悪役令嬢だけど安眠のために奮闘します

ゆの

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2章 特訓

家庭教師は隠しキャラでした

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父様がベルを鳴らした途端にドアが勢いよく開いた。ドアを開けた人物を見て、思わず凝視してしまう。なぜなら彼も攻略対象だからだ。

「彼が君たちの家庭教師になるレオナルドだ」
「やあ、君達が噂の2人だね!!君達に魔法を教えられるなんて最高だよ!!よろしくね」

父様が紹介した彼はレオナルド。平民だから姓はない。彼の黄緑色がかった金髪はボサボサで、銀縁の眼鏡の奥にある緑色の瞳はらんらんと輝いてる。そして、最も特徴的なのはそのとんがっている耳。そう、彼はエルフと人とのハーフなのだ。見た目はエルフだが、人と同じ速度で歳をとる設定だったはず。
ハツキミの世界では、彼は教師で、隠れキャラの攻略対象なのである。問題なのはその性格。彼はマッドサイエンティストならぬマッドメイジ、魔法バカと言ったらいいだろうか、魔法のこととなると手が付けられない。しかも戦闘狂、魔法を使って敵を倒すことに喜びを感じるヘンタ…いや奇人と言っておこう。
レオナルドは、平民でエルフとのハーフであるが故に、幼い頃から色々な苦労をしてきて、魔法しか信じられなくなっている。それが高じて教師となり、ヒロインと、教師と生徒として出会う。ヒロインが希少な魔法を使えるということから興味を持ち始め、魔法にしか興味を持てなかったレオナルドが、一緒に授業や特訓をするうちに魔法ではなくヒロイン自身に興味を持ち、恋をするというシナリオだったはず。

(でも、シノンやフラメルの家庭教師なんて設定はなかったはずなのに…)

「彼は学園で教師として新年度から働く前の期間だけ、家庭教師をしてもらうことになったんだよ」

私の考えを読んだわけではないだろうが、父様が付け足す。ということは半年程時間がある。

(どうしよう…思ったより期間が長い…)

てっきり1ヶ月程度だと思っていた私は期待を大きく裏切られ、少し血の気が引く。なるべく攻略対象には関わらないようにしようとした矢先にこれだ。先が思いやられる。

私は心の中で大きなため息をついた。
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