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第八章 虫と獣の戦争
紅蓮の戦士
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ドカーン!
鉄格子の扉が派手に壊されたのはウェライの咆哮の直後だった。
とてつもない火球が鉄格子の扉を吹き飛ばし、中に黒いか溜まりのような一団がなだれ込んだ。
別動隊で後半からこの洞窟に突入したクラベス、ダン、アンナ、マリア、バランのグループだ。
囮作戦により意識が一ヶ所に集められた虫達をアンナの強力な炎の魔法が襲う。
アンナの容赦のない一撃は、ハイデンの攻撃により両腕を切り裂かれてピクピクとのたうち回るマンティスキングも、ウェライの咆哮で一瞬動きを止めたヴェスパナイトも、レオンとサラの頑張りにより押さえ込まれていたスカラベやスカラベメイジも、すべて灰にしてしまった。
アンナの炎地獄を辛うじて免れた虫たちもバランとダンの体術とマリアの風魔法で一掃された。
のっけのアンナのすさまじい火力に唖然とするレオンたち。
残るは突然の襲撃を素早くかわしたダークスパイダーのみとなった。
敵の意識をレオンたちに向けた囮作戦。
矢は一本とは限らない。
鉄格子が降りてきたときはさすがに少し焦ったが、強力なアンナの魔法にかかればあんなのは障害にもならないらしい。
平然と鉄格子を破壊してなだれ込んできた。
こっちは結構大変だったんだけどね…。
そんな苦笑いをレオンは飲み込み、唯一残った敵、ダークスパイダーに向き直った。
形勢逆転?
一瞬そう思ったレオンだったが、ダークスパイダーは何やら不気味に笑うような(虫が笑うのはなんともおかしな話だが)しぐさを見せると、やはり不気味な声で言った。
「愚かな獣たちよ。これで勝ったつもりか?」
そう言うとダークスパイダーは細かく身体を震わせた。
何をやっているのかわからないので呆気にとられるレオンたち。
そんな異様な行動の意味にいち早く気づいたのはポックだった。
「何か放ってる。通信手段みたい」
ポックは呟いた。
「ご名答。そのチビはなかなか感覚が鋭いようだな」
ダークスパイダーはそう言う。
ポックはチビ呼ばわれされて若干不服そうだが、そこは綺麗に無視している様子で続ける。
「出でよ!虫属最強の戦士よ!」
何だか召喚魔法のようにそう叫んだダークスパイダー。
その時、レオンたちとダークスパイダーの間に巨大な魔方陣が現れた。
「あいつ、魔法まで使うのか?!」
ダンが驚いたように呟く。
「さぁ、獣たちよ、こいつを前にどう戦う?」
魔方陣の中から現れたのは、先程のヴィスパナイトの色違い。
黄色と黒の縞模様のヴェスパナイトの上級種、赤と黒の縞模様が何とも気味の悪いヴェスパブラッディリアが現れた。
ブーンという激しい羽音をたてて舞い降りたヴェスパブラッディリア。
ヴェスパナイトのそれとは比べ物にもならない禍々しく湾曲した槍を構え、複眼は全てレオン達を睨み付けている。
カチカチと口を動かして音をたて、一分の隙も無いかまえでレオンたちの前に立ちはだかった。
「ヴェスパ属最強の戦士、ヴェスパブラッディリアのフローラだ」
名前は何とも美しいがそんな雰囲気、1㍉たりとも感じない、そんな禍々しい相手を前にするレオンたち。
無言で槍を構え直したヴェスパブラッディリアのフローラは目にも止まらぬ速さでレオンたちに襲いかかってきた。
稲妻のようにジグザグに飛ぶヴェスパブラッディリア。
手にした螺旋状の槍を構え、その先には風の魔力と若干の毒を纏わせる。
あれを食らったら、まっぷたつになるか毒に冒されるかの二択。
どちらを選んでも「死」のみの選択肢しかない。
「危ない!」
マリアがとっさに風の防御壁を張る。
風同士がぶつかり合う音。
もはや文字には現しがたい不思議な音をたててお互いの風は相殺されて消えた。
残ったのは不気味に静かなそよ風。
上に弾かれたヴェスパブラッディリアの槍だが、ふわりと羽で回転した彼女は再び槍を構え直すと、空中から今度は立体的な攻撃を仕掛けてきた。
「一ヶ所に集まると危ない!まんな、散り散りになるんだ!」
バランの言葉に放射状に離散するレオンたち。
地面に叩きつけられたヴェスパブラッディリアの一撃に床に巨大な穴が開いた。
「何てパワーなんだ?!」
ダンが悲鳴のように叫ぶ。
「このまま手をこまねいているわけにはいかんな」
ウェライはそう言うと、バランに目配せをし、光の魔素を自らの爪に流し込む。
バランも腕の筋肉を盛り上げて臨戦態勢。
ウェライは光属性なのか?
