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第一章 Diving Shop DEEP BLUE
海人
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海人が交通事故で耳が聞こえなくなったのは高校2年生の夏だった。
自転車で下校中に昼間から酒を飲んでいた若者4人組の車と接触し、転倒した。
一緒にいた同級生からはビックリするくらい血が出てもうだめかと思ったと言われた。
集中治療室を経て奇跡の復活を遂げたが、海人の聴力と声は失われた。周囲の協力で高校は卒業したが、そこまでの道のりは決して楽なものではなかった。ご多分に漏れず海人は荒れに荒れた。
物に当たり、人に当たる。
家族が暗く落ち込んだ時期だった。
そんな海人を父・太平がスタッフとして海に誘った。
海人が高校3年生の春のことだ。
太平は両親(海人たちの祖父母)の反対を押しきってこの地でダイビングショップを開いた。
それこそ洋平や海人が幼稚園や小学生の頃は血を吐く勢いで苦労した。
それでも、献身的なサービスとリーズナブルな価格設定、駅からも徒歩圏内の立地でダイビングの雑誌などではよく取り上げられる人気店に育てた。
海人がはじめて海に潜ったのは中学3年生の時だ。
父親からはかなり厳しく指導された。
そして、この店で生まれ育った最初のプロダイバーが洋平と海人だ。
海人が最初にお客様を連れて海中ツアーに出たのが、なんとかなんとか高校を卒業した春だった。
父は海人に仕事を仕込み、一人で客をとるようになると安心したのか突然病気で倒れた。
父が病気で突然倒れた日でさえ、海人は毎日海に出た。
さすがに父の死は堪えたが、ささくれだった海人の心は海で次第に落ち着きを取り戻した。
海人が30を過ぎて弟の潮音も大学の経営学部を卒業して、店を手伝うことになって3年がたった。
海人のような中途聴覚障がい者は、手話はあまり使用しない。
会話はもっぱら読唇術だ。
補聴器も付けてはいるが水に弱い補聴器は海人にはあまり役立たない。
読唇術と補聴器があるにせよ、耳が聞こえない海人にとっては潮音は大切な耳の代わりとなっている。
洋平は大学に進学し、体育の先生になった。
幼馴染みの女性と結婚し、今は2人の子どもたちのパパだ。
今は平日は学校。週末は店を手伝って船に乗っている。
3人で力を会わせて父の店を守っていると言えばなんだか大層だが、海人にはこの仕事しかないと思っていたし、今の自分に結構満足していた
洋平は基本的に船の運転担当で、海中ガイドは海人や潮音の仕事だ。
海の中では、もともと息の音しか聞こえない。
最近、波に揺られる夢をよく見る。
そこには昔と同じ、自分の吐く息の音がした。
自転車で下校中に昼間から酒を飲んでいた若者4人組の車と接触し、転倒した。
一緒にいた同級生からはビックリするくらい血が出てもうだめかと思ったと言われた。
集中治療室を経て奇跡の復活を遂げたが、海人の聴力と声は失われた。周囲の協力で高校は卒業したが、そこまでの道のりは決して楽なものではなかった。ご多分に漏れず海人は荒れに荒れた。
物に当たり、人に当たる。
家族が暗く落ち込んだ時期だった。
そんな海人を父・太平がスタッフとして海に誘った。
海人が高校3年生の春のことだ。
太平は両親(海人たちの祖父母)の反対を押しきってこの地でダイビングショップを開いた。
それこそ洋平や海人が幼稚園や小学生の頃は血を吐く勢いで苦労した。
それでも、献身的なサービスとリーズナブルな価格設定、駅からも徒歩圏内の立地でダイビングの雑誌などではよく取り上げられる人気店に育てた。
海人がはじめて海に潜ったのは中学3年生の時だ。
父親からはかなり厳しく指導された。
そして、この店で生まれ育った最初のプロダイバーが洋平と海人だ。
海人が最初にお客様を連れて海中ツアーに出たのが、なんとかなんとか高校を卒業した春だった。
父は海人に仕事を仕込み、一人で客をとるようになると安心したのか突然病気で倒れた。
父が病気で突然倒れた日でさえ、海人は毎日海に出た。
さすがに父の死は堪えたが、ささくれだった海人の心は海で次第に落ち着きを取り戻した。
海人が30を過ぎて弟の潮音も大学の経営学部を卒業して、店を手伝うことになって3年がたった。
海人のような中途聴覚障がい者は、手話はあまり使用しない。
会話はもっぱら読唇術だ。
補聴器も付けてはいるが水に弱い補聴器は海人にはあまり役立たない。
読唇術と補聴器があるにせよ、耳が聞こえない海人にとっては潮音は大切な耳の代わりとなっている。
洋平は大学に進学し、体育の先生になった。
幼馴染みの女性と結婚し、今は2人の子どもたちのパパだ。
今は平日は学校。週末は店を手伝って船に乗っている。
3人で力を会わせて父の店を守っていると言えばなんだか大層だが、海人にはこの仕事しかないと思っていたし、今の自分に結構満足していた
洋平は基本的に船の運転担当で、海中ガイドは海人や潮音の仕事だ。
海の中では、もともと息の音しか聞こえない。
最近、波に揺られる夢をよく見る。
そこには昔と同じ、自分の吐く息の音がした。
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