DEEP BLUE OCEAN

鼓太朗

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第一章 Diving Shop DEEP BLUE

グラスアーチ

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船は勢いよく波間を進んでいく。
と言うと絵になるしかっこいいかもしれないが、今日はいつものことながらほとんど波のないフラットな海だ。
DEEP BLUEの前の海は大きめの湾になっているので湾内は一年を通してよっぽどのことがない限り穏やかなものだ。
湾内を「内海うちうみ」、湾の外側を「外洋がいよう」と呼んでいる。
内海にはいかりのついたブイが15箇所。それぞれにポイント名がついている。
船でそのブイまで行って、ブイと船を連結させる。
そしてその錨のついた縄をつたって潜行していく。

今回のポイントは「グラスアーチ」というポイントに決めた。
水深は15mほど。
ダイバーにとっては浅い海に分類される。
アンカーの近くにはポイント名の由来になったアーチがある。
白い岩が、カクテルグラスを逆さにして並べたような形をしている。
上下がこんもりとした円柱形、くびれた岩の真ん中に人が通れるくらいの空間がある。
自然にこんなものができるものかと海人はいつも不思議だが、魚たちにとってはそんなことはどうでもいい話で、今日も赤銅色のキンメモドキやクロホシイシモチの群れが1つの大きな生き物のように群がっている。
そのなかに鮮やかなオレンジ色のキンギョハナダイや、そいつらを補食しようと虎視眈々と狙うハナミノカサゴなど、グラスアーチの周りはさながらラッシュ時の満員電車のようだ。(とは言っても、基本的に車生活の海人は久しく満員電車などとは無縁だが…)
明日香はほぼ直角に潜行すると、アーチへ一直線に突進した。
驚いた小魚たちが明日香に道を空ける。
カーテンを開くように小魚たちが避け、明日香がアーチの向こうに抜けるとまた小魚のカーテンが閉じる。

グラスアーチは内海の中で一番好きなポイントだと明日香が言っていたのをよく覚えていた。
まだ明日香が駆け出しガイドの時にここで修行したのだ。
ここはアーチを中心にうろうろすればまず迷わない。
初心者ガイドには絶好のポイントだ。
そしてもう1つ、明日香も海人もここがお気に入りな理由は…。
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