レオンがそんなことを考えている間にバランとウェライは地面を蹴って舞い上がった。
鉄格子の扉が派手に壊されたのはウェライの咆哮の直後だった。
とてつもない火球が鉄格子の扉を吹き飛ばし、中に黒いか溜まりのような一団がなだれ込んだ。
別動隊で後半からこの洞窟に突入したクラベス、ダン、アンナ、マリア、バランのグループだ。
囮作戦により意識が一ヶ所に集められた虫達をアンナの強力な炎の魔法が襲う。
アンナの容赦のない一撃は、ハイデンの攻撃により両腕を切り裂かれてピクピクとのたうち回るマンティスキングも、ウェライの咆哮で一瞬動きを止めたヴェスパナイトも、レオンとサラの頑張りにより押さえ込まれていたスカラベやスカラベメイジも、すべて灰にしてしまった。
アンナの炎地獄を辛うじて免れた虫たちもバランとダンの体術とマリアの風魔法で一掃された。
のっけのアンナのすさまじい火力に唖然とするレオンたち。
残るは突然の襲撃を素早くかわしたダークスパイダーのみとなった。
敵の意識をレオンたちに向けた囮作戦。
矢は一本とは限らない。
鉄格子が降りてきたときはさすがに少し焦ったが、強力なアンナの魔法にかかればあんなのは障害にもならないらしい。
平然と鉄格子を破壊してなだれ込んできた。
こっちは結構大変だったんだけどね…。
そんな苦笑いをレオンは飲み込み、唯一残った敵、ダークスパイダーに向き直った。
形勢逆転?
一瞬そう思ったレオンだったが、ダークスパイダーは何やら不気味に笑うような(虫が笑うのはなんともおかしな話だが)しぐさを見せると、やはり不気味な声で言った。
「愚かな獣たちよ。これで勝ったつもりか?」
そう言うとダークスパイダーは細かく身体を震わせた。
何をやっているのかわからないので呆気にとられるレオンたち。
そんな異様な行動の意味にいち早く気づいたのはポックだった。
「何か放ってる。通信手段みたい」
ポックは呟いた。
「ご名答。そのチビはなかなか感覚が鋭いようだな」
ダークスパイダーはそう言う。
ポックはチビ呼ばわれされて若干不服そうだが、そこは綺麗に無視している様子で続ける。
「出でよ!虫属最強の戦士よ!」
何だか召喚魔法のようにそう叫んだダークスパイダー。
その時、レオンたちとダークスパイダーの間に巨大な魔方陣が現れた。
「あいつ、魔法まで使うのか?!」
ダンが驚いたように呟く。
「さぁ、獣たちよ、こいつを前にどう戦う?」
魔方陣の中から現れたのは、先程のヴィスパナイトの色違い。
黄色と黒の縞模様のヴェスパナイトの上級種、赤と黒の縞模様が何とも気味の悪いヴェスパブラッディリアが現れた。
ブーンという激しい羽音をたてて舞い降りたヴェスパブラッディリア。
ヴェスパナイトのそれとは比べ物にもならない禍々しく湾曲した槍を構え、複眼は全てレオン達を睨み付けている。
カチカチと口を動かして音をたて、一分の隙も無いかまえでレオンたちの前に立ちはだかった。
「ヴェスパ属最強の戦士、ヴェスパブラッディリアのフローラだ」
名前は何とも美しいがそんな雰囲気、1㍉たりとも感じない、そんな禍々しい相手を前にするレオンたち。
無言で槍を構え直したヴェスパブラッディリアのフローラは目にも止まらぬ速さでレオンたちに襲いかかってきた。
稲妻のようにジグザグに飛ぶヴェスパブラッディリア。
手にした螺旋状の槍を構え、その先には風の魔力と若干の毒を纏わせる。
あれを食らったら、まっぷたつになるか毒に冒されるかの二択。
どちらを選んでも「死」のみの選択肢しかない。
「危ない!」
マリアがとっさに風の防御壁を張る。
風同士がぶつかり合う音。
もはや文字には現しがたい不思議な音をたててお互いの風は相殺されて消えた。
残ったのは不気味に静かなそよ風。
上に弾かれたヴェスパブラッディリアの槍だが、ふわりと羽で回転した彼女は再び槍を構え直すと、空中から今度は立体的な攻撃を仕掛けてきた。
「一ヶ所に集まると危ない!まんな、散り散りになるんだ!」
バランの言葉に放射状に離散するレオンたち。
地面に叩きつけられたヴェスパブラッディリアの一撃に床に巨大な穴が開いた。
「何てパワーなんだ?!」
ダンが悲鳴のように叫ぶ。
「このまま手をこまねいているわけにはいかんな」
ウェライはそう言うと、バランに目配せをし、光の魔素を自らの爪に流し込む。
バランも腕の筋肉を盛り上げて臨戦態勢。
ウェライは光属性なのか?
レオンがそんなことを考えている間にバランとウェライは地面を蹴って舞い上がった。
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