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第二章 雨上がりの海
亮助
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「海人さんの筋肉すごーい!」
兄の亮助がシャワーを浴びながらそう言ったが、海人はちょうどシャンプーの泡だらけで気付かなかった。
「ホントだぁ!腹筋スゲー!」
弟の幸助が手を伸ばして海人の腹の辺りをさわったので海人はそこで初めて気がついた。
「こらこら、幸助。…すみません。」
父親の義之がたしなめる。
義之は父の代からの常連客で、スポーツメーカーに勤めている。
自身も水泳の選手だったようで、休日は息子たちを連れてかなりアクティブに動いているらしい。
身体はごっついが穏やかで物腰の柔らかいのが印象的だ。
「息子たちもいつまで付き合ってくれるかなぁ」といつも言っている。
海人が何でもないという風に笑顔で首を振ると、亮助も幸助もシャワーそっちのけで海人をベタベタ触りはじめた。
「スッゲー!力こぶ作って下さい!」
海人は特に嫌な気はしないがくすぐったかったので、2人の頭を撫でながら引き離すと、シャワーを持つ手と反対の上腕にグッと力を込めた。
中学生の男の子だからそういうのに憧れる年頃なのだろう。
目を丸くして海人の丸太のような腕を見ていた。
中・高と水泳部だった海人は元々体力には自信があった。
ただ、30歳を過ぎると体型の維持が難しくなる。
朝早くのランニングと、週に何度かはジムにも通っていた。
何年か前まではそんなことをする必要もなかった。
毎日タンクを担いで準備をしたり、何十kgもあるウエイトの入った籠を運んだりと力仕事は多い。
それらが海人のトレーニング代わりだったが、最近はそれでは足りないようだ。
昔の体型を崩したくない海人は、ひっそりと、また無理の無い程度でトレーニングは重ねていた。
「俺も大人になったら海人さんみたいに大きくなれるかな?」
亮助が俯き加減でそう言った。
亮助は同じ年頃の子と比べて小柄だ。
体型もほっそりしていてどちらかと言うと華奢な印象も受ける。
父親の義之はガッチリしていて大柄な感じだが…。
小柄で幼い物言いなので、あまり違和感は感じていなかったが、彼には彼の中でコンプレックスのようなものがあるのかもしれない。
「かわいい」と女の子に言われるのって、これくらいの年頃の男にはちょっとつらいもんな、と海人も思った。(とはいえ中学生の時から170cm近くあった海人にはわからない世界の話だが…)
海人はにっこり笑って頷くと、親指をたてる。
亮助はそれを見てパッと顔を明るくすると、小さな声で「ありがとう。」といってシャワーを再開した。
亮助の「ありがとう。」はシャワーの音にかき消されるほど小さかったが、海人にはちゃんと伝わった。
兄の亮助がシャワーを浴びながらそう言ったが、海人はちょうどシャンプーの泡だらけで気付かなかった。
「ホントだぁ!腹筋スゲー!」
弟の幸助が手を伸ばして海人の腹の辺りをさわったので海人はそこで初めて気がついた。
「こらこら、幸助。…すみません。」
父親の義之がたしなめる。
義之は父の代からの常連客で、スポーツメーカーに勤めている。
自身も水泳の選手だったようで、休日は息子たちを連れてかなりアクティブに動いているらしい。
身体はごっついが穏やかで物腰の柔らかいのが印象的だ。
「息子たちもいつまで付き合ってくれるかなぁ」といつも言っている。
海人が何でもないという風に笑顔で首を振ると、亮助も幸助もシャワーそっちのけで海人をベタベタ触りはじめた。
「スッゲー!力こぶ作って下さい!」
海人は特に嫌な気はしないがくすぐったかったので、2人の頭を撫でながら引き離すと、シャワーを持つ手と反対の上腕にグッと力を込めた。
中学生の男の子だからそういうのに憧れる年頃なのだろう。
目を丸くして海人の丸太のような腕を見ていた。
中・高と水泳部だった海人は元々体力には自信があった。
ただ、30歳を過ぎると体型の維持が難しくなる。
朝早くのランニングと、週に何度かはジムにも通っていた。
何年か前まではそんなことをする必要もなかった。
毎日タンクを担いで準備をしたり、何十kgもあるウエイトの入った籠を運んだりと力仕事は多い。
それらが海人のトレーニング代わりだったが、最近はそれでは足りないようだ。
昔の体型を崩したくない海人は、ひっそりと、また無理の無い程度でトレーニングは重ねていた。
「俺も大人になったら海人さんみたいに大きくなれるかな?」
亮助が俯き加減でそう言った。
亮助は同じ年頃の子と比べて小柄だ。
体型もほっそりしていてどちらかと言うと華奢な印象も受ける。
父親の義之はガッチリしていて大柄な感じだが…。
小柄で幼い物言いなので、あまり違和感は感じていなかったが、彼には彼の中でコンプレックスのようなものがあるのかもしれない。
「かわいい」と女の子に言われるのって、これくらいの年頃の男にはちょっとつらいもんな、と海人も思った。(とはいえ中学生の時から170cm近くあった海人にはわからない世界の話だが…)
海人はにっこり笑って頷くと、親指をたてる。
亮助はそれを見てパッと顔を明るくすると、小さな声で「ありがとう。」といってシャワーを再開した。
亮助の「ありがとう。」はシャワーの音にかき消されるほど小さかったが、海人にはちゃんと伝わった。
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