GO TO THE FRONTIER

鼓太朗

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第八章 虫と獣の戦争

大乱闘 後編

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ウェライはヴィスパナイトを担当していた。
巨大な槍を構えるヴィスパナイトに対峙するウェライ。
次の瞬間、消えるようにも見えるヴィスパナイトが素早い動きでジグザグに間合いをとる。
それでもウェライは完全に動きを読んでいた。
さすがはだてに獣の王を名乗るだけのものはある。
鋭い爪でヴィスパナイトの槍をいなすともう片方の爪で攻撃を放った。
しかし、鎧のようなヴィスパナイトの身体は些細な傷すらつかない。
「なっ?!」
思いの外効いていない攻撃にウェライが一瞬の隙を見せたのをヴィスパナイトは見逃さなかった。
ヴィスパナイトは毒のある魔槍を振りかぶるとウェライの頭部に振り下ろした。
とっさに避けるウェライだったが、前足にほんの少し毒の槍を受けるところまではかわしきれなかった。
ウェライの過失としか言いようがなかったが、ヴィスパナイトの毒を、注ぎ込むのには十分な傷をつけた。
「くっ!」
一気にスピードが落ちるウェライ。
ヴィスパナイトの毒はしびれを伴って相手の動きを封じる。
それは身体のどこに受けても有効で、ウェライほどの身体能力がなければ、もはや動くこともできないだろう。
とはいえ、ウェライも毒の影響を受けないわけではない。
足がしびれて素早く動けなくなってしまった。
そこに容赦ないヴィスパナイトの追撃が迫る。
「危ない!」
とっさにサラが氷の魔法で壁を作り、僅かな間を作ったことにより、止めの一発を辛うじて回避したウェライだったが、視界が二重になるのはどうしようもない。
ウェライは転がるようにヴィスパナイトと距離をとった。
サラの背後に来たウェライはサラから痺れを治す魔法の処置を受けるが、それでもなお、前足首に違和感を感じる。
ヴィスパナイトは素早い動きでサラに攻撃を放とうと身構えた。
その背後では高みの見物を決め込んでいるダークスパイダー。
レオンはほぼフルパワーの火力でスカラベとスカラベのボスであるスカラベメイジに炎の魔法をけしかけ続けている。
ハイデンはマンティスナイトに最後の一撃を放とうとしている。
じわじわではあるが、行動範囲は狭められ、押されるかたちになっている。
そんな中、ハイデンの一撃でマンティスナイトの、巨大な鎌が切り落とされ、上段の、回し蹴りからマンティスナイトを沈められた。
状況としては五分…いや、そんなに楽観もできないだろう。
いつの間にか現れた先程までは見なかった無数の虫たちが鉄格子の間から液体のように部屋になだれ込んできた。
「わぉぉーーーん!」
咆哮で多少の動きを止めてみてももはや焼け石に水とも言える数の虫たちがこの部屋には蔓延っていた。
ポックの思念波やマーフィーの石つぶてももはや、気休めにもならない。
「そろそろ作戦後半か?」
ウェライは呟くようにレオンに話し掛ける。
大量の火の玉を放ったレオンは額にうっすらと汗をかきながら、ウェライをちらりと見た。
ちらりとウェライに視線を送り、小さく頷いたレオン。
同意と解釈したウェライは作戦後半を告げる咆哮を放った。
攻撃でも威嚇でもない、遠くまで響くような叫び。
戦闘中の面々は誰も(ハイデンたちも含む)その意図に気づくものはなかった。
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