22 / 38
第8章
(21)死神
しおりを挟む
--そして、帳珈琲店。
開店前の清掃を進めながら、私と帳さんのお喋りが続いている。
「劇団員の雨宮さんを中心に、一気に五人が顔を合わせましたね。小町さんの息子さんの名前を聞いた時の、初音さんの様子も気になります」
「後に、更なる縁の繋がりを知ることができるのですが。それにしたって、どうしてこんなに、私の周りで人が幸せになっていくのか……」
私は項垂れた。
「それが、死神さんの本心だからじゃないですか」
「え?」
「あなたはきっと、望んだ事象を人に与える事ができる。死神としての力をちゃんと持っているのだと思います」
「私が?」
帳さんの言葉に私は驚く。
「でも、私はもうずっと、ほんの少しだけ不幸になれと望んで……」
「表向きは、ですよね?」
帳さんのその声は、問い掛けの言葉でありながら、断定に近い強さを持っていた。
戸惑いを感じて私は押し黙る。
「ただの私見ですが」
そう前置きをして、帳さんが言葉を続けた。
「例えほんの少しであっても不幸になどしたくない。恐らく、死神さんの本音はそう思っている。それどころか、目の前の人達が幸せになればいいと……。無意識に、あなたがそう望んでいるのではないかと僕は思います」
私の鼓動が、ドクリッと一回悲鳴を上げた。
急いで帳さんから視線をそらす。
「そんなこと、思っていません」
ほんの少し不幸になれと願う事と、どうか幸せになれと祈る事は、決してイコールではない。
前者でさえ死神にとっては間違った考え方であるというのに、もし、自分の本意が後者であるのだとすれば……。今度こそ本気で、死神失格になってしまう。
「私はそんなこと、願っていません」
「小町さんがホームに落ちなくて良かったと、あなたは安心したのでしょう?」
「それ、は……」
その通りだった。
「真田さんに有り難うと言われて、君のお陰で俺は今も生きていると言われて、あなたは嬉しかったのでしょう? 僕に、そう話してくれましたよね」
嬉しかった。
そうであってはならないのに。
「幸せにと、心の奥底であなたが願ったから、あなたと関わる人はみんな、幸せのきっかけを……」
「やめてくださいっ!」
私はその言葉を強く遮った。
その思いが本当であったなら、私はもう、自分の世界に戻るすべが無い事になる。
例え両親や兄弟たちから存在を忘れられているとしても、それでもあの世界が、自分の居場所なのだと思っていた。
私が「ただいま」と言える場所はそこにしかない。
だからずっと。
--頑張ります。
ずっと。
--頑張ります。
そう繰り返し、生きてきた。
家族に送った手紙はいつも一方通行で、随分長く声すら聞いていない。その現実が何を意味するのか、それを思い知ることが怖かった。
「だけど……」
本当は分かっている。
もう、分かっていた。
私に「おかえり」と言ってくれる誰かなんていない。
それでもその答えに気付かない振りをして頑張り続けることしか、どこにも居場所のない私にはできる事がなかったのだ。
「帳さんに、私の気持ちなんか分かる訳ないっ!」
そう叫んでしまった後で、私はハッとしてうつむいていた顔を上げた。
こんなの、ひどい八つ当たりだ。
私の視線の先にある帳さんの瞳に、後悔と哀しみの色が広がっている。
「僕はまた……、側にいる人にこの言葉を言わせてしまった。これじゃ、あの時と同じ……。何をやってんだ、僕は!」
帳さんのその目は、私と、私ではない誰かを映している。
その誰かはきっと、何度も二人の会話に出てきた……。
「弟さんの、ことですか?」
私の問い掛けに、自責の表情を浮かべたまま帳さんが深く頷いた。
「僕には、五つ下の弟がいます。
そう語る帳さんの目が、徐々に水の膜で覆われていく。
「僕に向かって、先程のあなたと同じ言葉を吐き捨て家を飛び出した弟は、その時事故にあい、もう何年も眠ったまま目を覚ましません」
瞬きと同時に、帳さんの瞳から、一筋の痛みがこぼれ落ちるのが見えた。
「弟とは他にもたくさん色んな事を話したはずなのに、僕の耳にはあの時の……、その言葉とその声ばかりが蘇る。繰り返し、何度も、そう叫ぶ弟の声で僕は目を覚ます。……僕の言葉はいつも、側にいる人を追い詰めるみたいです。あなたよりよっぽど、死神のようですね」
そんな事ない。私がそう言葉を返そうとした時、扉についたカウベルが響きお客様の来訪を告げた。
