GO TO THE FRONTIER

鼓太朗

文字の大きさ
44 / 50
第九章 カルバン帝国(カルバ王子編①)

双子王子

しおりを挟む
フロントを若い男性に任せ、レオンは奥の応接室のような部屋に通された。
背は高いが顔立ちの幼い少女とも言えるような女性が暖かいお茶を人数分用意する。
なんだか鼻に抜けてスーっとするミントのような香りがした。
透き通る青色をした不思議なお茶。
「ブルーキャッツというハーブのお茶よ。これにレモンを入れると…」
クルエラはそう言ってレモンを絞ると、真っ青な液体は鮮やかな紫色になった。
「おー!!!」
一同驚嘆する。
クルエラはクスリと笑う。
何となく笑ったときにできる右側の笑いジワがライモンダとよくにている。
「面白いでしょ。ちょっとしたカルダン名物よ」
そう言ってクルエラは話を元に戻した。
「あなたたちは今日、ジャトゥーリに?」
一口お茶を飲むとレオンたちを見た。
「僕たちはライモンダ先生の言われるがままに光のトンネルを越えて先程この街に来ました。実は…」
レオンは今までのあらましをクルエラに話した。
アラベラで起こった怪事件、トクラでの出来事、アラベスク王国の内乱、ラプラドル島でのライモンダとの出会い、ラプラドル島での授業のこと、ラプラドル島での獣と虫の戦争の話、そして今に至るまで。
クルエラは静かに一部始終を聞いていた。
「なるほどね…」
クルエラはそう呟くと、レオンを見た。
「大変だったわね。でもね、レオン。そして皆さん。あなたたちは更に厄介なところに首を突っ込んでしまったようね」
そう言うと、クルエラは今のカルバン帝国の事情について語り始めた。
今のカルバン帝国は、初代皇帝ジャトゥーリ帝の直系の子孫に当たるタイロン大帝とその息子たちであるカルバとゲルバという双子の王子が領地を支配しているとのこと。
タイロン帝はすでに高齢で、実権はほぼ双子の王子が握っている。
兄のカルバは切れ者で冷血。弟のゲルバは熱血漢で短気。
宰相として国内の統治をカルバ王子、将軍として対外的な軍事行動をゲルバ王子が担当している。
そんな二人は双子でありながら非常に仲が悪いらしい。
性格も真逆で部下の前で堂々とぶつかるとか…。
何ならお互いの命をひそかに狙っているとのこと。
そこまで話すとクルエラはため息をついた。
「今この国は水面下で様々な思惑が錯綜さくそうしているの。あなた達のような異国の人は出入国もままならない状況よ。やっぱり国家的に内輪で揉めてるっていうのを他国に知られたくないのよね。まったく仕方のない人たち…」
そう言ってレオンたちを見る。
これだけ国の中が乱れているなら、レオンたちがアラベスクに帰るのは一筋縄ではいきそうにない。
まずこの国から出にくい状況なのだから。
更に何か対策を立てないと国外に出ることはかなり難しそうだ。
ただ、入ったばかりのレオンにはどうしようもないというか、どうしたら良いのか分からない部分が大きい。
「故郷に帰るのにはかなり綿密な計画が必要なようですね。それまで、ここでお世話になってもいいですか?」
レオンが訪ねるとクルエラは快諾してくれた。
「こんなスラム街の宿でよければいくらでもゆっくりしていってね」
クルエラはウインクしてみせる。
レオンはさっきから疑問に思ったことを口にしてみる。
「変な話ですけど、一国民であるクルエラさんがその事を知っているってことは、それってかなり有名な話なんですか?」
アンナたちも同じように疑問に思っていたようで、うんうんと頷く。
「まぁ、皇帝一家の情報はとある情報筋から筒抜けなの」
何やら含みのある言い方をするクルエラ。
「というと?」
ハイデンが聞いてみる。
「長くこの街に住んでいるとね。つて・・ってのができるのよ」
そう言ってクルエラは笑って答える。
そのつてとやらはなんなのか?
レオンたちの頭の上に大きな「?」が浮かんだところで背後の扉が開いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...