GO TO THE FRONTIER

鼓太朗

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第八章 虫と獣の戦争

大乱闘 前編

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息をするのさえ躊躇われる緊張感の中。
レオンは頭をフル回転する。
対する相手は数が多い。
虫系のモンスターは総じて炎に弱い。
ただ、ここは地下空間。
炎系の魔法には向かない環境ではある。
ただ、出口を塞がれている以上この中で完結するために必要最低限の魔法は必須だ。
魔法はレオンとサラが担当。
ハイデンとウェライで時間を稼いでもらう作戦がセオリーだろう。
ポックからの情報で思念波の効果は薄い。
短期決着が前提となる。
「魔法を解除するよ」
レオンの言葉に頷く面々。
魔法を解除した瞬間、スカラベの親玉の羽が開き、中から大量の子分たちが放出された。
さながら津波のように押し寄せるスカラベの大群。
サラの魔法が、巨大な火の玉と化した炎を巻き起こしたのを皮切りに戦闘が開始した。
大群の相手はサラとレオン。
二人して炎の魔法を絨毯のように平たく放つことで滴のようなスカラベの集団を押し返した。
その傍らでマンティスナイトの巨大な鎌がハイデンを襲う。
ハイデンは風のようにマンティスナイトの攻撃を避けるとヒラリと飛び上がるが早いか目にも止まらぬ回し蹴りをマンティスナイトの即頭部に叩き込む。
しかしマンティスナイトもさるもので、少し身体の軸が揺らいだだけで次の瞬間には鎌を振り上げて回転切りを放ってきた。
すんでのところでかわすハイデン。
あわや切り身にされるところを身体をのけぞってかわし、バク転して土煙をたてて身体を切り返す。
そこに巨大な鎌の一撃が襲いかかる。
ハイデンは転がるように避けるとハイデンがいた場所には地面に大きな窪みができた。
即座にハイキックを放つが、マンティスナイトの鎌にクリーンヒットしたハイデンの蹴りはキィーンと澄んだ音をたてて僅かにぶれただけだった。
大したダメージを与えているとは到底思えない。
むしろ痺れるような衝撃を受けたのはハイデンの足の方だった。
虫の中では珍しいとも言えるが、毒気の無いモンスターだが、パワーは相当なもの。
しかも動きは残像しか残らないほど素早い。
ハイデンは僅かに危機感を感じていた。
パワーとスピード。
ちょっとした油断で身体は真っ二つにされてしまうだろう。
レオンたちの魔法で何とか補助を頼みたいが、残念ながらスカラベ相手にその余裕はなさそうだ。
しかもマンティスナイトは風魔法も織り混ぜてくる。
二度目の攻撃からは風の刃がプラスされた攻撃も放たれ始めた。
魔法特性の無いハイデンにとっては難敵であると言える。
ハイデンはふわりと跳び跳ねながらかわしつつ攻撃を放つが、強固なマンティスナイトの身体に弾かれる。
小柄なハイデンにとって戦闘が長引けば長引くほど不利だ。
敵の柔らかいところを狙って一発集中で責めなければ勝機はない。
頭、鎌、身体も鎧のようなマンティスナイト。
狙うのは…。
首か腕の関節部分。
力に分が悪い分はスピードとテクニックでカバーするしかなさそうだ。
ハイデンは未だにさざ波のように押し寄せる虫の大群を相手にするレオンをちらりと見た。
「レオン!忙しいところすまない!速度強化の魔法を頼む!」
鎌の猛攻をかわしつつ、そう叫んだ。
レオンはとびきり大きな火の玉を放ってスカラベの集団を蹴散らすと、掌をハイデンに向けると緑色の光を放った。
風をまとったような感覚の後、ハイデンはジグザグに飛ぶように走るとマンティスナイトの首筋に回し蹴りを放った。
バキッという嫌な音をたててマンティスナイトの首があらぬ方向へ曲がった。
一瞬の隙だったが、動きを止めるマンティスナイト。
その隙をハイデンは見逃さなかった。
懐から刃のついた特殊なバックルを取り出すと、マンティスナイトの懐に飛び込み、両腕を開く格好で一撃を放つ。
マンティスナイトの唯一とも言える柔らかい場所、腕の関節をバックルで切り裂いた。
速度強化の魔法でマンティスナイトの対応速度を越えるスピードで放たれた一撃にマンティスナイトの両腕は無惨にも寸断されてしまった。
最後の一蹴りで顔の半分くらいが変形してしまったマンティスナイト。
鎌のなくなったマンティスナイトに万に一つも勝ち目はなかった。
床に転がったマンティスナイトの亡骸を見下ろし、ハイデンは荒い息を吐いた。
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