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if story アルサーラー編(真)
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「…国王」
「ん?どうしたレイ。というか、お前まで国王呼びはやめてくれ。民衆の前じゃないんだし」
聖誕祭の中盤、俺は少し疲れたので城の自室で休んでいるとレイが部屋に入ってきた。
「…あぁ、そうだな。キョウくん、こんな祭りの日にすまないが、仕事だ」
「えー…」
「東側の諸国の一つ、ルミリアンス王国がアートラストとの貿易を申し出ている」
「おぉ!あの大国がついにか!すぐに話し合いの場を設けてくれ、日程はいつでも構わない。任せる」
「…了解した」
レイは足早に部屋を後にした。真面目で優秀な仲間がいると国交も捗る。
〈キョウ、また来客だ〉
(ん?)
「よぉ、盛大にやってんな~」
レイと入れ替わりで部屋に入ってきたのはジン。ベルバーグ家からわざわざ足を運んでくれたのか。暇なヤツめ。
「おう、何せ暇だったからな。当主になったとはいえ、何かある訳でもねぇしな~」
「ナチュラルに心を読むな」
ベルバーグ家当主 ジン・ベルバーグ(21)
あれからジンは実の父マルガンからベルバーグ家を任された。パーティ解散後、アナシアと帰宅して早々に後継の話を切り出されたらしい。
「そうそう、今日は大事な話があって来たんだわ」
「大事な話?」
俺とジンが話していると再び俺の部屋の扉が開いた。
「何ですか?お兄様、大事な話って」
ベルバーグ家次期当主? アナシア・ベルバーグ(18)
「来たよー、ジンさん話って何ー?」
入ってきたのはジンの妹アナシアとジュナ。この二人も呼んだのか。一体何の話だろうか。
「実はな…」
『ゴクリ…』
部屋に重い空気が立ち込める。ベルバーグ家当主が直々に来るほどだ。きっと王国に関わる何か重要な…
「えー…っと」
『…?』
きっと重要な…
「わり、忘れた」
『えー…』
なんだコイツ。
「いやーわりぃわりぃ!何話すのか頭からすっぽ抜けちまった!」
「いやいやいや、今の雰囲気的に絶対忘れちゃいけないレベルの話だったよな!?」
とんでもないヤツだ。これで国滅んだら許さんぞ。
「何話すか思い出したらまた集めるわ、それまで散ってて良いぞ~…」
「何よそれ~!」
「お兄様!さすがにそれは酷いですよ!」
三人ともジンのいい加減さに激おこプンプン丸だ。そしてジンは半ば強引に俺達を部屋から連れ出した。
「まーまー、それはさておき、せっかくの祭りだ。皆で回ろうぜ~」
「ちょ、押すなよジン」
「ジンさんお姫様にも容赦無いね…」
「もう!お兄様~!」
「…お前達で最後だ。本当にわりぃな」
ビッ…
「ん?…ジンお前今何かしたか?」
「いや~?何も~?」
「?…そうか」
「ほら、さっさと行った行った」
「だから押すなって~!」
ジンによって部屋から連れ出された俺達は四人で再び生誕祭を楽しんだ。夕暮れまで遊び尽くし、俺達は解散。二人はベルバーグ家に帰って行った。
「いや~疲れたね~」
「こんな大規模な祭りは久しぶりだからな」
祭りが終わり夜になった。今俺とジュナは寝室の大きなベッドに二人並んで腰掛けている。今日はかなり疲れた。とてつもなく眠い。
「ジュナ、少し早いけど疲れたし今日はもう寝…」
ポフッ
「ん?」
「Zzz…」
もう寝てやがる。彼女もよほど疲れたのだろう。俺の肩に寄りかかったまま熟睡だ。
「…」
俺はジュナを起こさないようにゆっくりベッドに寝かせる。
「おやすみ、ジュナ」
これからは新しい家族と共にずっと味わえなかった"家族の温かさ"を噛み締めて生きていこう。彼女の寝顔を見て、俺はそう強く思ったのであった。
【アルサーラー編 HAPPY END】
「ん?どうしたレイ。というか、お前まで国王呼びはやめてくれ。民衆の前じゃないんだし」
聖誕祭の中盤、俺は少し疲れたので城の自室で休んでいるとレイが部屋に入ってきた。
「…あぁ、そうだな。キョウくん、こんな祭りの日にすまないが、仕事だ」
「えー…」
「東側の諸国の一つ、ルミリアンス王国がアートラストとの貿易を申し出ている」
「おぉ!あの大国がついにか!すぐに話し合いの場を設けてくれ、日程はいつでも構わない。任せる」
「…了解した」
レイは足早に部屋を後にした。真面目で優秀な仲間がいると国交も捗る。
〈キョウ、また来客だ〉
(ん?)