カロンッ──。
私はは驚いて肩を揺らす。
帳さんはサッと涙を拭い、すぐに笑顔を向けていた。
「マスター。もう六時過ぎたけど、まだ準備中?」
「いえ、大丈夫です。お席にどうぞ」
「じゃあ、いつもので!」
「ナポリタンとイタリアンブレンドですね。承知しました」
ビジネススーツの男性二人がテーブル席へと足を進める。先程までの悲痛な想いは心に閉じ込めて、帳さんは朗らかに笑っていた。きっと、心の中は悲鳴をあげているはずだ。
『帳さんに、私の気持ちなんか分かるわけない!』
帳さんにとっての、一番残酷な言葉で傷付けた。
自分だって、彼の気持ちなど何も分かっていなかったというのに……。
早く謝らなければと気持ちばかり焦ってしまい、私は結局、開店前の掃除をしていたモップを強く握り締めたままその場に立ち尽くしていた。
「死神さん」
呼ばれて、顔を上げる。
「あなたも席にどうぞ」
カウンター席の左端。
私が初めてここへ来たあの日のように、綺麗に揃えられた指先が、まるで私に居場所を教えるかのようにその椅子を差し示す。
「それとも僕と話しをするのは、もう嫌になりましたか?」
思い切り首を横に振った。目にかかる程の長い前髪が、私の額の上でバサバサと揺れる。
今までよりもずっと、たくさん帳さんと話がしたい。
『全ては分からなくても……相手を知りたいから、自分を知って欲しいから、僕らは話すのだと思います』
そう教えてくれたのは彼だ。
この珈琲店の入り口にある小さな貼り紙には、【あなたの話を聞きます。ただ聞くだけ、何も解決いたしません】そんな一文が記されている。
それは必死に分かりたいと願う、彼自身の祈りだったのかもしれない。
「話がしたいです。帳さんと、まだまだたくさんの話がしたいです」
カウンター席の左端に、私は腰を下ろした。
「私の話を終えたら、今度は帳さんの……あなたの話を聞かせてくれませんか? もちろん、無理にとは言いません」
そして私は、カウンターテーブルに額を打ちつけそうな程に頭を下げ、帳さんに向かって謝罪の言葉を告げた。
「先程は、あんな言葉で八つ当たりをして、ごめんなさい!」
すぐに、私の頭上に柔らかな帳さんの声が降る。
「僕の方こそ、死神さんを追い込つめるような物言いになり、ごめんなさい」
顔を上げると、こちらに向かって頭を下げている帳さんがいた。
「いえ、あれは……ただの八つ当たりです。私の方が、ごめんなさい!」
「いえ、あれは僕が言わせてしまった。僕の方こそ、ごめんなさい」
「帳さんは何も悪くありません! 私です、ごめんなさい」
「死神さんは、悪くない! 僕のせいです、ごめんなさい」
まるでメトロノームのように、互いが規則正しいリズムで順番にペコペコと頭を下げる。そして気づけば意地になって、互いに物凄いスピードでお辞儀を繰り返していた。
「いえ、私です!」
「いえ、僕です!」
「いえ、こちらが」
「いえ、こちら!」
「いえ、こちー」
「いえ、こち!」
両者一歩も譲らず、何度も頭の上げ下げを繰り返した結果。私も帳さんも激しいジェットコースターに乗った後のような吐き気に襲われ頭を抱える。
その時、テーブル席の常連二人から、やんわりとしたクレームが入った。
「さっきから、何やってんの?」
「ブレンドとナポリタンまだ?」
平衡感覚を無くしヨボヨボになった帳さんが、水の入ったグラスを運んでいる。しかしグラスの水は全て床にこぼれ、底の方に水滴しか残っていないグラスを帳さんはお客様に差し出していた。
私はモップを握り、早く床の水を拭かなければと後を追う。けれど帳さんと同じくらいヨボヨボだった私は、知らぬ間に足が逆走しており入り口の扉に激突していた。その衝撃で、扉についたカウベルがとびきり呑気な音色を響かせる。
カロンッ──。
「お客様。わたくしどもは、このまま少々、横になるお時間を頂きます」
そしてカウンター席のテーブルに、二人並んで突っ伏した。
マスターと臨時の掃除係が青ざめた顔で転がっている珈琲店など前代未聞。見ようによっては傷害現場だ。
しばらくして、私がギュッと閉じていた目を開けると、同じタイミングで瞳を開けた帳さんと目が合った。
口角が少し上がり、帳さんが微笑む。
つられるように私も笑った。
そして、まだ青ざめたままの互いの顔色を見て、そのあまりの情けなさに、どちらからともなく「ふはっ」と吹き出したのだった。
