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第七章 アルカマウラの授業
薬学
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時の小部屋を出たレオンは、水晶の部屋に出た。
日の光の角度が変わっていないことから、部屋の外の時間が止まっていたことが分かる。
レオンはさっきから身体の異変を感じていた。
何となく地面が回っているような感覚に襲われた。
「魔法酔い」というものがあることはレオンも知っていた。
身分不相応な魔力を身体に帯びると酒に酔ったようなふらふらとする感覚に陥るのだ。
ライモンダからは数日で身体に馴染むと言われているが、この地面が回っている感じは気持ちのいいものではない。
「さぁ次は薬学の時間だ。急ごっか!」
なんだかんだ言っているわけにもいかないので、レオンは自分にそう言い聞かせるようにして、次の教室へと駆け出した。
*****
スルガトラスの6階までの階段をダッシュするレオンとアンナ。
息が荒れるが何とか鐘が鳴るまでに教室に入ることができた。
身体を動かすと地面が動く感覚は少し和らいだ。
息を整えていると、オセロ先生が隣の執務室に繋がる小さな扉から現れた。
リリパッドのオセロの薬学の授業は理論と実践をうまく織り混ぜた授業をするかなり有能な先生で、レオンは毎回楽しみな授業だ。
「さぁ、今日は超絶回復薬の調合を教えますよー」
そう言って生徒たちを教壇の中央に鎮座されているグツグツと煮えた鍋のもとに集める。
超絶回復薬?
なんだかとんでもないワードが飛び出す。
「人は死んでしまったらもう生き返りません。どんな癒しの魔法をかけようとも、飛び去った精神を呼び戻すことはできないのです。でも、少しでも命の息吹が残っていれば、そこから命を引き戻すことは可能です。しかしそのためには超絶的な魔力が必要になります。みんながみんなそんな大魔法使いでない以上、いつでもどこでも使えるというものではありません。ただし、緊急事態は予想できるようなものでもありません。そんな時に転ばぬ先の杖のようなものがこの超絶回復薬なのです」
オセロはそう言うとグツグツと煮たった鍋から柄杓で紫がかった液体をそこの深い皿にあける。
「ここで少し冷ますのでその間に内容物を板書しておきますね」
そう言うと大きな黒板に小さな羽をばたつかせながら飛び回ると細かな字で黒板に文字を書きたくった。
流れるような美しい字で黒板の3分の2ほど書く。
レオンたちは慌ててそれを書き留める。
書かれている材料はほとんどがレオンの知っているものだった。
普通の治療薬と違うのはカルバン特有の固有種の花の絞り汁。
あとは一見、治療薬とは無関係な気がする植物の葉が二種類。
これを絶妙な組み合わせによる量の調節と煮込む時間で最高の効果を引き起こすらしい。
まだまだ奥が深いとレオンは唸った。
全員が写し終わるのを見計らってオセロは皿にあけた紫色の液体を持つとすぐ近くに設置された鳥籠に向かう。
中には瀕死の状態のタイリクガラスがいた。
普通のカラスよりも一回り大きいタイリクガラス。
苦しそうな息をしている。
かなり危ない状態なのは一目瞭然だ。
何かに噛みつかれたような跡が数ヶ所と、毒の影響を受けているようで傷口が紫色に化膿している。
かなり凄惨な状態に思わずレオンたちは目を背ける。
「こいつはさっき森の中で保護したんだが、ヴィスパ、スズメバチ系のモンスターに攻撃されてこの状態さ。毒が回って傷だらけ。こいつにこの薬を少ーし飲ませる」
オセロは小枝のような腕を鳥籠の中に入れると先程の薬を小さな匙を使って数滴口に垂らした。
染み込むように薬はタイリクガラスの身体に入り込んでいく。
次の瞬間、目に見えて傷口が塞がっていき、ものの数秒でタイリクガラスは鳥籠の中でバサバサと羽ばたき始めた。
怪我など無かったことのようになっている。
「さぁ、この子を窓から放しておやりなさいな」
オセロにそう言われてレオンとアンナが窓際に鳥籠を運ぶとそっと鳥籠の蓋を開けた。
元気になったタイリクガラスは、振り返ること無く大空へと飛び立ち、レオンたちの視界からは一瞬でいなくなった。
「あれくらいの傷ならほんの少しの量でも効果があります。意識のない状態でも飲ませることができれば復活させることがあります」
そう言うと、オセロは一呼吸おいて、みんなを見回した。
「次は森に植物採集に出掛けましょう」
その言葉にレオンは内心、飛び上がりそうな衝動に捕らわれた。
願ってもないチャンス到来か?
