DEEP BLUE OCEAN

鼓太朗

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第四章 初めての海へ

かき氷

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2本潜ると日が傾き始めていた。
15時過ぎの日光は斜めから刺すようだ。
海人は憲章を誘って近くの海水浴場まで来た。
7月に入ると、海の家がオープンする。
「海の家 渚~なぎさ~」
近所のおばあさんがやっている小さな店だ。
夫を早くに亡くし、女手ひとつで4人の子どもを育てた。
その4人兄弟の末っ子が海人の幼馴染みの由紀ゆきだ。
彼女は抜群に勉強ができたので、高校卒業後は有名国立大学に進学した。
大学を卒業後は看護師として大学病院に就職。
医者と結婚し、寿退社からの離婚。
なんだかドラマのヒロインのように地元に帰ってきて、母親の仕事場である海の家と小さな食堂を手伝いながらパートタイムで地元の診療所に勤務している。
大学病院は仕事もハードで夫だけでなく、子どもともほとんどコミュニケーションをとる暇もなかったと言う。
仕事を辞め、家庭に入り、夫とのすれ違いから喧嘩が絶えなくなった。
そんな中での離婚だった。
これも何だかありがちなドラマのようだ。

ただ、別れてみると逆に落ち着いて物事が考えられるようになり、離婚した後の方が元夫とは良好な関係が築けていると言うから不思議なものだ。
月に1度は夫が休みを取って由紀や息子のひろしに会いに来る。
何だか結婚してたときよりも積極的に休みを取って会いに来るわぁ…と由紀は苦笑していた。

海の家の前では由紀と寛が打ち水をしていた。
寛は水しぶきがあがるたびにキャッキャッと笑った。
由紀は海人たちに気づくと、昔から変わらない人懐っこい笑顔を見せる。
「いらっしゃい。暑いね…」
由紀は蛇口を閉めると口をはっきりと開けて話をした。
寛は水が止まってしまって不満なのだろう、上目遣いに海人たちを見ている。
「ごめんなぁ」
憲章は笑顔で近づくが寛は母親の足にしがみついてこちらを見ているだけだ。
「ごめんなさいね。愛想がなくて」
由紀はニコニコしながら憲章に詫びる。
「かき氷でも食べる?」
由紀は壁にぶら下がったかき氷のメニューを指差す。
「あぁ、じゃあ俺、ブルーハワイ」
海人は無言でレモンを指差した。
「ブルーハワイとレモンね。」
由紀は寛の手を引いて年期の入ったかき氷機の前に立った。
昔ながらの手動のかき氷機。
大きなブロックの氷をセッティングする。
シャリシャリと涼しい音をたてながら(もちろん海人には聞こえないが)フワフワの氷がガラスの器に舞い落ちる。
昔と変わらないかき氷を海人は和んだ気分で見つめた。
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