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第1章 立身篇
第42話 村人 神殿入口に到着する
しおりを挟む翌日…
この日は精霊の森を抜けることが出来る日だ。しかし、勇者はそんなことは全く知るはずもなく、俺達をベースキャンプに置いて出発、しばらくして、勇者から連絡が入って来た。
「森を抜けることが出来た!!直ぐにこちらへ来るように」
俺達が精霊の森を進んでいくと突如として森が切れて、黒い濁流が渦巻く川が目の前に現れた。それにしても黒い川とは、しかも、ひどい匂いがする。この匂いは、硫黄の臭いのようなガソリンの臭いのようなひどい匂いだと気分が悪くなってきた。すると周りのみんなも同様だった。
しかし、勇者リンだけは違った。何も感じていないのかと思うくらい反応していない。そして、俺に向かって
「村人、貴様、確か空飛べたよな?」
「へ?」
「俺たちを連れて行け?」
迷わず命令してきたのだ。俺としてはムカツク一言だ。かと言って、無碍に断ると厄介な話だ。だから、俺は敢えて、一人でしか飛べないことを伝えた。
「一人では飛べますけど、人を運ぶことはできません」
「やはり村人だな、期待して損した」
肩を落とすこともなく、どちらかというと俺の見下している感じだ。本当に嫌な奴だ。相変らず命令口調で俺に話だした。
「とりあえず、川を渡るから船でも調達してこい!!」
腹が立つ・・・俺がじっとしていると
「何ぼーっとしてるんだ!!早くしろ!!」
たく・・腹が立つ・・・俺は川の水を勇者の口へ転送した。
「早くしろってんだ・・・うぐ・・・おえ・・なんだ・・」
口から黒い水を吐き出した勇者は、そのまずさにしばらくせき込んでいた。
ゲホゲホゲホ・・・
「うぐ・・なんでだ・・おえ・・」
すると俺に気付いたのか
「何見ている。早く行け!!」
「はいはい・・」
こうして俺は、船を探すことにって、この辺りに船があるはずもない。メイヴに聞くがこの辺りに人はいないらしい。すると一緒に探していたラークが俺の所へ走ってきた。
「勇者様!!あそこに船らしきものが」
そこへ行くと確かに船らしきものがあった。しかし、かなり古い物らしくどう見てもやばそうだ。
「大丈夫か?これ?」
「たぶん・・」
すると勇者たちが俺たちに駆け寄ってきた
「船が見つかったんだって?」
俺達のそばまで来てようやく船に気付いたようだった
「おお・・・こんなところに」
全長は10mくらいある船、しかし、どう見ても古すぎる。こんな船では絶対に渡れないと思うほどあちこちに穴が見受けられる。すると、スターシャがやって来て
「リサイクルクルリサイクル」
そう言って踊り始めた。
「リサイクルクルリサイクル」
「リサイクルクルリサイクル」
「リサイクル!!」
するとスターシャから放たれた光が船を包ん見込んだ。しばらく輝いた後、船はきれいになっていたのだった。そして、勇者とザギエフと俺は、船を引っ張ることに
「よいしょ!!よいしょ!!」
こうして川岸まで持って行って、あることに俺は気付いた。オールがない。しかし、勇者たちは何も気づかないまま、船を浮かべて乗り込んでいる。
「村人何をしている。早く乗り込め!!」
するとシャンリーは
「わたしパス」
残りのみんなもパスといった。しかし、勇者は許してくれないがみんなには拒否権があった。彼女たちは俺の連れであって、勇者のポーターとしての仕事を受けていたわけではなかったのだった。
「何をしている。早く乗れ・・」
仕方なく俺一人だけ乗り込むといきなり船をつないでいたロープを外した。濁流渦巻く川にオールのない船が乗り出したとら当然、川の流れのままに流されていく、ようやくそのことに気付いた勇者が
「ところでオールはどこだ?」
「え?」
「うそ?」
「ないぞ!!」
「どうするんだ!!」
パニックなっている勇者達、すると俺に向かって
「村人!!貴様なんで用意してないんだ!!」
「えー!!俺?」
「貴様が悪い!!ここで叩ききってくれる!!」
いきなり剣を抜きだした。すると
ドゴン!!
岩にぶつかった船が大きう揺れた。
「うわ!!」
よろめく勇者、さっきよりも船が早くなってきているような気がする。するとマーリンが
「リン!!あれ!!あれ!!」
そう叫んで船の行く手を指さした。すると川の向こうが見えない。しかも、辺りからゴーっという滝の様が轟音が聞こえている。よく見ると水しぶきが上がっている。どう見てもこの先は滝だ。
「どうする?」
「どうするって・・」
オールもない状態で何もすることはできない。そんな船の上でどうしたらいいんだと騒いでいる勇者達に俺は呆れるしかない。そして、その時が来た。
ごー!!
一瞬、重力が無くなるのを感じた。そして、自由落下が始まる。
「わー!!」
「きゃー!!」
ごー!!
滝の轟音の前にみんなの悲鳴がかき消されていった。
ざっぱーん!!
黒い水の中に投げ込まれるみんなを俺は空中に浮いて見届けたのだった。そして、滝のそばで待っているとどろどろに汚れた勇者たちが川岸に上がってきた。そして、無傷の俺を見て
「貴様!!どうやって!!」
「運よく・・あそこの枝に引っかかったんだ」
滝の近くの枝を指さした。すると
「そうか・・・」
何故かスルーパスという勇者だった。
この後何とか川を渡ることが出来た俺達は、魔獣やモンスター、蟲を倒しつつ、神殿の入り口までくることが出来た。するといきなり赤色と青色の巨大スライムが現れた
「ここは通さん!!」
こうして勇者とスライムとの闘いが始まった。
「うぁぁああ」
大欠伸をしている俺、戦闘には参加していない。しかし、長い戦いだ。何せ相手のHPが1しか下がらない・・だらだらした戦い。このスライムの防御力は半端ない、魔法の攻撃も聞かないようだ。兎に角、長い戦いだ。既に2時間は経過している思う。本当に長いぞ。俺が一撃でも援護しようかと思っているとメイヴがやって来て
「ほっときましょ」
だって・・・こうして俺は、くそ長く退屈な時間を過ごしていたのだった。
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