②女を忌み嫌い性欲が無い俺がハーレムパーティでなんだかんだする話

ルナ

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【9】仲介役

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「第一の魔法…来てくれ閃光…ザケッ…ビーム!」
「!?」

 無我夢中で両手を突き出し、初めてビームを出したあの時の事を思い出しながら、ただ念じてみた。すると俺の思いが通じたのか、光と呼ぶには鈍く弱々しいビームが出てくれた。

(許せレティナ…焦げてくれ…)
「うおおおおおおおお!」

 何という事でしょう。破壊エネルギーを秘めたはずの光を、目の前の王女様はいとも簡単にその拳で粉砕したのでした。

 あ…終わった…。

「トドメだ!スリーチェインー」
「待って!お姉ちゃん!」

 突然の声。レティナを声で制止したのはスティナ。おおスティナありがとう。これでとりあえず死なずに済むー

「なっ!?急には止まれな」
「ふぇ?」

 そう。一定の運動エネルギーを持って移動している個体は…急には止まれないのです。
 レティナの拳も…また然り。
 ディス・ティニーは目の前が真っ暗になった。

「ディス・ティニーは瀕死になったポ○モンを急いでポ○モンセ○ターに…」
「何を訳の分からない事をブツブツと言ってるのですか?お兄さん」
「…あれ?」

 確かにレティナの攻撃を受けたのだが、何故か俺は生きていた。それも無傷で。最初にレティナから受けたダメージも感じない。ただ俺はその場に横たわっていた。

「お姉ちゃんに殴られた後、私がお兄さんを回復させたのです!私はソーサラー。主体は攻撃魔法ですけど、回復魔法も使えるのです!」
「スティナ!なぜこんな事を!」

 よく分からんが、スティナが俺の事を助けてくれたようだ。

「お姉ちゃん、今私は疑問が三つあります」
「疑問だと?」
「まず一つ。この人は私を助けてくれました。とても王国転覆なんて考えるような人では無いと思います。そもそもそれをお姉ちゃんや私の前で公言するのも可笑しな話です」
「む…確かに、言われてみれば。なら、なぜあんな事を口走ったのだ?コイツは」
「恐らくお兄さんは厨二病というヤツです」
「はうぅう!?」

 急に予想外な精神ダメージが入った。これも魔法か。

「二つ。お姉ちゃんはお兄さんの事を調べたと言いましたが」
「あぁ、そうだ!コイツの名も顔もリストには無かった!」
「…本当に調べたのですか?」
「な…何を…言って…」

 あれ、なんか雲行きが…

「この国に一体何人の国民がいると思ってるのですか。あんな短時間で全員分の書類に目を通すなんて不可能です。それも一人でなんて」
「い、いや確かにそれでも私は…」
「どうせテキトーにパラパラパラ~と見ただけでしょう」
「ぎくり…」
「…おい」

 この女、マジか。

「そして三つ!お姉ちゃん、顔もも無かったと言いましたが…」
「そ、それがどうした」
「いつお兄さんの名前を知ったのですか?」
「へ?」
「私もさっき初めてお兄さんの名を聞きました。お姉ちゃんがお兄さんについて調べたのは名乗る前です」
「…」
「…」
「一体…調べている時、誰の名前を探していたのですか…?」

『…』

 静まり返る部屋。俺とスティナがジト目でレティナの事を見つめるだけの空間。

「…確かに」
「おいっ!!」
「ハァ…」

 このアマ…テキトーに俺の事を犯罪者呼ばわりしてたって事か。許さん…許さんぞぉ…。この恨み…一体どんな目に合わせてやろうか…。

「全く…すみませんお兄さん」
「ひゃいっ!?」

 俺がレティナに恨みつらみを募らせている間に、いつの間にかスティナは俺の背後に。またもやモゾモゾと俺の胸板を撫で回してきた。

「お姉ちゃんは王国随一の武闘派パラディンなのですが、ちょっと…いや、超ドジっ子と言うか、抜けてる所がありまして…こんなんだから実力あるのにいつまで経ってもセカンドランクのパラディン止まり何です」
「うぅ…言うなぁ…それぉ…」
「お兄さん…ふふふっ」

 急にスティナの声が近くなった。吐息が耳元に当たる。生暖かい。

「どうか許して、く・だ・さ・い・ね?♡」
「ひゃ…ひゃい」

 半分脅しとも取れるような言動に、この時の俺は「ひゃい」としか言えなかったのである。
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