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プロローグ
松谷家
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「誠司~、一緒にお弁当食ーべよっ」
「…友達と食えば?」
「なっ!?…サラッと酷いこと言うね…誠司」
「どういうことだ」
聞けば姉貴、未だにクラスで友達がいないという。もう四月も終わる頃、クラスで話しかけられる相手が俺だけというのは如何なものだろうか。仕方がないので机をくっつけて二人で昼食を摂る。
「お~、お母さん今日はタコさんウインナー入れてくれたよ」
「高校生の弁当にタコさんって…」
松谷家は現在三人家族。
母と姉と俺だ。
父親はいない。
父親は探偵をやっていたらしい。そのせいか家に帰る事は滅多に無く、連絡もほとんど無い。そして先月、とうとう電話が繋がらなくなり完全に消息を絶った。
(一体どこで何をしてるのやら…)
弁当のタコさんウインナーを頬張りながらふと思う。
父親の事は別に嫌いでは無い。というか、「好き」とか「嫌い」という感覚が父に対しては無いのだ。母との結婚当時は普通にサラリーマンだったらしい父が、その数年後探偵に転職し俺達が産まれた。それからは父と会った回数なんて数えられるほどしか無い。家に帰らない事に対して不満は無い。仕事ならば仕方がないと思っていたし、正直父に興味が無かった。
そんな父が姿を消し、母は働きに出た。
「お弁当…美味しいね」
「…そうだな」
会社で働いているにも関わらず、俺達の弁当をしっかり作って、家事もやってくれている。母には感謝しか無い。
「お母さん凄いよね…お父さんが消えてからすぐに正社員として働いて。アタシら育てて、弁当作って、働いて」
「確かに、本当にすぐだったよな。母さんは予知してたのかもしれない。こうなるって」
「私らが留年してる間に、お母さんは必死に裏で動いてたんだねぇ」
「俺は留年してねぇぞ」
サラッと俺まで留年組に入れていた事にツッコミつつ弁当を箸でつつく。
さっきまで話していた事が父親関連のものだった事もあり、偶然か必然か、姉の口から久しぶりにあの質問が出た。
「ねぇ…まだ続けるの?探偵ごっこ」
「…あぁ、続ける」
俺は幼い頃、母から父の職は探偵だと聞かされた。その時に初めて探偵という仕事を知り、どんな仕事なのかを漫画やドラマで学んだ。それからは探偵ごっこにドっぷりハマり、四六時中いもしない犯人を追いかけていた。
だが今は違う。明確なサガしモノができた。無かったはずの犯人は現実味を帯びた人になった。
そして俺は実際に行動した。家庭環境が云々で弄られたくは無いので父の事は伏せ、俺は「探偵」が趣味だと公言している。プライベートでの捜査中、誰かに見られてもなるべく怪しまれないように。
(言った当初は充分からかわれたけどな…)
こんな対策はしているが、いざ突っ込まれた質問をされると言い訳に困る。
一体誰を、何を、誰から、どんな風に。そんな質問をされでもしたらボロが出る。何か一つでいい。質問に詳しく答えられるように、本格的に長期期間で捜査ができるような事件や噂は無いものか。
ちょうどその時。
「お、いたいた。おーい!誠司ー!」
「んー?お、よぅ。どした」
隣のクラスの友達、元クラスメイトがこの教室に来た。
「探偵職の方はどうだ?何か凄い事件解決したりしてんのか?」
「え、いやまぁ、ボチボチ…」
そーら、ボロが出る。このままコイツが勘のいいガキにならなければ良いのだが。
そんな不安な俺の期待は良い意味で裏切られる事となった。
「そっか。もし退屈してんだったらさ、ちょっと調べてみてほしい事があるんだよ」
長期捜査の香りがした。
「…友達と食えば?」
「なっ!?…サラッと酷いこと言うね…誠司」
「どういうことだ」
聞けば姉貴、未だにクラスで友達がいないという。もう四月も終わる頃、クラスで話しかけられる相手が俺だけというのは如何なものだろうか。仕方がないので机をくっつけて二人で昼食を摂る。
「お~、お母さん今日はタコさんウインナー入れてくれたよ」
「高校生の弁当にタコさんって…」
松谷家は現在三人家族。
母と姉と俺だ。
父親はいない。
父親は探偵をやっていたらしい。そのせいか家に帰る事は滅多に無く、連絡もほとんど無い。そして先月、とうとう電話が繋がらなくなり完全に消息を絶った。
(一体どこで何をしてるのやら…)
弁当のタコさんウインナーを頬張りながらふと思う。
父親の事は別に嫌いでは無い。というか、「好き」とか「嫌い」という感覚が父に対しては無いのだ。母との結婚当時は普通にサラリーマンだったらしい父が、その数年後探偵に転職し俺達が産まれた。それからは父と会った回数なんて数えられるほどしか無い。家に帰らない事に対して不満は無い。仕事ならば仕方がないと思っていたし、正直父に興味が無かった。
そんな父が姿を消し、母は働きに出た。
「お弁当…美味しいね」
「…そうだな」
会社で働いているにも関わらず、俺達の弁当をしっかり作って、家事もやってくれている。母には感謝しか無い。
「お母さん凄いよね…お父さんが消えてからすぐに正社員として働いて。アタシら育てて、弁当作って、働いて」
「確かに、本当にすぐだったよな。母さんは予知してたのかもしれない。こうなるって」
「私らが留年してる間に、お母さんは必死に裏で動いてたんだねぇ」
「俺は留年してねぇぞ」
サラッと俺まで留年組に入れていた事にツッコミつつ弁当を箸でつつく。
さっきまで話していた事が父親関連のものだった事もあり、偶然か必然か、姉の口から久しぶりにあの質問が出た。
「ねぇ…まだ続けるの?探偵ごっこ」
「…あぁ、続ける」
俺は幼い頃、母から父の職は探偵だと聞かされた。その時に初めて探偵という仕事を知り、どんな仕事なのかを漫画やドラマで学んだ。それからは探偵ごっこにドっぷりハマり、四六時中いもしない犯人を追いかけていた。
だが今は違う。明確なサガしモノができた。無かったはずの犯人は現実味を帯びた人になった。
そして俺は実際に行動した。家庭環境が云々で弄られたくは無いので父の事は伏せ、俺は「探偵」が趣味だと公言している。プライベートでの捜査中、誰かに見られてもなるべく怪しまれないように。
(言った当初は充分からかわれたけどな…)
こんな対策はしているが、いざ突っ込まれた質問をされると言い訳に困る。
一体誰を、何を、誰から、どんな風に。そんな質問をされでもしたらボロが出る。何か一つでいい。質問に詳しく答えられるように、本格的に長期期間で捜査ができるような事件や噂は無いものか。
ちょうどその時。
「お、いたいた。おーい!誠司ー!」
「んー?お、よぅ。どした」
隣のクラスの友達、元クラスメイトがこの教室に来た。
「探偵職の方はどうだ?何か凄い事件解決したりしてんのか?」
「え、いやまぁ、ボチボチ…」
そーら、ボロが出る。このままコイツが勘のいいガキにならなければ良いのだが。
そんな不安な俺の期待は良い意味で裏切られる事となった。
「そっか。もし退屈してんだったらさ、ちょっと調べてみてほしい事があるんだよ」
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