レオンはついに外に出るチャンスを見出だしたのだ。
日の光の角度が変わっていないことから、部屋の外の時間が止まっていたことが分かる。
レオンはさっきから身体の異変を感じていた。
何となく地面が回っているような感覚に襲われた。
「魔法酔い」というものがあることはレオンも知っていた。
身分不相応な魔力を身体に帯びると酒に酔ったようなふらふらとする感覚に陥るのだ。
ライモンダからは数日で身体に馴染むと言われているが、この地面が回っている感じは気持ちのいいものではない。
「さぁ次は薬学の時間だ。急ごっか!」
なんだかんだ言っているわけにもいかないので、レオンは自分にそう言い聞かせるようにして、次の教室へと駆け出した。
*****
スルガトラスの6階までの階段をダッシュするレオンとアンナ。
息が荒れるが何とか鐘が鳴るまでに教室に入ることができた。
身体を動かすと地面が動く感覚は少し和らいだ。
息を整えていると、オセロ先生が隣の執務室に繋がる小さな扉から現れた。
リリパッドのオセロの薬学の授業は理論と実践をうまく織り混ぜた授業をするかなり有能な先生で、レオンは毎回楽しみな授業だ。
「さぁ、今日は超絶回復薬の調合を教えますよー」
そう言って生徒たちを教壇の中央に鎮座されているグツグツと煮えた鍋のもとに集める。
超絶回復薬?
なんだかとんでもないワードが飛び出す。
「人は死んでしまったらもう生き返りません。どんな癒しの魔法をかけようとも、飛び去った精神を呼び戻すことはできないのです。でも、少しでも命の息吹が残っていれば、そこから命を引き戻すことは可能です。しかしそのためには超絶的な魔力が必要になります。みんながみんなそんな大魔法使いでない以上、いつでもどこでも使えるというものではありません。ただし、緊急事態は予想できるようなものでもありません。そんな時に転ばぬ先の杖のようなものがこの超絶回復薬なのです」
オセロはそう言うとグツグツと煮たった鍋から柄杓で紫がかった液体をそこの深い皿にあける。
「ここで少し冷ますのでその間に内容物を板書しておきますね」
そう言うと大きな黒板に小さな羽をばたつかせながら飛び回ると細かな字で黒板に文字を書きたくった。
流れるような美しい字で黒板の3分の2ほど書く。
レオンたちは慌ててそれを書き留める。
書かれている材料はほとんどがレオンの知っているものだった。
普通の治療薬と違うのはカルバン特有の固有種の花の絞り汁。
あとは一見、治療薬とは無関係な気がする植物の葉が二種類。
これを絶妙な組み合わせによる量の調節と煮込む時間で最高の効果を引き起こすらしい。
まだまだ奥が深いとレオンは唸った。
全員が写し終わるのを見計らってオセロは皿にあけた紫色の液体を持つとすぐ近くに設置された鳥籠に向かう。
中には瀕死の状態のタイリクガラスがいた。
普通のカラスよりも一回り大きいタイリクガラス。
苦しそうな息をしている。
かなり危ない状態なのは一目瞭然だ。
何かに噛みつかれたような跡が数ヶ所と、毒の影響を受けているようで傷口が紫色に化膿している。
かなり凄惨な状態に思わずレオンたちは目を背ける。
「こいつはさっき森の中で保護したんだが、ヴィスパ、スズメバチ系のモンスターに攻撃されてこの状態さ。毒が回って傷だらけ。こいつにこの薬を少ーし飲ませる」
オセロは小枝のような腕を鳥籠の中に入れると先程の薬を小さな匙を使って数滴口に垂らした。
染み込むように薬はタイリクガラスの身体に入り込んでいく。
次の瞬間、目に見えて傷口が塞がっていき、ものの数秒でタイリクガラスは鳥籠の中でバサバサと羽ばたき始めた。
怪我など無かったことのようになっている。
「さぁ、この子を窓から放しておやりなさいな」
オセロにそう言われてレオンとアンナが窓際に鳥籠を運ぶとそっと鳥籠の蓋を開けた。
元気になったタイリクガラスは、振り返ること無く大空へと飛び立ち、レオンたちの視界からは一瞬でいなくなった。
「あれくらいの傷ならほんの少しの量でも効果があります。意識のない状態でも飲ませることができれば復活させることがあります」
そう言うと、オセロは一呼吸おいて、みんなを見回した。
「次は森に植物採集に出掛けましょう」
その言葉にレオンは内心、飛び上がりそうな衝動に捕らわれた。
願ってもないチャンス到来か?
レオンはついに外に出るチャンスを見出だしたのだ。
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