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。 だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。 そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。 ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・ 学園無双の痛快コメディ カクヨムで240万PV頂いています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...