25 / 47
2day 5月2日 日曜日
【CASE3】②
しおりを挟む
「いいえ、待ちきれません。今から会いましょう」
「なっ、いや、ちょっと待」
ブツンッ
どこか慌てる月神を無視して、俺は間髪入れずに通話を切った。
受話器越しに聞こえた騒音。そして月神が通話中に息切れしていたようにも聞こえた。何か胸騒ぎがする。書類仕事やパソコンであんな大きな音がする訳が無い。俺は家を飛び出し、月神高校へ急いで向かった。
☆●◇■△▼*▽▲□◆○★
「ここ…だろうな」
着いて早々に目を疑った。そして確信した。月神はここにいると。
月神高校二代目校舎。あるはずの無い旧校舎が目の前に建っていた。校舎に足を踏み入れた途端、今まで聞こえなかったはずの物音がどこかの教室から聞こえて来た。
とても激しい物音だ。
机や椅子が強く打ち付けられる音。
窓ガラスが割れる音。
古びた木の板がへし折れる音。
尋常ではない音の数々に愕然としながらも、音の発生源である部屋を探す。音がかなり反響していてどこの教室なのか分かりにくい。
(通話中に聞こえた騒音はこれか…)
ここが二代目校舎という事は恐らくヤツがいる。そして今まさに月神と対峙しているのだろう。急がないと月神が危ないかもしれない。
「ツクヨミに…殺される…!」
☆●◇■△▼*▽▲□◆○★
「ハァ…ハァ…」
「…」
まずいな。非常にまずい。
私の目の前に立ち塞がるは数ミリ程の大きさしかない欠片。こんな小さいはずなのに、末恐ろしいヤツだ。宙に浮くソレは現役の頃と変わらぬ程のオーラを身にまとっているように見える。
それに対して私は酷く負傷してしまった。ヤツの攻撃によって身体中を打撲。かすり傷や切り傷もだいぶ増えた。特に酷いのは横腹の負傷だ。割れた窓ガラスで深めに切られてしまった。内蔵まで達する傷では無いものの、一番出血が酷い。
私の勝利条件は、ヤツのための特注品である清めの札を貼り付ける事。それだけの事が未だにできずにいる。もしくはヤツの欠片を再起不能になるほど粉々にできれば良いのだが、近づく事が叶わぬため不可能だろう。
「…ー……ー」
「ふんっ…声すら出せないのか…哀れだな」
あそこまで欠片が小さくなっていては会話もできないようだ。まだ形を成していた頃が懐かしい。今となってはもうハッキリとヤツの原型を思い出せない。
ヤツの近くにある勉強机がカタカタと動き出し、宙に浮いた。次の攻撃で終わらせるつもりのようだ。
「ハァ…ハァ…すまない。私はここまでのようだ…。誠司くん…姉さー」
パリンッ
「先生!」
「っ!?…誠司くん!」
廊下側の窓ガラスが勢いよく割られ、松谷誠司が教室に乗り込んで来た。その両手には、別の教室から持って来たであろう勉強机が握られていた。
「ぅ…あああああああああああああああ!!」
ヤツは机の下敷きになり、粉々に砕け散った。これでもうヤツは再起不能だろう。さっきまで宙に浮いていた勉強机が落下したのがその証拠だ。
「先生…無事…ですか…?」
「あぁ…何とか」
深夜の学校。
暗い教室。
息の上がった男子生徒と男性教員。
傍から見たら変態チックな状況だろうが、私は今の状況をとても誇らしく感じていた。一人では進めなかった、その先に行けたのだから。
「なっ、いや、ちょっと待」
ブツンッ
どこか慌てる月神を無視して、俺は間髪入れずに通話を切った。
受話器越しに聞こえた騒音。そして月神が通話中に息切れしていたようにも聞こえた。何か胸騒ぎがする。書類仕事やパソコンであんな大きな音がする訳が無い。俺は家を飛び出し、月神高校へ急いで向かった。
☆●◇■△▼*▽▲□◆○★
「ここ…だろうな」
着いて早々に目を疑った。そして確信した。月神はここにいると。
月神高校二代目校舎。あるはずの無い旧校舎が目の前に建っていた。校舎に足を踏み入れた途端、今まで聞こえなかったはずの物音がどこかの教室から聞こえて来た。
とても激しい物音だ。
机や椅子が強く打ち付けられる音。
窓ガラスが割れる音。
古びた木の板がへし折れる音。
尋常ではない音の数々に愕然としながらも、音の発生源である部屋を探す。音がかなり反響していてどこの教室なのか分かりにくい。
(通話中に聞こえた騒音はこれか…)
ここが二代目校舎という事は恐らくヤツがいる。そして今まさに月神と対峙しているのだろう。急がないと月神が危ないかもしれない。
「ツクヨミに…殺される…!」
☆●◇■△▼*▽▲□◆○★
「ハァ…ハァ…」
「…」
まずいな。非常にまずい。
私の目の前に立ち塞がるは数ミリ程の大きさしかない欠片。こんな小さいはずなのに、末恐ろしいヤツだ。宙に浮くソレは現役の頃と変わらぬ程のオーラを身にまとっているように見える。
それに対して私は酷く負傷してしまった。ヤツの攻撃によって身体中を打撲。かすり傷や切り傷もだいぶ増えた。特に酷いのは横腹の負傷だ。割れた窓ガラスで深めに切られてしまった。内蔵まで達する傷では無いものの、一番出血が酷い。
私の勝利条件は、ヤツのための特注品である清めの札を貼り付ける事。それだけの事が未だにできずにいる。もしくはヤツの欠片を再起不能になるほど粉々にできれば良いのだが、近づく事が叶わぬため不可能だろう。
「…ー……ー」
「ふんっ…声すら出せないのか…哀れだな」
あそこまで欠片が小さくなっていては会話もできないようだ。まだ形を成していた頃が懐かしい。今となってはもうハッキリとヤツの原型を思い出せない。
ヤツの近くにある勉強机がカタカタと動き出し、宙に浮いた。次の攻撃で終わらせるつもりのようだ。
「ハァ…ハァ…すまない。私はここまでのようだ…。誠司くん…姉さー」
パリンッ
「先生!」
「っ!?…誠司くん!」
廊下側の窓ガラスが勢いよく割られ、松谷誠司が教室に乗り込んで来た。その両手には、別の教室から持って来たであろう勉強机が握られていた。
「ぅ…あああああああああああああああ!!」
ヤツは机の下敷きになり、粉々に砕け散った。これでもうヤツは再起不能だろう。さっきまで宙に浮いていた勉強机が落下したのがその証拠だ。
「先生…無事…ですか…?」
「あぁ…何とか」
深夜の学校。
暗い教室。
息の上がった男子生徒と男性教員。
傍から見たら変態チックな状況だろうが、私は今の状況をとても誇らしく感じていた。一人では進めなかった、その先に行けたのだから。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる