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2章 特訓
謝りましょう?
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私はヘラヘラ笑っているレオナルド先生をジト目で睨みつけると、フラン兄様の腕から抜け出してつかつかと近づいて行った。フラン兄様が止めようとしたけど視線で動きを制する。彼にお姫様だっこされたままじゃ格好がつかないんだからしょうがない。レオナルド先生はその様子から私がかなり怒っていることに気付いたのか笑っていた口元が少し引き攣った。レオナルド先生の近くまで来ると私は腰に手を当て、全身で怒った様子を表現する。
「レオナルド先生。先程からヘラヘラと笑っていらっしゃいますけど、こうなった原因はレオナルド先生ですからね?その点、分かっていらっしゃいますか?」
「あはは…」
「分かっていらっしゃいますか?」
「…はい、すみません」
うん、2度目にかなり語気を強めたからしっかり分かってもらえたようだ。次に私はフラン兄様に狙いを定め、くるりと後ろを振り向く。フラン兄様は自分も怒られると思っていなかったのか少したじろいだ。
「フラン兄様もです。たしかにレオナルド先生が原因ではありますが、そんな簡単に我をなくさないでください。私はお姫様だっこされても全然大丈夫なので。」
「…僕が大丈夫じゃないんだけど」
フラン兄様にいじけるように反論されてしまった。なんでフラン兄様が大丈夫じゃないのか首を傾げているとレオナルド先生がプッと吹きだした。先程よりもさらにジト目で睨みつけると笑いを堪えつつレオナルド先生が話し出した。
「彼はね、僕に嫉妬してるんだよ。ねえ?フラメル君?」
「うるさい!!先生は黙っててください…!!」
フラン兄様が少し頬を赤くしながらバツが悪そうに顔を背ける。そんな様子に妹の私をとられると思って魔力を暴走させてしまったらしいことが伝わってくる。精神年齢が20+5歳の私にとっては子供の微笑ましい独占欲に感じたので、レオナルド先生と同様にクスッと笑ってしまう。
「大丈夫ですよ?レオナルド先生より圧倒的にフラン兄様のことが大好きですし。フラン兄様にならお姫様だっこを何回してもらっても構いません。」
「…ほんとに…?」
「ええ、もちろん。大切な兄様ですもの。」
フラン兄様はゲームでの私と同様に家族からの愛に飢えているのだ。不安になる気持ちは分かる。そう思い微笑むと、フラン兄様も嬉しそうに頬をゆるめてくれる。
「え、ねえねえ、僕は?」
1人だけ除け者にされたことに気付いたのかレオナルド先生がまたヘラヘラ笑いつつ問うてくるが敢えて無表情に彼を見つめ返す。
「まだ5歳とはいえ、女性に許可なく触れるのは如何なものかと思いますが?それに先生は先生であって家族ではありませんし?」
「うっ…本当に申し訳なかった…」
「フラン兄様もですよ?魔力を暴走させた事実に変わりはありません。」
「…ごめんなさい」
「はい、これでみんな仲直りですね」
にぱっと微笑むと2人が呆気にとられたように見えたが、もう気にしないことにした。
「レオナルド先生。先程からヘラヘラと笑っていらっしゃいますけど、こうなった原因はレオナルド先生ですからね?その点、分かっていらっしゃいますか?」
「あはは…」
「分かっていらっしゃいますか?」
「…はい、すみません」
うん、2度目にかなり語気を強めたからしっかり分かってもらえたようだ。次に私はフラン兄様に狙いを定め、くるりと後ろを振り向く。フラン兄様は自分も怒られると思っていなかったのか少したじろいだ。
「フラン兄様もです。たしかにレオナルド先生が原因ではありますが、そんな簡単に我をなくさないでください。私はお姫様だっこされても全然大丈夫なので。」
「…僕が大丈夫じゃないんだけど」
フラン兄様にいじけるように反論されてしまった。なんでフラン兄様が大丈夫じゃないのか首を傾げているとレオナルド先生がプッと吹きだした。先程よりもさらにジト目で睨みつけると笑いを堪えつつレオナルド先生が話し出した。
「彼はね、僕に嫉妬してるんだよ。ねえ?フラメル君?」
「うるさい!!先生は黙っててください…!!」
フラン兄様が少し頬を赤くしながらバツが悪そうに顔を背ける。そんな様子に妹の私をとられると思って魔力を暴走させてしまったらしいことが伝わってくる。精神年齢が20+5歳の私にとっては子供の微笑ましい独占欲に感じたので、レオナルド先生と同様にクスッと笑ってしまう。
「大丈夫ですよ?レオナルド先生より圧倒的にフラン兄様のことが大好きですし。フラン兄様にならお姫様だっこを何回してもらっても構いません。」
「…ほんとに…?」
「ええ、もちろん。大切な兄様ですもの。」
フラン兄様はゲームでの私と同様に家族からの愛に飢えているのだ。不安になる気持ちは分かる。そう思い微笑むと、フラン兄様も嬉しそうに頬をゆるめてくれる。
「え、ねえねえ、僕は?」
1人だけ除け者にされたことに気付いたのかレオナルド先生がまたヘラヘラ笑いつつ問うてくるが敢えて無表情に彼を見つめ返す。
「まだ5歳とはいえ、女性に許可なく触れるのは如何なものかと思いますが?それに先生は先生であって家族ではありませんし?」
「うっ…本当に申し訳なかった…」
「フラン兄様もですよ?魔力を暴走させた事実に変わりはありません。」
「…ごめんなさい」
「はい、これでみんな仲直りですね」
にぱっと微笑むと2人が呆気にとられたように見えたが、もう気にしないことにした。
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