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決勝戦 3
しおりを挟む初回、ベアーズの攻撃
ワンアウト満塁、バッターは6番松尾。夏の大会の時は5番バッターの彼、当然、ベアーズの主力選手の一人であることは間違いない。ここは追加点がほしいところだが、この状況でスクイズはまずなだろう。ここは勝負に違いない。するとキャッチャーの柳が叫んだ。
「ワンナウト!!ワンナウト!!しまって行こ―!!!」
おおーー!!
こうしてプレイが再開された。
初球
キン!!
平凡な打球は俺のところに転がってきた。そして、セカンドからファーストにわたって6-4-3のダブルプレーが成立したのだった。こうして1回表は1点に抑えることができたのだった。
1回裏の69nersの攻撃、しかし、相手ピッチャーを見て驚いた。マウンドには、小山君がいない。小山君は、何故かライトに入っていた。そして、ピッチャーはというと水原が立っていたのだった。
「どういうことだ?」
「さぁ?」
サウスポーの彼の投球練習を見ている限り、大したことはなさそうだ。
「あれだったら楽勝だな」
そんな言葉を放つ矢部っちに対してコーチは
「そうね。あの球速だと楽勝よね」
そこは用心しろってところだろうと突っ込みたかったんだけど、そんな俺を見たコーチは
「佐藤!!何か言いたそうだな」
「コーチ!!ここは」
キン!!
すると1番の鈴鹿が鮮やかなヒットを打って、反撃ののろしを上げたのだった。
「よし!!いいぞ!!」
続く2番、五十嵐もレフト前ヒット。こんなに簡単に打てることに違和感を持った俺、
「佐藤!!次はお前だ!!」
そう!!今回は決勝と言こともあって、ピッチャーの矢部っちは6番に下がっていて俺が3番に入っていたのだった。
「モタモタするな!!早く行け!!」
「へーい」
バッタボックスに立った俺、違和感だらけだが、ここは集中、集中…初球は、スピードを測る意味もあって、見逃すことにした。
スパーン!!
「ストライク!!」
何の変哲もないストレートだった。考え過ぎかな?俺は、ストレートにタイミングを合わせて2球目を待つことにした。
2球目、内角をえぐってくるカーブ…しかし、ここは脇を閉めて振りぬいた
キン!!
しかし、その打球は、三塁線を切れしまった。
「ファール!!」
そして、3球目、外角に流れるシュートボール?これならとバットを出すと
え?
そのボールを見た俺は驚いた。ボールが揺れて沈んでいったのだった。
ブーン!!
ストライク!!バッターアウト!!
なんだ?あの球は?俺は、呆然と立ち尽くしていたのだった。
「早くどけよ!!」
4番の絹やんに声を掛けられベンチに戻った俺にコーチが声を掛けてきた
「どうした?佐藤。お前らしくない」
「ボールが揺れて沈んでいったんですよ」
「は?熱でもあるのか?」
俺のおでこをさわっている
「熱はないようだな。とにかく試合に集中よ!!わかった!!」
「はい」
このコーチに説明しても始まらない。すると岡田さんが駆け寄ってきて
「どうしたの?元気ないわね」
「大丈夫」
「しっかりしてね。みんな。あなたのホームランを期待しているから」
「うん」
そうこうしているうちに4番絹やん、5番ガッキーも三振をしていたのだった。
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