開店前の清掃を進めながら、私と帳さんのお喋りが続いている。
「劇団員の雨宮さんを中心に、一気に五人が顔を合わせましたね。小町さんの息子さんの名前を聞いた時の、初音さんの様子も気になります」
「後に、更なる縁の繋がりを知ることができるのですが。それにしたって、どうしてこんなに、私の周りで人が幸せになっていくのか……」
私は項垂れた。
「それが、死神さんの本心だからじゃないですか」
「え?」
「あなたはきっと、望んだ事象を人に与える事ができる。死神としての力をちゃんと持っているのだと思います」
「私が?」
帳さんの言葉に私は驚く。
「でも、私はもうずっと、ほんの少しだけ不幸になれと望んで……」
「表向きは、ですよね?」
帳さんのその声は、問い掛けの言葉でありながら、断定に近い強さを持っていた。
戸惑いを感じて私は押し黙る。
「ただの私見ですが」
そう前置きをして、帳さんが言葉を続けた。
「例えほんの少しであっても不幸になどしたくない。恐らく、死神さんの本音はそう思っている。それどころか、目の前の人達が幸せになればいいと……。無意識に、あなたがそう望んでいるのではないかと僕は思います」
私の鼓動が、ドクリッと一回悲鳴を上げた。
急いで帳さんから視線をそらす。
「そんなこと、思っていません」
ほんの少し不幸になれと願う事と、どうか幸せになれと祈る事は、決してイコールではない。
前者でさえ死神にとっては間違った考え方であるというのに、もし、自分の本意が後者であるのだとすれば……。今度こそ本気で、死神失格になってしまう。
「私はそんなこと、願っていません」
「小町さんがホームに落ちなくて良かったと、あなたは安心したのでしょう?」
「それ、は……」
その通りだった。
「真田さんに有り難うと言われて、君のお陰で俺は今も生きていると言われて、あなたは嬉しかったのでしょう? 僕に、そう話してくれましたよね」
嬉しかった。
そうであってはならないのに。
「幸せにと、心の奥底であなたが願ったから、あなたと関わる人はみんな、幸せのきっかけを……」
「やめてくださいっ!」
私はその言葉を強く遮った。
その思いが本当であったなら、私はもう、自分の世界に戻るすべが無い事になる。
例え両親や兄弟たちから存在を忘れられているとしても、それでもあの世界が、自分の居場所なのだと思っていた。
私が「ただいま」と言える場所はそこにしかない。
だからずっと。
--頑張ります。
ずっと。
--頑張ります。
そう繰り返し、生きてきた。
家族に送った手紙はいつも一方通行で、随分長く声すら聞いていない。その現実が何を意味するのか、それを思い知ることが怖かった。
「だけど……」
本当は分かっている。
もう、分かっていた。
私に「おかえり」と言ってくれる誰かなんていない。
それでもその答えに気付かない振りをして頑張り続けることしか、どこにも居場所のない私にはできる事がなかったのだ。
「帳さんに、私の気持ちなんか分かる訳ないっ!」
そう叫んでしまった後で、私はハッとしてうつむいていた顔を上げた。
こんなの、ひどい八つ当たりだ。
私の視線の先にある帳さんの瞳に、後悔と哀しみの色が広がっている。
「僕はまた……、側にいる人にこの言葉を言わせてしまった。これじゃ、あの時と同じ……。何をやってんだ、僕は!」
帳さんのその目は、私と、私ではない誰かを映している。
その誰かはきっと、何度も二人の会話に出てきた……。
「弟さんの、ことですか?」
私の問い掛けに、自責の表情を浮かべたまま帳さんが深く頷いた。
「僕には、五つ下の弟がいます。
そう語る帳さんの目が、徐々に水の膜で覆われていく。
「僕に向かって、先程のあなたと同じ言葉を吐き捨て家を飛び出した弟は、その時事故にあい、もう何年も眠ったまま目を覚ましません」
瞬きと同時に、帳さんの瞳から、一筋の痛みがこぼれ落ちるのが見えた。
「弟とは他にもたくさん色んな事を話したはずなのに、僕の耳にはあの時の……、その言葉とその声ばかりが蘇る。繰り返し、何度も、そう叫ぶ弟の声で僕は目を覚ます。……僕の言葉はいつも、側にいる人を追い詰めるみたいです。あなたよりよっぽど、死神のようですね」
そんな事ない。私がそう言葉を返そうとした時、扉についたカウベルが響きお客様の来訪を告げた。
カロンッ──。
私はは驚いて肩を揺らす。
帳さんはサッと涙を拭い、すぐに笑顔を向けていた。