「よぉ、盛大にやってんな~」
レイと入れ替わりで部屋に入ってきたのはジン。ベルバーグ家からわざわざ足を運んでくれたのか。暇なヤツめ。
「おう、何せ暇だったからな。当主になったとはいえ、何かある訳でもねぇしな~」
「ナチュラルに心を読むな」
ベルバーグ家当主 ジン・ベルバーグ(21)
あれからジンは実の父マルガンからベルバーグ家を任された。パーティ解散後、アナシアと帰宅して早々に後継の話を切り出されたらしい。
「そうそう、今日は大事な話があって来たんだわ」
「大事な話?」
俺とジンが話していると再び俺の部屋の扉が開いた。
「何ですか?お兄様、大事な話って」
ベルバーグ家次期当主? アナシア・ベルバーグ(18)
「来たよー、ジンさん話って何ー?」
入ってきたのはジンの妹アナシアとジュナ。この二人も呼んだのか。一体何の話だろうか。
「実はな…」
『ゴクリ…』
部屋に重い空気が立ち込める。ベルバーグ家当主が直々に来るほどだ。きっと王国に関わる何か重要な…
「えー…っと」
『…?』
きっと重要な…
「わり、忘れた」
『えー…』
なんだコイツ。
「いやーわりぃわりぃ!何話すのか頭からすっぽ抜けちまった!」
「いやいやいや、今の雰囲気的に絶対忘れちゃいけないレベルの話だったよな!?」
とんでもないヤツだ。これで国滅んだら許さんぞ。
「何話すか思い出したらまた集めるわ、それまで散ってて良いぞ~…」
「何よそれ~!」
「お兄様!さすがにそれは酷いですよ!」
三人ともジンのいい加減さに激おこプンプン丸だ。そしてジンは半ば強引に俺達を部屋から連れ出した。
「まーまー、それはさておき、せっかくの祭りだ。皆で回ろうぜ~」
「ちょ、押すなよジン」
「ジンさんお姫様にも容赦無いね…」
「もう!お兄様~!」
「…お前達で最後だ。本当にわりぃな」
ビッ…
「ん?…ジンお前今何かしたか?」
「いや~?何も~?」
「?…そうか」
「ほら、さっさと行った行った」
「だから押すなって~!」
ジンによって部屋から連れ出された俺達は四人で再び生誕祭を楽しんだ。夕暮れまで遊び尽くし、俺達は解散。二人はベルバーグ家に帰って行った。
「いや~疲れたね~」
「こんな大規模な祭りは久しぶりだからな」
祭りが終わり夜になった。今俺とジュナは寝室の大きなベッドに二人並んで腰掛けている。今日はかなり疲れた。とてつもなく眠い。
「ジュナ、少し早いけど疲れたし今日はもう寝…」
ポフッ
「ん?」
「Zzz…」
もう寝てやがる。彼女もよほど疲れたのだろう。俺の肩に寄りかかったまま熟睡だ。
「…」
俺はジュナを起こさないようにゆっくりベッドに寝かせる。
「おやすみ、ジュナ」
これからは新しい家族と共にずっと味わえなかった"家族の温かさ"を噛み締めて生きていこう。彼女の寝顔を見て、俺はそう強く思ったのであった。
【アルサーラー編 HAPPY END】
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