「マスター。もう六時過ぎたけど、まだ準備中?」
「いえ、大丈夫です。お席にどうぞ」
「じゃあ、いつもので!」
「ナポリタンとイタリアンブレンドですね。承知しました」
ビジネススーツの男性二人がテーブル席へと足を進める。先程までの悲痛な想いは心に閉じ込めて、帳さんは朗らかに笑っていた。きっと、心の中は悲鳴をあげているはずだ。
『帳さんに、私の気持ちなんか分かるわけない!』
帳さんにとっての、一番残酷な言葉で傷付けた。
自分だって、彼の気持ちなど何も分かっていなかったというのに……。
早く謝らなければと気持ちばかり焦ってしまい、私は結局、開店前の掃除をしていたモップを強く握り締めたままその場に立ち尽くしていた。
「死神さん」
呼ばれて、顔を上げる。
「あなたも席にどうぞ」
カウンター席の左端。
私が初めてここへ来たあの日のように、綺麗に揃えられた指先が、まるで私に居場所を教えるかのようにその椅子を差し示す。
「それとも僕と話しをするのは、もう嫌になりましたか?」
思い切り首を横に振った。目にかかる程の長い前髪が、私の額の上でバサバサと揺れる。
今までよりもずっと、たくさん帳さんと話がしたい。
『全ては分からなくても……相手を知りたいから、自分を知って欲しいから、僕らは話すのだと思います』
そう教えてくれたのは彼だ。
この珈琲店の入り口にある小さな貼り紙には、【あなたの話を聞きます。ただ聞くだけ、何も解決いたしません】そんな一文が記されている。
それは必死に分かりたいと願う、彼自身の祈りだったのかもしれない。
「話がしたいです。帳さんと、まだまだたくさんの話がしたいです」
カウンター席の左端に、私は腰を下ろした。
「私の話を終えたら、今度は帳さんの……あなたの話を聞かせてくれませんか? もちろん、無理にとは言いません」
そして私は、カウンターテーブルに額を打ちつけそうな程に頭を下げ、帳さんに向かって謝罪の言葉を告げた。
「先程は、あんな言葉で八つ当たりをして、ごめんなさい!」
すぐに、私の頭上に柔らかな帳さんの声が降る。
「僕の方こそ、死神さんを追い込つめるような物言いになり、ごめんなさい」
顔を上げると、こちらに向かって頭を下げている帳さんがいた。
「いえ、あれは……ただの八つ当たりです。私の方が、ごめんなさい!」
「いえ、あれは僕が言わせてしまった。僕の方こそ、ごめんなさい」
「帳さんは何も悪くありません! 私です、ごめんなさい」
「死神さんは、悪くない! 僕のせいです、ごめんなさい」
まるでメトロノームのように、互いが規則正しいリズムで順番にペコペコと頭を下げる。そして気づけば意地になって、互いに物凄いスピードでお辞儀を繰り返していた。
「いえ、私です!」
「いえ、僕です!」
「いえ、こちらが」
「いえ、こちら!」
「いえ、こちー」
「いえ、こち!」
両者一歩も譲らず、何度も頭の上げ下げを繰り返した結果。私も帳さんも激しいジェットコースターに乗った後のような吐き気に襲われ頭を抱える。
その時、テーブル席の常連二人から、やんわりとしたクレームが入った。
「さっきから、何やってんの?」
「ブレンドとナポリタンまだ?」
平衡感覚を無くしヨボヨボになった帳さんが、水の入ったグラスを運んでいる。しかしグラスの水は全て床にこぼれ、底の方に水滴しか残っていないグラスを帳さんはお客様に差し出していた。
私はモップを握り、早く床の水を拭かなければと後を追う。けれど帳さんと同じくらいヨボヨボだった私は、知らぬ間に足が逆走しており入り口の扉に激突していた。その衝撃で、扉についたカウベルがとびきり呑気な音色を響かせる。
カロンッ──。
「お客様。わたくしどもは、このまま少々、横になるお時間を頂きます」
そしてカウンター席のテーブルに、二人並んで突っ伏した。
マスターと臨時の掃除係が青ざめた顔で転がっている珈琲店など前代未聞。見ようによっては傷害現場だ。
しばらくして、私がギュッと閉じていた目を開けると、同じタイミングで瞳を開けた帳さんと目が合った。
口角が少し上がり、帳さんが微笑む。
つられるように私も笑った。
そして、まだ青ざめたままの互いの顔色を見て、そのあまりの情けなさに、どちらからともなく「ふはっ」と吹き出したのだった。
1
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる